冒険者ギルド
さーてと、テンプレはくるかなー?
今、城から出て街の中を歩いているんだが、いかんせん暇だ。今日が8日目だから、後2日は、このままだ。
昨日街の有名な所は回ったし、金もマジックバッグに入っていた金貨2枚しかない。(と言っても軽く一カ月は暮らせるのだが)
昼頃になり良さそうな食事処を探しながら歩いていると大きな三階建の木製の建物の前に来た。
看板には二本の剣をクロスした模様と、「冒険者ギルド」と書かれている。
「そういえば、冒険者にでもなる予定だったんだよな」
正直忘れてしまっていた。どうせするのなら暇な今のうちにやっといたほうがいいか。
なので俺は入るために扉に手を当てたのだが
(まてよ、冒険者ギルドって事はあのテンプレイベントが起こるんじゃないか?そう、あれくれ冒険者に暴力を振るわれ、金品を取られると言う。)
まだ俺の能力は、この世界で多少強い程度、三人ぐらいの冒険者に囲まれたら終わってしまう。
しかも今はマジックバッグに金貨2枚という金目のものも持っている。条件バッチリだ。
「痛い目に合うのは嫌だけど、冒険者になるって言っちゃったし、登録していないのがバレて2日間何していたんだなんて疑われたら嫌だし……、
と、俺が扉の前でブツブツと独り言を言っていると、
後ろから肩を叩かれ、
「何をしているんだい?大丈夫?なんか喋ってたけど?」
「うわっ、あっはい、大丈夫です。すいません。」
話しかけてきたのは、爽やかイケメンといった容姿で、金髪で軽めの鎧を身につけており、腰には一本の直剣を携えている。物語の勇者様といった感じだ。
「ごめんね、急に話しかけて。冒険者ギルドに何か用かな?初めて見る顔だけど?」
「ああ、その、冒険者になろうかなって、」
「そうか、じゃあ僕が案内してあげるよ」
その場の流れで冒険者登録をする事になってしまった。まあ、いっか。
俺たちは、ギルドに入ったのだか、
「おお!ジークだ!」
「ジークってジークフリードか?帰って来たのか?」
「今回は一週間くらいだったか?何を狩ってきたんだ?」
「おい、なんか連れがいるぞ!」
「ジークさん、弟子でも取ったのか?」
「はっはっはっ、それはねーよ、あんなヒョロガキに」
とまあ強面どもがどんちゃん騒ぎである。
弟子じゃねーし、それに俺は標準体型だよ!
「ははは、見た目はあんなのだけど根は良い人達だから、」
見た目は盗賊と余り変わらない気がする。まあこんな時間にギルドにいるんだし、ランクも下の方なのだろう。
俺たちは気にせず受け付けに向かった。
受け付けの子は、同い年ぐらいの赤毛の活発そうな女の子だ。
「こんにちは、ジーク様。クエストの報告ですか?それとそちらの子は?」
「クエストについては後から、それと、彼とは扉の前であってね、なんでも冒険者登録をするそうだよ。それだからよろしくね」
「はい、わかりました」
「それと、ギルドマスターっているかな?」
「はい、いつものところにいらっしゃいますよ」
「そうか、ありがとうメアちゃん。彼のことよろしくね」
「はい!任せてください!」
彼、ジークは上の階へ、行ってしまった。
「えーと、ジークさんってすごい方なんですか?」
「……⁉︎、貴方!ジーク様を知らないんですか!?」
「えっ?まあ、はい」
「えーおほん。彼の本名はジークフリード。世界でも数十人しかいないSランク冒険者なんですよ。流れる様な剣技と光魔法を組み合わせた戦い方から神聖騎士と呼ばれているほどなんです。いつも紳士的で優しくて冒険者の鑑です。私もジーク様の様な人とお付き合いできたらなぁ」
と、キラキラした目で熱く語ってくれた。正直どうでも良かったがまだ鑑定が使えない今は助かった。それに本当に勇者みたいな奴だな、代わりに魔王倒しに行けよ。
Sランク冒険者か、出来ることなら戦ってみたいな、(もちろんチートスキルを手に入れてから)
「あの、冒険者登録良いですか?」
「はあ、わかりました。その紙に名前、年齢、あとは特技を書いてください。特技は適当で良いですよ。それと登録料の5000メガはジーク様から受け取っておりますので大丈夫ですよ、良かったですね」
そう言って投げやりな感じで紙とペンを渡して来た。
ちゃんと聞かなかったのは悪かったけどさ、さっき、「任せてください」ってジークさんに言ってなかったっけ?なんか雑な気がするんだが、
「書けました」
「はい、名前はクロノ・シン、17歳で特技は剣術。間違い無いですか?」
「大丈夫です」
「では冒険者ギルドへようこそ。ギルドについての説明は必要ですか?」
「よろしくお願いします」
「では、冒険者ギルドでは冒険者の方達に街のお尋ねごとから、採取、討伐、護衛などのクエストを受けてもらっています。クエストを一定数達成していくことでランクを上げることができます。ランクには見習いのE、D、一人前のC、B、達人のA、そしてそれ以上の英雄と呼ばれる様な人達がS、世界でも数人しかいない伝説となる人達がSSランクです。シン様はギルドに入ったばかりですのでEランクです。他に何か質問はありますか?」
「えーと、冒険者同士でいざこざが起きた時はどうしたらいいですか?」
「その様な場合は、自己責任となっています。しかし明らかに法に触れている、許容出来ないこととギルドが判断いたしましたら介入いたします。」
ほう、つまり殺ってしまってもいいということですね。まあそんな決心できていないけど、
「わかりました。ありがとうございます」
「他に何かありますか?」
「大丈夫です」
「クエストは、どうしますか?」
「因みに今どんなのが受けられますか?」
「そうですね、今から外に出てのクエストでは時間がないので、犬の散歩、庭の草むしり、お使い……
「辞めておきます」
後2日で強くなれるし、今すぐ金に困っているわけではないのでやりたくない。
「そうですか、初心も大事ですよ?」
「結構です」
「ではこちらがギルドカードです。他の支部でももちろん使えますし、無くしますと再発行に金貨一枚となりますので大切にしてください」
「わかりました」
そう言って、俺はギルドを出た。
テンプレ起きねーじゃねーかよ!
まあ、自己責任という事だったし起きたところで俺じゃ対処できないから、良かったんだけどさあ。
なんかひょうしぬけというか、残念だったな。まあ俺だったら、Sランクと一緒に来た奴にちょっかいかけたことがそいつに知れて仕返しされたらたまったもんじゃないって思うからな。
今日やることもないし、まだ昼過ぎくらいだけど宿屋にでも入って休むか。
宿屋、宿屋、宿屋…どこだ?
「メアさーーん、おすすめの宿屋教えてー」
テンプレなかったですね。
もう貯金がないので早く書かないと。