体育祭《2》
「ふぁ~…眠い……」
僕はA組の応援席に向かっている
ふぅ…もう競技に出なくてもいいんだよね…楽でいいな♪
でも、来年はもうやらないよ…だって服が恥ずかしいんだもん…
「ル~ナちゃんっ♪」
「ふぇっ!?た、環ちゃん!?なにするの!?」
あっ、環ちゃんなんか懐かしい感じだよ…
「~?何って?ルナちゃんを後ろからギュッてしてるの」
「それはわかってるけど、なんでしてるのさ!」
「ルナちゃんが応援席過ぎて行っちゃったからどこに行くのかなって思ってつけてたんだけど、後ろからだと艶のある黒髪だとか、白くて細い二の腕だとかの誘惑がいっぱいあって」
環ちゃんが早口でしゃべるからあんまり聞き取れなかった…
「えっと…つまり要約すると?」
「ルナちゃんがかわいすぎるってこと」
「え?ふひゃっ!」
環ちゃんが優しく耳を撫でてくる
「た、環ちゃん…ちょっと、ひゃっ!そこは、やめて…んぁ」
「ルナちゃん敏感でかわいい♪じゃあ耳はやめるね」
はぁ…よかった…
「でも、こっちはいいよね♪」
「ひゃぅ!そ、そこも…ダ……メ…」
環ちゃんは次に脇腹を撫でてくる
「おやおや?ルナちゃんわがまま♪うりうり~♪…?おおっ?」
ふぇ?環ちゃんが離れていくよ
「あーあ、これからだったのにな…」
「…ルナさん…迷惑して…る、から…」
あっ、宏樹君が助けてくれたのかな
「宏樹君ありがとう、助かったよ」
「んっ…これ、くらい…だったら…気に、しない……環は、もっ…と、自重…する…」
「…これでも自重してた方だと思うんだけどね…」
自重しててあれだったなら、してなかったらどうなってたんだろ…
「…して…ないっ…謝…る…」
あっ、宏樹君から見ても自重してなかったんだ…
いつから見てたんだろ…というか、今男子の徒競走やってるよね…
「うっ…ごめんねルナちゃん…」
「…軽いスキンシップだったら大丈夫だから、気にしないで」
本当に軽いやつだったらね!えっと…頭撫でたりとか、抱きつくのは…うーん…微妙…
「ところで、宏樹はなんでここにいるの…」
「…?…僕、一番…最初に…走った…から、ゆっくり…したく…て、早く…きた…」
ゆっくりするために急ぐって…本末転倒…?じゃないかな
「…ルナさん…は、応…援、しなくて…いいの…?」
「えっ?いいんじゃない「あっ!ここにいた!」わけないよね…」
唯先輩…少し怒ってる?
「もう!ルナちゃんしっかりお仕事しなきゃダメだよ!みんな頑張ってるんだから!環ちゃんも応援、応援!」
僕たちはつれていかれた…僕、動きたくない…
◆ ◆ ◆
「ふぅ…疲れた…」
今は昼休憩の時間だ、直前に女子の徒競走があったからジャージだ。
さすがに知り合いの前だと恥ずかしさが割増になるからそこは助かったよ…ママなにするかわかんないし…
「ルナちゃん、お疲れ様。はいこれ」
「あ、ありがとうママ」
ママがお茶を渡してくれた
「それにしても、ルナのチアリーダー姿、近くで見たかった…」
パパがそんなことをいう…
「あら、でも写真沢山撮れたからまだいいじゃない」
「でもな…写真と生は違うんだよな…」
ん?写真…?そういえば、パパの隣になんか大きいカメラがあるけど…いや、あったのに気づいてなかったんじゃなくて、気づきたくなかったんだよね…
「あっ!そろそろ戻らないと!ありがとうママ、パパ」
そう言って離れる、これ以上いると弄ばれるような気がする
「あっ、またアレに着替えるのか…」
来年は絶対に応援団なんかに入らないよ…