母ちゃん、もうキツイ 4
目覚めた僕はまず冷静に床をふいてパンツを新しいのに代える。
ボロい上に臭い部屋なんて最悪じゃないか
そして、クリクリしたぱっちりと開いた大きな瞳と腰まできた黒い髪が印象にのこる女の子(鼻をつまんでいる
と対面したのであった。
「えーと、何て名前」
「あ"い"り"た"よ"!(鼻をつまんでいる」
いまだに臭いのか鼻をつままれているのは些かショックだが、どうやら察するにこのロリはこの家の住人のようだ。
「遊ぼ!」
どうやらお暇なようなので、僕はダンボールからスーパーファミコンを取り出して2人でぷよぷよをすることにした。
ここであえての旧世代が生み出したポンコツ(名機)を選択したかというと新型ゲームだと最近の子どもはやりこんでる可能性があり大人の面目を潰さないためにも、僕が得意でかつ相手が苦手そうなハードを選び基本ボコってたまに負けてあげるスタンスでいくのが一番だと判断したからである。
それにぷよぷよは僕にとって、思い出深いゲームでアルルは青春だ。
これだけはゆずれないってとこはあるよ
しかし僕の見立てはかなり甘く
『ばたんきゅ~』『ばたんきゅ~』『ばたんきゅ~』『ばたんきゅ~』
殺人連鎖で4タコにされた。
4打数ノーヒット 今日の僕は8番レフトを任された方が良いみたいだ
「ねねねえ、どこでそんな積み方を学んだのかな?」
明らかに声が震えてた、もう面目もクソもない
「お姉ちゃんが教えてくれたんだ」
「へーそうなんだ。やっぱりそんなポンコツ糞ゲーより、次はこれをやろうよ」
取り出したのはPS3と鉄拳
青春?なにそれ、俺のシャオユウより大事なもの?
「いいよ~(笑)」
小学生相手に闘争心むき出しでゲームをセットしていく僕だったのだが、あいりちゃんはなぜか上機嫌でこう言った。
「お兄ちゃん今日からあいりのお兄ちゃんになるんだよね、すっごい嬉しいよ!今日から家族だね」
にこにこしながらそう言われると僕も照れくさいけど
「ありがとね、僕も今日からあいりちゃんのことを可愛い妹だと思うしこうやって毎日遊んでくれたら楽しいよ」
そういうとニコッと笑って「早くやろうよー」と言うので可愛くなって抱きつこうとしたけど、片手で払われた。まだ臭いらしい
僕たちはそんなこんなで仲良くゲームを数時間して楽しんだ。
「じゃぁね、楽しかったよ」
ルンルンとスキップしながら部屋を出ていく少女とは対照的に
糸の切れた操り人形のようにガタンと床に突っ伏している僕がいた。
1勝もできなかった...家族って世知辛え。