なんでこうなったんだろう……
2学期が始まって数日
学校にも慣れたし、不本意ながらもこの制服にも慣れてしまったな
「いってきます」
僕はそう言ってドアをあける
さて、今日も1日頑張るぞー
「おはようルナ」
「うん、おはよう奏」
家の近くで待っていた奏と挨拶をして一緒に歩く
「今日のホームルーム活動って何するんだろうね」
「いつもみたいに進学とかの話じゃないか?」
なんで、高校入って間もない時期から卒業してからのこと考えるんだろうか……謎だ……
「実際、まだやりたいこととかわからないんだよね」
「あぁ、そうだよな」
「そうだよね」
あぁ、奏も同じに考えてたんだ~
あははは、あはは…………って違うっ!
なんで奏は2学期になってから毎日家の近くで出待ちしてるのさ!?そりゃ嬉しいよ?でもね!?僕としてはね、少し恥ずかしいのですがどうしたら!?
夏祭りのことで、僕がちょっと意識しすぎたせいなのか奏と話すのがなんとなく気恥ずかしいんだよ!?
この数日間でなんとか押さえ込んでるとと思うけど最初は顔すら見れなかったの気づいてる!?
隣で一緒に歩いてる今でも心臓バクバクだよっ!?
それで、素っ気ない受け答えになるのが多いのに毎日こうして一緒にってどういうことですか!?
おかげでいつもドキドキ──ってこれじゃ乙女みたいじゃん!
落ち着け、落ち着け、あい、あむ、あ、ぼーい、おーけぃ?
「さっきからうつむいてどうしたんだ?」
「ふぇっ!?な、なんでもないよ?」
「顔も少し赤いような……」
「そ、そんなことないって~、きのせいだよ」
ちょっと考えすぎたかな?1度考え出すととまらない不思議
もともとこういう性格?特性?体質?なんだよね……うん、なかなか当てはまる言葉が思い付かないよ……
はぁ……こういうときには深呼吸だよね!
すぅー、はぁー、すぅ──
「──ふぇっ!?」
奏が急に僕を引き寄せた
ちょうど僕のとなりを自転車が通っていく
「か、かなで?」
「……きをつけろよ」
あっ、自転車に当たりそうだったから引っ張ってくれたのかな?
「あ、ありがと……」
「お、おう」
奏は少し赤く染めた顔をそらした
僕も顔が火照ってる感じがする
…………ちらっ、あっ──ぷい……
えぇぇぇ!?なんで、目があっただけで顔そむけるの!?ぷいってするのさ僕!?
なんとなく反射的にしてしまったけど……奏を傷つけてないよね……?
結局そのままの雰囲気で学校までいくことになってしまいました……
◆ ◆ ◆
僕は奏と学校でもあまり話せないでいた
お昼ご飯のときも、現在であるお昼休みも……
なにか話したいなぁ……
奏を見る……けど、なぜか視線をはなしてしまう……そう、奏が気づいた瞬間に……
あぁ、でもなぁ……と見てると
「ルナちゃん、ちょっと付き合って」
「えっ?いいけど」
僕は環ちゃんに誘われるままに空き教室に入る
「ルナちゃん、なにがあったの?」
「えっと……?なにがってなに?」
「奏さんと2人で行った『夏祭り』でなにかがあったんでしょ?」
えっ……なんで、それ知ってるの!?
「な、なんで……じゃなくて……なにもなかったけど……?」
「なんで知ってるかって言うと、私が奏さんに提案したからで──」
あぁ、だから知ってるのか
「──なにもなかったっていうのは嘘だよね?」
「こ、ここでの『なにか』ってどんな意味のやつでいってるのかわからないなぁ……?」
「わかった、恋愛的になにかあったでしょ?」
な、なんでそんなこと聞くのかなぁ!?
