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女の子になっちゃったけど…  作者: 拙
夏休み
39/44

夏祭り!


 夏祭りの会場につき人が沢山いる

 すこし緊張するけどそれ以上に


 「ふぁ~~!!」


 僕は着いてそうそうに興奮していた


 「かなで、かなでっ!出店いっぱいだよっ!」

 「ああ、そうだな」


 沢山並ぶ屋台の明かりがもともと楽しみにしていた僕の心をさらに高ぶらせる


 「どこから見てくの?」

 「ルナが興味あるところでいいぞ」

 「ほんとっ!?じゃあ、じゃあまずはーー」


 今すぐ走り出したい気持ちを抑えて(今、浴衣だしまわりに人が沢山いるから走るのは無理があるんだけどね)出店を物色する


 食べ物系と景品もらえるやつってどっちからやるのがいいんだろー?んー……食べ物系からいってみて、それから景品のやつやってみようかな


 「ーーあっ、ラムネ屋さん!」

 「わかった、ラムネ屋だな、ってちょっとまて」


 僕が歩き始めると奏が腕をつかんできた


 「ん?どうしたの?」

 「いや、迷子になられると困るからな」


 そう、言って奏は僕の手を握る

 奏の手のぬくもりが伝わってくる


 「っ!?ま、迷子って子供じゃないんだからさ……」


 いけない、まだ変に意識してるからびっくりしちゃった……

 もう……ママがあんなこと言うからだよ……


 「いや子供扱いって訳じゃないんだが、ルナのお母さんによろしくって頼まれてるし、それにルナを放って置くとか心配だからな……証拠に、さっきはすごく……なんでもないわ……」


 うん、言ってることはわかった

 でもーー

 「ーーさっきはすごく、なに?」

 「い、いやなんでもないぞ?」


 奏は顔を反らす


 「うぅ、奏きょうは一段と顔を反らすよね……」

 「……そんなことないと思うぞ?」

 「またまた~」


 僕は奏の顔の正面に回り込む、奏は逃げるように顔を反らす

 回り込む、反らす、回り込む、反らす……


 それを何回か繰り返すと


 「ああ、もう」

 「あっ……」


 奏が僕の手を握って引っ張っていく


 「ラムネ、欲しいんだろ?」

 「う、うん……」


 僕はうつむく

 はぁ……奏にあんなこと言ったけど僕も今日多いんだよね……

 って、なんでこんなにしんみりしてるんだよ僕っ!夏祭りだから楽しまなきゃ損だよね!


 「おじさん、ラムネ二つ」

 「はいよっ!って奏君じゃないか、隣のかわいい子は彼女さんか?代金は一本分でいい、サービスだよ」

 「か、かのっ!?」

 「ありがとうございます」


 僕が彼女って言われたのに驚いてる間に買い終わったみたい

 ……あと、ちょっとだけだけどくすくす笑っている声が聞こえる……

 僕のことで笑ってないよね……不安になってきた


 「あ、えっと……奏、あの人知り合いなの?」

 「ああ、あの人は親父の友達だからたまに顔を見る程度かな」


 へぇ……ぜんぜん知らなかった……

 僕たちは人混みからすこし外れたところに進んでいく

 ある程度離れたところで奏が止まって

 

