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女の子になっちゃったけど…  作者: 拙
二学期
43/44

覚悟


 きっといままで騙してたんだねとか気持ち悪いとか言われるんだろうな……まぁ、言われても仕方ないと思う……

 あーあ、せっかく高校行けたのになぁ……奏にも迷惑かけたくないから、もしも今の高校にいられなくなったら通信制の学校に行こうかな……あんまり学校に行かなくてもよさそうなイメージだから


 「……冗談?」

 「じゃないよ」


 最初に声かける言葉がそれなのかか……まぁ、信じられる話ではないよね


 「いやだってありえ……いや、ありえてるんだね」

 「そう、だから僕は今女の子になってるんだよ」


 僕だって奏みたいな場合は少ないのはわかってる

 だから拒絶されることもわかってる……なのに、なぜか今まで抑えていたのに震えが止まらなくなった


 「……これを知って受け入れるって言える!?嫌わないでいるって言えるの!?」


 たまらなくなって背を向ける


 「きっと拒絶するんでしょ!?気持ち悪いって言って!約束なんて、口で言った言葉なんて出来事を目の当たりにすると無意味になるんでしょ!?」


 いままでたまっていた不安が溢れだす


 「だからそうやっていつまでもっ!?」


 黙ってるんだ、と言いかけて止まった

 後ろから抱きしめられる感触で


 「ごめんね……私もビックリしちゃってなんて言えばいいのかわからなくなってた、ごめんね?私はルナちゃんが前にどんな人だったかなんて関係ないよ、だって私が知ってるルナちゃんは素直で笑顔が素敵で幼馴染みの男の子に恋してるかわいい女の子なんだから好きにならないわけないでしょ?」


 その言葉に僕の目から熱いものが込み上げてきて、とめどなく零れ落ちた


   ◆   ◆   ◆


 「……お見苦しいものをみせてしまい申し訳ないです……」

 「ん?泣きたいときは泣けばいいんだよ、いつだって胸を貸すよ?」


 あれから泣くだけ泣いて、そのまま寝てしまいもう外は真っ暗になっていた、泣いて疲れて寝るのはまだよくないけどいい、けど寝た場所が悪かった……


 「でも……」

 「ルナちゃんにすがられて嬉しかったな~」


 でも申し訳ないよ……だって環ちゃんにしがみついて寝てたらしいから……


 「それに、ルナちゃんのお母さんから今日は泊まっていってもいいって言われてるから、私のお母さんも了承してくれたし」

 「それでもだよ……」


 なにかお詫びに出来ないかな……?


 「あっ、私お腹すいちゃったな~、ルナちゃんなにかつくってくれないかな~?」


 わざとらしい誘いだね……僕にはそれくらいしか出来ないんだけどね


 「わかった!」


 それでもお詫びとしては成立しそうなのですぐさまくいついた


   ◆   ◆   ◆


 「と、いうわけで作戦会議をはじめる」


 お母さんから借りたパジャマを着た環ちゃんが突然言った

 

 「……?作戦会議ってなんの?」


 僕たちは遅い夕飯を食べ終わり、シャワーをして寝ようとしたんだけど……


 「そりゃ、奏さんをどうやっておとすかだよ」

 「奏をお、おとす!?なんでそんな話しになってるの!?」


 おとすってあれだよね、恋愛的にってことだよね


 「だってルナちゃんさっき私の言葉否定しなかったし」


 んんん?さっきの言葉……?


 「『幼馴染みの男の子に恋してるかわいい女の子』って否定しなかったよね?」

 「そ、それは!タイミングが無かったからで……」


 あぁ……そんなこと言ってたなぁ、自然と入ってきたから見逃してたよ……


 「タイミングならあったんじゃないかな?『お見苦しものを』ってところらへんで」


 うぐっ……否定しておけばよかったかも……


 「で、でも!それだけで僕が奏を好きだってことにはならないんじゃないかな!?」

 「……じゃあ、奏さんを思い起こして奏さんのことを言ってみて」

 「えっ!?な、なんで──「はやく」──はい……」


 環ちゃんの眼光にやられました……

 仕方ないので、奏の良いところを思い浮かべる


 「えっと……奏は、優しいし、ちょっとぶっきらぼうなところもあるけど僕のためにって考えてくれるのが多いからまぁ嬉しいし……?中学の時から僕なんかに構ってくれるし、僕が構ってほしくないなって思ってても構ってきて、でも話してると楽しくなってそんなの関係なくなるし、一緒にいると楽しい……あとは面倒見もいいしですごくいい人だよ?」


 むむ……なんでこんなこと言わなきゃないんだろう……恥ずかしくなるから言わせないでほしい……


 「……ルナちゃん、それもう好きって言ってもいいレベルだよ……」

 「なんでそうなるの!?」


 僕は奏のいいところを言っただけだよ!?こんなこと身近にいる人ならできるよね?


 「だって、そんな恋する乙女みたいな顔でのろけるから……」

 「僕がいつ恋する乙女の表情を!?それに、のろけてなんていないよ!?」

 「顔をすこし赤らめて、嬉しそうになおかつ恥ずかしそうに微笑を浮かべて話すのは恋する乙女としか言いようがないよ、それにさっきのは奏さんの好きなところをいったんだと思うけどもうのろけにしか聞こえません」


 うぐっ……!で、でも──


 「あと、意識してなきゃあんなに気まずい雰囲気にはならないと思うな」


 あっ……僕結構はめられやすい?


 「……実際奏のことは好きだと思うよ?でもこれが親愛なのか恋なのか……それに、僕は中途半端な存在だから……奏には釣り合わないよ……」

 「そんなことないよ!!」

 「えっ……!?」


 環ちゃんはものすごい形相で迫ってきた


 「ルナちゃんが中途半端な存在?そんなことないよ!ルナちゃんは男の子でも女の子でもルナちゃんなんだから!どっちだったとしても本質は変わらないでしょ?」


 たしかに、どちらも僕だ


 「で、でも……男の人が好きだってことは僕が女になる覚悟が」

 「そんなのルナちゃんが受け入れればいいだけの話だよ、私がルナちゃんを受け入れたのと同じように、ルナちゃんが自分自身を受け入れればいいはなしだよ」


 っ!確かにそうだ、僕自身わかっていたのに受け入れなかった、受け入れたくなかっただけなんだ……もう拒み続けるのはやめよう


 「……うん、そうだね……僕は女の子としていきるよ」


 僕は覚悟を決めて言った


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