その97 夏と言えば 3番目
今回の話は、この話数を含めて、後3話程で完結します。
結構短いんですよね……。
けど、そうすれば、ちょうどその100で、第二部に入れますので。
「なぁ、健太」
「何?吉行」
プールの中に入って来た健太達は、着替えをする為に更衣室へと入って行った。
もちろん、男女別である。
先に着替え終えた健太達は、外で女子が着替え終わるのを待っていたのだった。
その時に、ふと吉行が健太に尋ねた。
「女子ってさ、その……着替えるの、遅いよな」
「え?あ、う、うん……」
そんなこと聞かれても、健太には答えようがなかった。
「何が言いたいんだ?吉行」
思わず大貴がそう問いかけていた。
「この時間……妄想にふけることっで出来るよな!?」
「「……」」
心なしか、健太と大貴の二人は、吉行と多少距離を置いていた。
「なっ……!お前達まで距離置くことはねぇだろ!!」
「だって……ねぇ?」
「さすがに、その発言はちょっとな……もう少し控えろ」
大貴によるきつい一言が、吉行に浴びせられる。
「ま、まぁ……反省する」
吉行も反省の色を見せる。
ちょうどそのときだった。
「待たせたわね」
「ん?この声は……中川?」
美奈の声が聞こえた為、吉行はその方向を向く。
と同時に、健太と大貴の二人も、同じ方向を向く。
そこには。
「ど、どうかな?」
水着を着たかなえ達が立っていた。
「う、うわぁ……」
声が出なくなってしまった健太達。
それだけ、彼女達の持つ破壊力は、なかなかのものであったのだ。
「に、似合ってる……」
「あ、ああ……確かにな」
健太と大貴は、そのような感想を述べる。
それだけ、今の彼女達は似合っているのだろう。
「お、おおおおおおお!!杏子、似合ってるぞ〜!!」
「あ、ありがとう……お兄ちゃん」
あまりの吉行の荒れように、杏子は反応しきれていなかった。
順番に述べていくと、まず杏子が、白を基本としたスクール水着タイプの水着。
夏美は、あまり露出度の高くないビキニタイプの水着。
美奈は、狙った感がぬぐえないような紺色のスクール水着。
「……中川。お前何企んでんだ?」
「別に。これ来てみたかったから」
はぐらかしたが、狙って来ている可能性は大だった。
次に美咲は、赤色を基本としたワンピースタイプの水着。
そしてかなえは、青色のビキニ水着。
「……」
健太達は、彼女達の水着姿に見惚れていた。
「そ、それじゃあ泳ごうか?」
「そうだね」
「お兄ちゃん〜!私の水着、どうかな?」
顔を赤くしながら、美咲が健太に尋ねて来る。
「う、うん。似合ってると思うよ」
「本当?ありがと〜お兄ちゃん♪」
髪の毛をピョコピョコと動かして喜びを表している。
そんな中。
「に、二ノ宮……その水着、似合ってると思うぞ」
「あ、ありがとうございます……」
顔を赤くして、俯く夏美。
「……はぁ」
「何よ、吉行」
「あれで本当に、大貴のことが好きなわけじゃないんだろ……?良く分かんねぇな、女って」
「ほめられたら顔を赤くする物よ」
美奈は、吉行にそう教えた。