文化祭の夜
僕が覚悟を決めた日から数日後、文化祭がやって来た
あれから奏といつも通りに接するようにして、奏は最初戸惑っていたけど今では戸惑いもなくなって前みたいに話すこともできるようになった
それでも文化祭の劇はあの悲哀の物語なのでちょっと愛だ恋だとかを意識し始めた僕には恥ずかしいところもあったけどなんとかやりきれた
クラス展示もそれなりにうまく行って楽しかった
それで、この学校は文化祭の最後にキャンプファイヤー的なものをやるんだけど、僕は今誰もいない教室にいた
「ふぅ……楽しかったけど疲れたな、あそこに混ざる元気はないかな?」
僕は窓からキャンプファイヤーの火とそれを囲む生徒の姿を見ていた
「あそこに奏もいるのかな?だれかに誘われただろうしね」
僕は夜空を見上げた
「星がきれいだなー、あーあ決めたことなのに奏誘えなかったな……残念」
僕が教室に1人でいる理由の1つがそれだった
ダメだな……誘う勇気がでなかったんだよね、だってああいうことはカップルか友達同士でいくイメージだから、同性なら友達で通ると思うけど僕と奏はもう異性だから
「うぅ……キャンプファイヤーじゃなくても教室でまったりしよって誘えばよかったかも」
やっぱり奏がいないと物足りない感じがする
思ってたより奏に依存してたみたいだね
「はぁ……今日1日ほとんど一緒にいたのに、ずっと一緒がいいって……聞かれてたら恥ずかしいな」
今からでも誘おうかと思って教室から出ようと振り向くと
「よ、よぉ……」
「………………っ!?」
奏がいた
「えっ!?ちょっとまって、い、いつから……?」
「えっと……『奏もいるのかな?』ってところ辺りから」
っぅ~!聞かれてた、聞かれてたよ……!?
「な、なんでここに来たの……?」
「……ルナ探してたら奏って聞こえたから覗いたら、いっしょに」
「そこまででいいからね!?」
「お、おう……」
うぅ……こんなことなら全部心のなかで済ますんだったよ……
予定通りだったのが予定外になって思いがけないところで予定通りになったよ……
「か、かなで!大事な話してもいい?」
「あ、ああ……いいぞ」
僕の緊張が奏に伝わってるのか奏もすこし緊張してるみたいだ
僕は深呼吸をして高鳴る胸を落ち着かせる
「ふぅ……い、いくよ?」
深呼吸しても鳴り止むことをしらないこの高鳴る胸を抑えて
「小牧奏さん!あなたのことが好きでした!僕とつきあってくりゃしゃい!」
………………やっちゃったぁぁあ!?
大事なことなのに噛んじゃったよ!
さっきまでドキドキしてたけど今はものすごく冷えきってます……
おそるおそる奏の顔を見ると暗くてよく見えないけど震えてなにか堪えてるみたい
そ、そんなに笑うことかい!?
暫しの沈黙が流れて
「か、奏?ど、どうかな……?」
「す、すまんちょっと気抜けてた」
……すまん……?つまり、ごめんなさい……?
「……ごめんね?僕なんか嫌だよね……」
「えっ……ちょっ、ルナ!?」
今すぐここから逃げ出したい……
その一心で奏の脇を通りすぎようとしたたき腕を捕まれた
「なんで、つかむの……すまんってことは無理だってことなんでしょ……!」
「俺はまだ返事してないぞ……すまんって言うのは驚いてすぐに反応できなくてって意味だ」
えっ……?つまり僕の早とちり?
「ルナ、お前いつもより余裕なさすぎだぞ?」
うぅ、面目ないです……
「まぁ、そのお陰で落ち着くのができたんだけどな」
「えっ?どういうこと」
僕が振り向くと奏に抱き締められた
「えっ!?か、奏!?」
すぐに離してくれたけど肩を捕まれたままだ
僕は絶賛混乱中です
「ルナ、こういうのは俺から言うべきだったな」
……えっ?どういうこと……?
「あー……ルナ、俺もお前のことが好きだ付き合ってくれ」
「っ……!?」
さっきの奏が驚いたっていうのに共感する……思ってもみなかったから驚きがすごいね
「ルナ……だめか?」
そんなに不安そうな顔をしないでよ……僕が好きだってこと知ってるくせに……
「だめな訳ないよ……奏、ふつつかものですが末永くよろしくおねがいします」
恥ずかしいから奏に抱きついちゃったけどいいよね
これで完結となります!処女作、見切り発車で始まって最後はものすごく駆け足というか走ってたのですが無事(?)完結することができました!できれば文化祭の内容も入れたかったのですが力不足ゆえ入れることができず申し訳ないです……(-人-;)
ですが、ここまで来れたのは付き合ってくださった皆様のおかげです、ありがとうございました!