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その9 妹の来訪 1番目

妹、今回は出ません(え……)。

名前は登場します。

けど、まさかここまで自然の流れで書けるとは思ってなかった……。

とりあえず、かなえの嫉妬っぽいのが見られる、そんな内容です。

それは、オリエンテーションまで後五日と迫った日の朝のことだった。



(プルルルル)



「ん?電話だ」


健太の家に、一本の電話が来た。


「こんな時に誰から……ん?母さん?」


電話に表示されている人物名を見て、そう呟く。

かけてきたのは、健太の母親だった。



(ガチャ)



「はい」

『あ、健太。元気にやってる?』

「うん、おかげ様で。五日後にはオリエンテーション旅行も待ち受けてる」

『あら……それじゃあタイミングが悪かったかしら?』

「?何の話?」


健太は、電話越しの母に質問をする。

すると、信じられない言葉が返ってきた。















『明日から、美咲がそっちに住むことになったから』















「……ん?」


一瞬、健太は何を言われたのか分からなかった。

それだけ、衝撃的な言葉だったのだ。


『だから、明日から美咲が健太と一緒に住むことになったのよ』

「何で!?」


思わず叫んでしまった。


『実はね、父さんと母さん、明日から海外出張なのよ』


健太の父と母は、二人とも同じ仕事に就いていて、その仕事とは、ファッションデザイナー。


「何でまたこんな時期に?だいたい、美咲の学校はどうするのさ?」

『転校手続きはもう取ってあるわ』

「早いね!?」

『美咲も早くお兄ちゃんに会いたいって言ってるわ』

「転校して友達と離れ離れになってしまうって言うのに、結構気楽だね……」


美咲の顔を思い浮かべながら、健太は呟いた。


『そうでもないわよ?なんでも、転校するのを気に、クラスメートの男子から告白されたらしいわ』

「え、告白されたの?」

『断ったみたいだけど』

「……何で?」


薄々感づいてはいたが、健太は母親に聞いてみることにした。


『「私には、お兄ちゃんがいるから!」だって』

「やっぱり……」


そう。

困ったことに、美咲はブラコンなのである。

しかも、もともと健太の父親と母親は再婚した身なので、義理の妹となる。

実家に住んでいた時は、美咲の行動に、健太は終始悩まされていたとかいなかったとか。


「まぁ、美咲も美咲で可愛いから、告白されるのも分かるけど……」

『あら?美咲のことが気になるのかしら?』

「まさか……義理って言っても兄妹だよ?」


健太はノーマルだった。


『それじゃあ、話はそれだけだから。もう切るわね』

「あ、うん……」

『口座に二年分の生活費は振り込んどいたから。学校、頑張りなさいよ』

「分かった……って二年分!?どれだけ長い間海外に行ってる……」



(ツーツーツー)



そこで、会話は終わった。


「……はぁ、明日からまた大変な一日が始まるみたいだな……おっと。もう学校に行く時間だ」


健太は、急いで学校へ行く支度を済ませて、家を出た。















「え?美咲ちゃんがこっちに来るって?」


教室に来た健太は、真っ先に吉行にその話をする。


「そうなんだよ。何でも、父さんと母さんが明日から海外出張らしくて……二年間」

「二年も!?さすがにそれはちょっと長いんじゃね?」

「僕もそう思ったんだけど……仕方ないか、仕事だし」

「いや、二年も海外出張するファッションデザイナーなんて聞いたことねぇよ」


確かに、と吉行の言葉に健太は続いた。

ここで。


「おはよう、健太君、吉行君」


かなえもやって来た。


「おはよう、かなえさん」

「よっ相沢」


健太と吉行の二人も、かなえに挨拶を交わす。


「それで、二人で何の話を……?」

「ああ、実はね……」


健太は、先ほどの話を、かなえにする。

すると、かなえから、


「あの、美咲って誰?」


という質問が返ってきた。


「僕の妹だよ。義理だけど」


健太がそう答える。


「妹、なんだ……けど、義理なんだね」

「うん……ってどうしたの?何だか微妙な顔してるけど」

「あ、ううん。なんでもないの」

「……?」


それだけを言うと、かなえは黙りこんでしまった。


「……どうしたんだろう?かなえさん」

「……原因はお前にある」

「何で僕に?」

「……この天然女タラシめ」


皮肉気味に、吉行は呟いた。

もちろん、健太には聞こえていない。
















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