 「ルナほらラムネ、奢りだって言ってもタダなんだけどな」

 「……ん、奏ありがと、うれしい」

 「そ、そうか」


 奏は慌てたようにラムネを飲む

 僕もそれを見てゆっくり飲み始める

 ラムネってたまに飲むとすごく美味しいんだよねー


 「……ルナ、無理してるだろ」

 「っ!?……なんのことかな」

 「人混み、もともと苦手だろ」


 あー……ばれてたか……いや人混みのことを忘れようとわざとその事について目をそらしてたんだけどね


 「……気遣わせちゃってわるいね……」

 「いや、俺が誘ったわけだし、そこら辺まで考えるのが普通だろ?」

 「そういうものなのかー……」


 奏に気を遣わせないようにしてたんだけど……逆に遣わせてたみたいだね


 「それに、ルナから楽しみをとるような真似はしたくないしな」

 「……えっ?」

 「屋台楽しみそうにしてたからな、もともと花火のちょっと前くらいに来て人のあんまりいないところで見て終わるつもりだったんだが」


 そうなのかー……ん?それって僕のために予定組んでるような……


 「で、どうする?屋台みてたいか?それともちょっと早いが行って始まるまで話でもしてるか?」

 「んー……屋台はもうちょっと見ていたかったけどもういいかな?」

 「じゃあ、場所取りするか」

 「うん!」


   ◆   ◆   ◆


 「ここって、ほんとに人来ないの……?」

 「ああ、なぜかみんな近くで見たいって気持ちになってここらへんの高台には来ないみたいだな」


 なるほど……そういうものなのかー

 まわりには人がいない、それはいいんだけど……それとは別に今ここに来るまでに生まれたちょっとした問題があるんだよね……


 「そうなんだ、ここって綺麗にみえそうなのーーっ!!ーー、にね……」


 あ、ヤバイ声に出ちゃった……


 「……?ルナどうした」

 「い、いや?なんでもないよ……?」


 ちょっと、歩き方に気を付ければ痛くはないはず……


 「足元見て、なにかーーって、靴擦れしたのか」

 「えっ!?なんのこと、かなぁ……?」


 奏があきれたような目で見てくる


 「さっき無理するなっていっただろ」

 「で、でもこれくらいならーー」

 「問答無用」

 「ーーひゃぁ!?」


 奏にいきなり持ち上げられた、いわゆるお姫様だっこってやつだ

 はわっ!奏がこんなにも近い……ちょっとだけ汗かいてるみたいだけど全然臭いとか気にならない、むしろちょっとだけいいかも……ってなに考えてるんだよ僕は!


 奏は僕がそんなことを考えてるうちに近くにあったベンチに僕をおろした


 「ちょっとみせてみろ」

 「う、うん……」


 僕は奏に足を見せる


 「うん、やっぱり普通に靴擦れだな……絆創膏とかもってるか?」

 「えと……もしかしたらあるかも……?」


 巾着の中を見てみるとやっぱり絆創膏があった

 やっぱりママは僕が靴擦れするって予想してたのかな……それとももしも怪我をしたときのための備え?


 「ん、奏あったよ」

 「貼るの下手だけど……気にするなよ」


 奏はそう言って絆創膏を貼ってくれる


 「ルナもういいぞ」

 「うん、奏ありがと」


 僕が立ち上がると、ちょうど花火がうち上がり始めた


 「花火、きれいだね」

 「ああ、そうだな」


 僕と奏はそれだけを言って花火を見ていた


   ◆   ◆   ◆


 花火が終わり、僕たちは帰路につく


 ーー恋か……楓ちゃんは僕が恋してるっていってたけど、恋ってなんだんだろ……好きになるってどういうことなんだろう


 「奏、恋ってどういうものなんだろうね」

 「……どうした急に」

 「いや、ちょっと気になったんだ……僕はよくわからないから、奏はわかる?」

 「恋か……人とか物をいとおしく思うこととか、惹かれるとかってこととかか?あとは……好きになるとか……」


 いとおしく思うこと、惹かれること……僕は奏をとても大切に思ってる、これっていとおしく思うことになるのかな……?惹かれてはいるとは思うけどね……


 「……もしも、もしもだよ?僕が恋をしたら、人を好きになったらどう思う?」


 僕はなにを聞いているんだろうか……

 僕は元男で、いまは女……恋なんてきっと誰かの迷惑になる、気持ち悪く思われる……そういう不安から口が滑ったのかな……


 「そりゃ、いいことだと思うぞ」

 「……ふぇ?」


 いいこと……?いいことっていった?なんで……


 「ルナが何に悩んでるのかわからないが、人だから恋するなんて当たり前だろ?相手がたとえ、男でも女でもな。なにも気にすることのんてないんだよ。もし、ルナを傷つけるやつがいたら俺がルナを守ってやるさ」

 「……奏……」

 「ん?どうした?まだなんか悩みでもあるのか?」

 「……さっきのは哲学的な意味でっていうことで奏の意見を聞いてみたんだけど」

 「おいおい!このシチュで恋とはなにかって聞かれたら普通は悩み相談っておもうだろ!?」

 「ごめんごめん」


 ちょっと意地悪だったかな?……でも奏にこんな悩みがあったなんて知られたくないからね……まぁ、知られてても問題はないと思うけど

 それにちょっとだけ意地がでちゃったんだよ

 僕が弱いところを見せると、奏は余計に心配してくる

 心配されたくないわけではないけど……あまり負担をかけさせたくないって言うかね……


 そんなこんなで、もう家の前についてしまった


 「ルナ、じゃあこれで」

 「あっ、ちょっと待って奏」

 「?なんだ?」


 今日一番の緊張が襲ってくる

 僕はなんとか言葉を出した


 「いつもありがと……あと、これからもよろしくね」


 お礼を言うのになんでこんなに緊張してしまうのだろうか

 ちゃんと言葉に出来ていたか不安だよ……


 「おう!よろしくな!」


 奏のその言葉に僕は安心した


   ◆   ◆   ◆


 たぶんきっと……僕は奏に恋してるのかな……?

 一緒にいると楽しいし、嬉しいし、不安なんて消し飛ばしてくれるから……ずっと一緒にいたいと思える

 奏は恋することはいいことだって言ってくれたけど……僕が奏を好きだって言ったらどういう反応をするのかな……

 自分自身の事じゃないからあんなふうに言ってくれただけなのかもしれないし、もしかしたらひかれてしまうのかも……

 もしも、そうだとしたら……いや、そうでなくても

 僕には告白する勇気がない……

 ならせめて、奏のことを見ていたいな……


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