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キミのその手に触れたくて:セカンドシーズン:プロローグ

作者: 遥 かずら

 

 隣の席に座って来た編入生の彼、七瀬輔(ななせたすく)のことが好きになって、付き合い出してから始まった初めての夏休み。


 だけど待ち望んでいた夏休みは、追試を受けることになってしまった。それも七瀬と一緒に。


 七瀬はとても真面目で頭がいい。だけどわたしだけが追試を受けるとなることに寂しさを感じたのか、わざと点数を落とした。


 その甲斐もあって、仲良く学校の教室で追試と追試の為の追加授業まで、受けることになってしまった。


「俺一人だけ家にいたくないだけ。綾希あやきの為じゃない」

「そうなの? 七瀬は寂しいと泣いてしまう……?」

「どうかな。そうかもしれないな。だとしても、泣くのは綾希の前でだけだ」

「じゃあわたしも七瀬と泣く!」

「理由も無いのに泣くのか? 変わらず面白い事を言うんだな、綾希は」


 一緒にいるだけですごく安心する。


 それがわたしの彼氏であり、七瀬という男の子。


 彼に出会わなければ、考えたくないし思いたくもないけれど、元カレとヨリを戻していたのかもしれない。


 初めこそ別れるつもりなんて無かった。


 わたしも男の子の友達がいたことに浮かれていたのだから。


 あれこれと遊びに行ったりすることがあまりに多すぎて、それがもう無理って思って合わないって方向になった。


 結局はわたしのことなんかじゃなくて、よく分からないけれど彼女がいる俺、スゲーってことを見せたかったんだと思う。


 そうなると優しさとかを一切感じられることが無くて、段々と嫌なとこしか気付かなくなっていたというのが一番の理由かもしれない。


「七瀬は素直だから好き」

「ん? どうした、急に」

「んーん、何でもない」

「そっか」


 何てことの無い時間、彼が隣にいる。今は追試を頑張ろう。


 そうしないと彼との思い出ジグソーが増えて行かないから。


「頑張るから」

「ああ。俺も頑張るよ」

「七瀬は寝てていい」

「先生にばれない様に寝とくよ。彩希の隣で」


 夏はまだ始まったばかり。


 まずは、追試から始めないと始まらないのだから――



お読みいただきありがとうございます!


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