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無気力少年シリーズ

魔王勇者×無気力少年 TAKE2

作者: 龍鳴竜&時無あかね

 龍鳴竜とのコラボです。TAKE1、魔王勇者の無双の旅、無気力少年のラブコメ的日常も是非ご一読ください。

「おい、聞いたか!今日転校生が来るってよ!しかも二人!」

 とまあこんな感じで普通科(イベントガチぜい)はいつもながらにハイテンションだった。

 というか4月下旬に来るってどんな理由があったんだ。1月くらい頑張ってずらせよ。そして始業式に間に合わせろよ。

「お前ら、席につけ」

 再来先生(いつも以上に仕事モード)のお出ましである。

「今日から一週間、この学校に体験入学する事になった二人だ。みんな仲良くするように」

 ええー一週間だけー?と、リア充は残念そうだが、僕は違う意味で残念だった。

「マジかよ……」

 どっかで見たことある(TAKE1参照)純日本人っぽいやつと完全に異世界系ラノベの住人が教壇に立つ。

「えーと、今日からこのクラスの一員になるクレナイ レンだ。好きな物は肉だ、よろしく」

 レンが自己紹介をし、右手をビシッと上げる。

「初めましてマインと言います。昔は人斬りをしてました。今はレン様の彼女をしています」

 マインが自己紹介をし、ついでに爆弾を2つ落とす。

 普通なら人斬りの部分で引っかかるだろうがリア充共はそれ以上に気になる点があったようだ。

「何か質問はあるか?」

 と、再来先生が言った。瞬時にクラスメイトの一人がさっきの言葉に言及しようと手を挙げる。

「レン様の彼女ってことは2人は付き合ってるってこと?」

 するとマインがレンの腕に抱きついて

「はい、らぶらぶですよ♡」

 顔を赤らめながらそう言った。もちろんリア充共からきゃぁぁぁとか言う悲鳴が聞こえる。

 ひとつだけ言わせてもらおう。うるさい。おちおち本も読めないじゃないか。


「おい読、返事しろ」

「…………」

 僕は無言を貫く。

 示し合わせたように、何故かレンは僕の隣の席へ、マインは瑞乃の隣の席になった。

 面識があるという事で、一週間僕や瑞乃が所属している文芸部に来る事になったのだが、それもまたおかしな事に月夜や羽衣やカンナや七峰がそれぞれがさまざまな理由で一週間休むと言っているのだ。つまるところ、コラボのための御都合主義全開という事だ。

