旅立ち
テストは、終わりました(別の意味で)ので再開します。
次の日の朝、俺たちは、玉座の間に集まっている。
俺が一歩前にいて、後ろに四人がいる。俺の前には王様、王妃、それに王女たちもいる。
「では、黒野殿よ、本当に行ってしまうのか?」
「ああ、変わりはない」
「そうか、四人もそれでいいのだな」
「はい」「ああ」「ええ」「うん」
「そうか、わかった。では黒野殿よ、これを受け取れ、」
そう言うと、王の隣で控えていたアルスさんが一つのカバンを持ってきた。
「これは?」
「それはマジックバッグだ。ある程度の量なら重さや、大きさを無視して入れることができる。その中に冒険者として必要な物なども入っている。持って行くがよい。」
ファンタジーでおなじみのマジックバッグには、空間魔法を付加したものと、ダンジョン産のものがある。しかし今は、空間魔法の使用者が殆どいないので世の中に出回っているのは、もっぱらダンジョン産である。数が少なく、需要も高いことから、どんなものも高値で取引されている。
「マジックバッグは、相当高価なものと聞いているが本当にいいのか?勇者のために取っとかなくても」
「ははっ、心配しなくても良い。それは国で持っている中でも容量の少ないものだ。それに勇者達の分はしっかりとある」
「そうか、じゃあありがたくいただくよ」
「うむ、して、もう行ってしまうのか?」
「ああ、早い方がいいからな」
「そうか、アルス、黒野殿を城門まで案内してあげなさい」
「はい」
今、俺たちは城門の前にいる。
宗治達が、
「しっかりと友達作れよ、お前人見知りだからよ」
「うるせー、お前は母親かよ」
「黒野くん、同じ生徒会のメンバーとして、一緒に元の世界に戻りましょう。それまで死なないでください」
「そっちこそ、お前達は、魔王相手にすんだぞ」
「真くん、約束忘れないでね」
「ああ、白川さん」
「おっ?約束って何かな〜?黒野君、それを聞かずしてこの宗治お前を見送れないなあ」
「黙ってろ、このゴリマッチョ」
「はっはっは、それは褒め言葉として受け取ろう」
「はいはい」
一輝が真っ直ぐ俺を見て
「僕は君に負けないよ」
ん?俺があいつに勝っていることって…ああ、昨日のことか、そりゃ昨日二人だけいなくて、遅くに一緒に帰ったんだもんな。気づくよな
「俺がお前に勝っている事なんて何もないと思うがなあ、一輝」
「まあ、そう言う事にしておこう」
「じゃあな、またどっかで会えるといいな」
そうして俺は城を出て行った。
「良かったのかよ白川さん、あいつについていかなくて」
「えっ、な、なんで?宗治くん?」
「だって付き合ってんだろ、黒野と、つーか昨日帰った時にやにやしすぎ、すぐわかったわ」
「そんな、気づかれてたなんて、でもそのことはいいの。私には私のやるべき事があるから」
「そうだよな、俺たちは魔王討伐しないといけないんだもんな。そのために強くならないと、な、一輝」
と、宗治は一輝の肩を叩きながら言うが、一輝は、下を向いたままの姿勢で
「ああ、そうだね。強く、ならないと」
と、端的に言うだけだった。
(一輝のやつ、こんな感じだったか?)
一瞬不思議に思ったが宗治は、気にしなかった。
真side
ふっふっふっ、はっはっは、はーーはっはっは!
ついに自由だーーー!!
いやー今まで無能なふりをするの疲れたわー(いや、実際まだ無能のままなんだけどね)ん?なんだその憐れむ様な目は、別に俺は現実逃避している訳じゃないぞ、本当だからな。
じつは、俺が召喚された時こんな事が起きてたんだよ。
短めでした。次は回想でーす。