「な、なにも……」
「はいはい、顔を背けないの」
うっ……両手で顔を固定されてしまったよ……
「言わなきゃだめぇ……?」
「だ~めっ♪」
「うぅ……いうから手はなして」
環ちゃんは手を離してくれた
うぐっ……仕方ない、最後のあれは言わないでそれ以外を
「……浴衣似合ってるって言われた」
えっと、まだだめ?
「……人混み苦手なの気遣ってくれた」
で?って顔してる……
「……下駄で靴擦れして、隠そうとしたんだけどばれて……そ、その……」
「その?」
あれ?これすごく恥ずかしいんですが……!?
「お、お姫様だっこされて絆創膏はってもらった……だけだよ?」
え、えっと……これでいいのかな?
でも、なんでだろう?環ちゃんのジト目が終わらないんだけど……
「……それだけじゃないよね?」
ひっ!?
「な、なんでそう思うの?」
「だって、それくらいならいつもやってることとあまり変わらないよね?」
「僕いつもそんなことされてないけど!?」
「いつもそれくらいの距離感ってことだよ」
そ、それは……中学の頃の距離感がまだ抜けてなかったといいますかね?その……男同士って距離感近いよね?
「いつもそうだったのに最近は距離感が変に開いてるから……だから!なにかあったのかなぁって思ったの!」
「そ、そうなの?でもこれ以上なにも……」
言いたくないんだよねぇ……
だって……ねぇ?
「そっかー、それなら仕方ないね、言いたくないんだもんね?」
「うん」
その言葉に頷いてしまったんだ
「……へぇ?」
あっ……しまったぁぁ!!!
「……ルナちゃんチョロすぎだよー?」
あぅ……そんなことないと思うんだけどなぁ……
「まぁ、言いたくないならいいけどさー」
なら最初から聞かないでよ……
「いつまでも気まずいままじゃ嫌だからね?」
「うん」
「じゃあ手始めに──」
環ちゃんが言い終わる前にチャイムがなってしまった
「──もう、そんな時間かー教室戻ろ?」
環ちゃんがなにを言いかけたのか不安だよ……
◆ ◆ ◆
今日最後の授業、ホームルーム活動になってるけど……
先生は教室の隅の方でみてるだけだ
その代わりクラス委員長さんが出てきた
で、なにやるんだろうか……
「今日は来月に迫る文化祭について話し合います」
あぁ、文化祭かー
高校だし出店とかあるんだろうか
「1年生はクラス展示とステージ発表のみ行います」
1年生は出店だせないみたいだね
2、3年生は出せるのかな?
「……で、クラス展示については許可を得る限りある程度自由に決めていいのですが……」
ん?歯切れがちょっと悪い?
「ステージ発表については、毎年似通ったものになってしまってつまらないということで……くじを引いて決めてきたのですが……」
ま、まさか……そんなに悪いの引いてきたの……?
「劇、をすることになりました……」
えー、という声が出る
僕は……まぁくじだし仕方ないかな?と思ってるので無言だ
「オリジナルとかじゃなくて、有名なものをやってもいいみたいなのでなにか意見ありますか?」
そういうと、いくつか意見が出てくる
こういうのって1人が意見出すまで長いんだけど……環ちゃんが最初に出してくれたからかスムーズに進んで終わったんだけど……
「ルナちゃん、奏さん!頑張ろうね!」
で、なにをするのかというとあの「ああ、どうしてあなたは──」ってやつだ、うんこれでわかるよね?
で!これが本題なんだけど!
なぜか僕がヒロインで、奏が主人公の役をやることに……
はぁ、なんでこうなったんだろ……
はっきり言ってやりたくございませんっ!
本番までにセリフ覚えて立ち回りも覚えなきゃないなんて……しかも相手は奏……よけいに緊張するよ……
それに、本番は来月っていったけど実質3週間しかない
セリフは以前先輩がやっていたものが保管されてるみたいでそれを使うみたいだけど舞台道具や衣装は自分達で用意しなきゃない……
とりあえず、まきで準備を進めなきゃないからこれから大変になるよ……