その110 あの日の約束 7番目
さて、とうとう7番目にやってまいりました。
しかし、次回でこのお話も最後。
そして、新たな話につながるわけです。
席についた健太と愛は、いろんな話をしながら時間を過ごしていた。
もちろん、その少し後ろの方に、美咲と杏子は座っている。
「う〜ん、やっぱりここのハンバーガーはおいしいな〜」
愛は、満足そうにハンバーガーを口に運ぶ。
「そんなに好きなの?ここのハンバーガー」
「うん。何か知らないけど、結構好きなんだよね〜」
口の中にハンバーガーを残しつつ、愛はそう言う。
ここで、健太はとあることに気づいた。
「あ、頬にケチャップがついてるよ」
「……え?」
健太に言われて、愛も気づいたようだ。
「ふ、拭かなきゃ……」
「ちょっとじっとしてて」
「え?」
健太は、ポケットからハンカチを取り出すと、愛の頬についていたケチャップを、丁寧に
拭いてあげた。
その時、愛の顔が若干赤くなっていたのは、気のせいではないだろう。
「え、ちょ、ちょっと……」
「ほら、とれたよ」
笑顔で健太は言う。
その笑顔に、更に愛の顔は赤くなる。
「あ、ありがとう……」
恥ずかしさに、愛は顔を俯き加減にする。
「……」
「……」
その様子を、しっかり目撃していた杏子と美咲の二人。
「……なんだか、いい雰囲気出してるね」
「……うん」
「付き合ってるのか?付き合ってるのか!?」
「「……誰?」」
突如聞こえて来た、謎の声。
その声の主は。
「や、二人とも。つか杏子、偶然だなぁ、ここで会うなんて。美咲ちゃんも」
「お、お兄ちゃん?」
「吉行さん?」
何と、そこにいたのは吉行だった。
どうやら吉行もここに昼食を食べに来ていたらしい。
「それで?二人はどうしてまたここに?まさか健太と早乙女の後をつけて来たってことか?」
「「……」」
「……あれ?図星?」
自分の言ったことが当たってしまったので、吉行は戸惑ってしまう。
「んじゃ、俺も付き合っていいか?」
「「駄目」」
「何故!?」
「「うるさいから」」
声をそろえて言う二人。
その二人の反応に、
「う……反論できねぇ」
と、珍しく言い負かされる吉行がいた。
「だが、そこであきらめる俺じゃない。俺も単独行動で、健太と早乙女の尾行をするぜ!」
(ダッ)
そして、どこかへ去って行った。
「……どこへ行くんだろう、お兄ちゃん」
「さ、さぁ……」
そんなことが起こっていた裏では、
「それじゃあ、そろそろ行く?」
「そうだね。そうだ!最後に行きたい所があるんだけど、いいかな?」
「行きたい所?うん、別にいいよ」
健太と愛は席を立ち、どこかへ移動する。
「あっ!お兄ちゃん達が動き始めたよ」
「それじゃあ、私達も行こう!」
(ガタッ)
健太と愛の後を追うように、美咲と杏子の二人も立ちあがった。
そして、健太達が向かった先は……。