君を思い出す。
高校二年生の夏。
僕は、ある人と仲良くなった。
彼女は僕と何もかもが違う人。
僕の静かな性格、彼女の明るい元気な性格
僕の1人が好きなとこ、彼女の誰かといることが好きなとこ
僕の素直になれないとこ、彼女の素直すぎるとこ
言い出すときりがないけど、全く正反対なところは確かだ。
僕は、人と関わることをしなかった、避けてきた僕は「人との関わり方」ましてや「女子の関わり方」を知らなかった。
だから、最初のうちは仲良くする必要もないと判断し、極力避けていた。だが、彼女は相変わらず僕に関わってきた。避けても避けてもひっついてくる。なら避けても疲れるだけだ。と頭を働かせて我慢して受け入れることにした。
そこから、彼女を理解できるようになった。
彼女の明るいとこも誰かといるのが好きなとこも素直すぎるとこも。
僕は、何かと彼女といるのが楽しかった。
素直になればそう思っていた。
それが、高校二年生の秋。
秋が深くなった頃。
ー突然終わりを告げる。
彼女が死んだ。病気で死んでしまった。
彼女は自分が死ぬことを知っていたという。
でも僕は、それ以上その話に踏み込まなかった。
というか踏み込みたくなかった。
そうして、月日だけが過ぎ、僕は22歳になった。
もう立派な成人男性だが本屋でのんびりと働いている。
今日は仕事が休みなため、部屋でのんびりと本を読んでいる。この本は、僕が高校生だったころからのお気に入りの本で、学校でもよく読んでいた。本棚からたまたま引っ張り出したので、何年かぶりに読むことになる。
本のページを気休めにペラペラペラめくっていると、ページの間からしおりが出てきた。
金属でできた、星柄のキラキラしたしおり。
いつ買ったのかも全然覚えていない。
何気なく、しおりを見つめる。
「なんか、忘れてる?」
僕はしおりを見つめれば見つめるほど、心の中の何かが騒ぎ出すように感じた。
忘れてしまった何かを思い出そうとしている。
それが自分にとって都合のいいことなのか、悪いことなのかはわからない。
「…。」
僕は諦めて、かおを伏せる。
そういえば、今日の朝は早かったな。
まだ1日は長いから、少し眠ろう。
僕は、静かに目を閉じた。
「………。」
耳元で誰かに呼ばれた気がした。
僕は気のせいにして眠りについた。