 ページを繰る手を早くして、さらに近づくなオーラを出しているのだが、なお距離を近くしてくるレンに嫌気がさし、僕は立ち上がる。

 そのまま教室の出方は直行。

 いつやぞの屋上に来た。ちなみに時刻は1限直前。サボタージュである。

「なんで逃げんだよ。冷たいな」

「……異世界系のスキルを使うのは反則じゃないか?」

「でも読も色んなスキルあるだろ」

「僕のはスキルじゃなくて天性の才能だからな。それに僕は人間の域を脱してはいない」

「というか俺やマインが異世界スキルなしってそれコラボの需要なくなるだろ」

「もともとないから安心しろ」

「それより、今回は何やるんだ?」

「僕も知らねぇよ。前見たくいきなり始まるんだろ、どうせ。そういやリーフィンは?」

「それならここに飛ばされる前に今回は行かないって言ってたぜ。なんか、俺の方(まそう)は三人称だけど、お前の方(むじょう)は一人称だからって」

「なるほどな……うわっ」

 かなり広めの校庭の面積が、一気に小さくなった。

 というか、真ん中にデカブツが立った。

 そしてそのデカブツから、ピンポンパンポーンと、甲高い音が聞こえてくる。

『文芸部の早見読君、水上瑞乃さん、クレナイレン君、マインさん、至急校庭にある要塞に集まりなさい』

 いや急にあんな怪しげなものに集まれと言われて集まる奴がいるのか?いやいたわ。すでにマイン来てるわ。しかも俺の瑞乃引っ張りやがって。赦さねぇ。

 てか要塞ってなんだ。明らかにそんな形状じゃないだろ。めっちゃ丸いじゃん。半円じゃん。


「いやはや皆様、再び集まっていただけた事に感謝します」

 とてもありきたりな女神服の女神サーリアがなんかほざいてるけど、殴っていいかな。

「右手に広がるサバイバルエリアを見てください。本日から一週間、ここでサバイバル生活をしてもらいます」

「嫌ですお帰りください二度とその面みせんな」

 今本を8冊しか持っていないんだ。それで一週間だと?馬鹿げてる。部室に行けば何冊か追加できるが、おそらくそれは許されないだろう。

「この要塞には、湖があり、木の実もあり、とてもサバイバルに適した環境です」

 生活に適してないからサバイバルって言うんだろうが。適してたらそこはもう永住地だろ。

「そこで!」

 うるせぇよ。でかい声出すなよただでさえ響くんだからその100分の1のボリュームでいいよ。

「君たちにお試しで生活してもらいたい!」

 僕はクルッと反転し出口を出ようとした。しかし。

サーリアの後ろにあった扉に出た。つまり、瑞乃たちと向かい合わせのところに出たのだった。

「出られませんよ?一週間が過ぎるまで」

 僕はため息をついた。

「さっさと始めるぞ」


 ぶっちゃけ、レンやマインがいるのなら余裕じゃね?と思っていた。しかし、

「言い忘れてましたけど、使っていいのは剣などの現在装備してるものだけで太陽などは使用不可です」

 と言い残し、サーリアはポンッと消えた。

 そう、火などは太陽を使えばいいかと思っていたので、それが使えなくなると僕としては一大事なのである。

 いや、少し考えよう。前みたいに簡単な謎かもしれない。

 『不可』という事は『禁止』ではなく、使えないという事。

 だがさっきサーリアは消えた。恐らく初めから使えないようにしてあるはずだ。なのに消えた。消えたのじゃなくて高速で移動しただけなら?

 つまり、どこかに出口はあるはず。

「レン、サーリアはどの方向に移動した?」

「ん?あんま見てなかったけど、多分右だったと思う」

 今僕達がいるのが入り口からもっとも近い場所。左はには通路が続いていて、その奥にはコントロール室があるようだった。右にはサバイバルエリアが広がっている。

 そのサバイバルエリアのどこかに、出口があるはず。

「レン、マイン、サバイバルエリアを壁に沿って一周して来い。俺と瑞乃は食料の確保をしておく」

「はいよ」

「了解しました」

「了解!」


 1日が経った。

 目測よりもこのサバイバルエリアは広いらしく、レンとマインが両サイドから攻めても半分もチェック出来なかった上に何も見つからなかった。

 だが、僕と瑞乃は順調で、木ノ実を取り、その油で火を起こす事には成功した。

 元々用意されていたテントを水辺に張り、飲み水の確保も出来ている。

「何この快適空間……」

 瑞乃が呟く。

 いや確かにね?この状況ね?快適過ぎると思ったよ?でもね?それを口にするのはやめた方がいいと思いまーす。

「明日もこんな感じでいこうと思うが、何か異論はあるか?」

「お前らも行ってこいと言いたいところだが、でもお前らみたいな文化人にアレはきついだろうからない」

「そうか。油の無駄だから寝るぞ」

「私も少し疲れましたし、早く休みたいですね」

「ところで、テントは二つあってそして二つとも二人しか入らなさそうだけど、どうする?」

 瑞乃が言う。マインと目を合わせて、『分かってるよね?』『勿論です!』と視線で会話している。

 僕はため息をつき、自分の恋人の手を引っ張りテントに引っ張りこんだ。

「おっ?いつになく積極的だねぇ」

「……こんなの今回だけだからな。こう言うのは基本的に苦手なんだよ」

「押し倒していい?」

「何故だ」

 瑞乃はう〜ん?と首を捻る。

「ときめいたから?」

 僕はもう一度ため息をつく。

 やれやれ、苦手と言ったばかりだろ?

