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その90 遊園地で 4番目

やっと90話……。

ん?まだ連載2ヶ月目なのに、おかしくないか?

「とりあえず、じゃんけんして、こういう風になったことは認めるけどよ……」


吉行は、明らかに不満そうな表情を見せる。


「だからと言って、何で俺の隣がお前なんだ?中川」

「いいじゃないの。別に減るものじゃないし」

「まぁ……そうだけどよ」


美奈の言葉に、吉行は微妙な表情を見せながら答える。


「それに、あなただって薄々は気付いてるはずよ。大貴が夏美に気があることを」

「薄々っつーよりも、はっきりとだな」


吉行には、そのことが十分過ぎる程理解していた。


「このまま大貴のことを応援したいものだな。せめてこの二人だけでも……」

「けど、この二人も結ばれることはないわね」

「……?どういう意味だ?別に二ノ宮に好きな奴っていないんだろ?」

「ところがどっこい。それがいるのよ」


美奈は、そう吉行に伝える。


「何?そうなのか?」

「ええ。本人が言ったんだから、間違いないわ」

「……もしかして、俺?」

「それはないわね」


即答だった。


「何だよ!少しは俺にも夢見させてくれよ!!」

「断る」

「中川〜」

「ほら。もうすぐ始まるわよ」



(ガタン)



美奈の言葉と共に、乗り物が動き出す。

今吉行達が乗っているのは、未来エリアにある、上から下までまっ逆さまに落ちる、あれである。


「こ、怖そう……」

「大丈夫だ。俺がついてるから」


呟いた夏美に、大貴はそう声をかける。

大貴は気付いていない。

彼女の瞳の中に、自分のことが映っていないことに。


「5、4、3、2……」


何故かカウントを始める大貴。


「1、0」


瞬間。



(ガタン!!)



「「キャアアアアアアアアアアアアアアアア!!」」

「「うわああああああああああああああ!!」」


下までまっ逆さまに落ちた。















一方。

健太達の方も、ジェットコースターに乗り込んでいた。

順番で言えば、前に美咲・マコのペア。

真ん中に、健太・かなえのペア。

後ろに、ミサ、という順番だった。


「……」


隣に健太がいないことに、妙に美咲は不安を覚えていた。


「どうしたの?」


隣にいたマコが、美咲にそう尋ねる。


「……隣にお兄ちゃんがいないことに、不安を感じるの」

「……不安?」

「お兄ちゃんが、遠くにいっちゃうんじゃないかって、不安」


美咲は、独りぼっちでいる悲しみを、知っている。

失う悲しみも、知っていた。

故に、大事な物がその手から零れ落ちてしまうことに、恐怖を感じていたりする。


「大丈夫だって。健太君はいなくなったりしないから」

「……そうだよね」


マコの言葉に、美咲は安心した。

その後ろでは、


「私、こういうのって好きなんだ〜」

「へぇ〜そうなんだ」


健太とかなえは、雑談で盛り上がっていた。


「ところで、今ここは何エリアなの?」

「えっと……今は現代エリアだよ」


現代エリアというだけあって、周りには最近建てられているような建物がたくさんあった。


「楽しみだな〜」

「……いいわね。楽しそうで」

「何言ってるの?ミサ。ミサは楽しくないの?」


後ろから声がしたので、かなえは後ろを向いて言った。


「いや、楽しんでるわよ。けど、隣に誰もいないのはね……」



(ガタン)



ミサの言葉と共に、ジェットコースターは動き出した。


「ほら、かなえ。前を見て。危ないわよ」

「う、うん」


ミサに言われて、かなえは前を向く。


「……頑張りなさいよ」


誰にも聞こえないような声で、ミサは呟いていた。



(ガタンガタン)



そうしている間にも、どんどん上に上がっていく。


「準備はいい?」

「う、うん」


マコの言葉に、美咲はわけもわからず頷いた。



(ギュッ)



「……え?」


健太は、自分の手が握られる感触を感じた。

見ると、かなえが健太の手を握っているではないか。


「……かなえさん?」

「こ、こういう時って、こうした方が雰囲気が出ると思って……」


顔を赤くしながら、かなえはそう言った。

そして、ジェットコースターは頂上につき、


(ガアアアアアアアアアアアアアア!!)



勢いつけて、落ちていった。
















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