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だから俺は夢を見ない  作者: 戸雅 瑞樹
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〜プロローグ〜

人間は誰もが日々自分の理想を想像したり、あんなことやそんなことを妄想している。

会社で、自分の立場が高くなったり、天才になって周りを驚かせたり、はたまた特殊能力が生まれ最強と呼ばれる敵を圧倒したり。

妄想とは自由だ。何人にも邪魔されず、その中では自分の思ったようにことを進められる。まさに自分が神にでもなったかのように自由にできる世界。それこそが妄想なのだ。

しかし妄想は妄想だ。現実ではない。現実に妄想での出来事を期待すれば、大抵の人はその違いの大きさに失望してしまうだろう。

1番多用されそうな例を挙げよう。恋愛だ。恋愛においては男女問わず、そして年齢問わず、恋愛をしている人なら誰もが妄想をするだろう。好きな人が自分に告白してくる妄想、好きな人とデートをする妄想、よくある本を取ろうとしたときに手が触れて運命的な出会いが訪れる妄想。言い始めればきりがない。しかしこれらが現実になったことはあっただろうか。答えは否。こんなことが現実で起こることはほとんどないだろう。これら妄想を現実に求めても叶わないためただ残念な思いになるだけだ。

ではなぜ人は妄想の中の出来事を現実に求めてしまうのか。それは希望を持っているからだ。妄想が、夢が現実になることは絶対にないというわけではない。たった少しではあるが現実になる可能性を秘めている。不思議ながらにも人はその僅かながらの可能性から確かな希望を見出す。

捨てきれないのだ、希望を。

信じているのだ、可能性を。

実に素晴らしいことである。信じ続ければいつか叶う日がきっとやってくる。

その通りかもしれない。そもそも初めから妄想に期待せず、希望も持たない、こんなでは叶う日は永遠にやってこないだろう。そうやって考えてみれば妄想を現実に期待してみるのも悪くないのかもしれない。




などと考えている奴らが愚かしくてならない。嫌いではないがやはり愚かだと言わざるを得ない。

希望を持っているやつらは馬鹿なのか?現実見ろよ、いつまで妄想とやらに浸ってんだよ。希望持つだけ無駄だってわからないのかね。信じているやつらはアホなのか?信じた分だけ裏切られた時に嫌な気分になるに決まってんだろ。

こいつらの頭の中はお花畑かよ。裏切られるかもわからず、裏切られた時に失望する。こんなリスク背負うぐらいなら最初から何も期待しない方が楽だろ。あなたは今充分暮らしていけるお金があります。開発段階で人体に悪影響があるかもしれない薬を飲んだら大金をあげます。飲みますか?飲まないだろ、そんなの。

まぁ、要するに充分なのにそれ以上の福利のためにリスクなんて払えない、それだけのことだ。たとえそれがローリスクであったとしても少しでもリスクを背負う意味は皆無だ。


だから妄想は妄想の域にとどめておくべきだ。俺は決して現実に期待しない。あの日以来そうし続けてきたのだから。

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