「んっ」

 顔を近づけ、キスをする。

「これで我慢しろ」

「はいはい」

 瑞乃は僕の体をぎゅと抱きしめた。

「これで我慢する」

 流石に僕も落ちつかない体勢だったので、瑞乃に背を向ける形にした。


「じゃあ、昨日言った通りな」

「はいよ」

 2日目は特になんの変哲もなく終わった。

 そしてナチュラルに3日目を飛ばしてからの4日目。

「……なるほどね」

 僕は一人で納得していた。

 夜中に一人テントから離れ、歩いていたのだが、その先で全てを理解した。

「地下通路、か」

 勿論ただの地下通路ではない。

 暗号付きだ。そして完全に景色と同化している。ぱっと見では見つけられないし、そもそもど真ん中など探してもいなかった。

 3秒ほどで暗号を解読し、中に入る。

 100mほど歩くと、なにやら大量のモニターが設置された空間があり、そこで僕たちを監視していたわけだ。

 そしてその反対側には扉があり、その扉を開くとーー


 今日で一週間。約束の日である。

 もともとこのサバイバル生活に意味などなかった。

 ただ、僕たちを隔離していただけなのだ。

 それを知らぬ瑞乃を、ある場所に連れて行く必要がある。

 ゴールデンウィークが明ける直前の日曜日、そのイベントは訪れる。

 なるほど、あいつらが休むと言った理由はこれだったのか。全て合点がいった。

 ちなみに一週間学校に行っていない事になっていた僕たちだが、そこはサーリアの力でなんとかなったようだった。レンとマインはせっかく来たのに、と残念そうだったが。

 ゴールデンウィークという事もあり、学校にいるのは僕たちだけのようだった。教師すら見当たらない。

 あれ?これは不法侵入にあたるのでは?

 まあ気にせずにやっていこう。あいつらも待ちくたびれているだろう。

 いつもの2階廊下の突き当たりの部屋。一際異様な空気を放つその部屋の扉を、僕はそっと開いた。

 パンパンッという音と、火薬の匂いがする。

「誕生日、おめでとー!!」

 今日は5月6日。水上瑞乃の誕生日だ。


 何故この企画が出たかと言うと、あのコラボ(TAKE1)には僕と瑞乃、レンとマインと、互いの作品から二人ずつ(厳密にはサーリアやリーフィンなどもいたのだが)しか登場していなかったため、月夜やアオイが私たちも会って話したい!と言い出したのが始まりで、なら打ち上げやって、そこにみんなで集まろう!となったらしい。

 そういやもうすぐ瑞乃の誕生日だーならその日にやろうぜーと、なんとも勝手な行動である。

 そしてどうせ祝うなら盛大に、と一週間かけて準備していたらしい。

 僕がその事に気づいたのは地下にパーティグッズが大量に置いて会ったからである。

 こんな大量にあったらそれだけで部室が埋まるわと思ったのだが、それは魔法の力でなんとかなったとか。

 で。

「何故僕はいきなり着替えさせられてケーキナイフを持たされているんだ?さらに何故瑞乃はドレスなんだ?」

「結婚式的な感じで……ね?」

 くっっっそかわいい。いやね、萌え死ぬ。

「ほら、早くケーキ切れよ」

 レンは飢えているのか冷やかしているのか急かしてくる。

「こんなの、特別な日だけだからな」

 僕は瑞乃に言った。

「最近似たようなセリフ聞いたけどね」

 瑞乃は僕に言った。

「ウェディングケーキ入刀でーす!!」

 月夜がマイクを使って言った。司会の代わりのようだ。てかウェディングって。まだ早いわ。最低後一年結婚出来ないからね?

 ナイフをケーキに刺すと、わぁぁぁあと言う歓声と、パチパチと言う拍手が起こった。

「レン、ほらよ」

 僕は、丁寧に拭いたナイフをレンに渡した。

「え、え?」

「あっちも、もう準備出来てるみたいだぜ?」

 僕と瑞乃が切ったホールケーキとは別のケーキとともに、瑞乃と同じくドレスを着たマインが出てくる。

「僕にやらせたんだから、勿論お前もやるよな?」

「レン様〜!!」

 マインがレンに抱きついた。レンは少し困ったような顔をしていたが、すぐに笑みを取り戻す。

「しょうがねぇ!やってやるか!」

 この日は夜中まで騒いで、歌って、踊って、語り尽くした。

 この特別な日を、僕はきっと、忘れる事は無い。

 楽しかったですね。この一言に尽きます。

 何気に今まで書いたものの中で一番文字数の多い1話でした。

 またコラボしようぜ!と僕は言いたいのですが、僕たちは揃いも揃って受験生という事で、春休みに出来たらなぁと思っております。

 よろしくね!竜!

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