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エンジェル  作者: takayuki
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2話 うざいんだよ!

【2話】うざいんだよ!


キンコーンカンコーン♪


3時限目の授業の終わりのチャイムが鳴った。


【私の席は、後ろから2番目の窓際の席。前には友達のふうりちゃん。クラスの人数は38人で、わたしは女の子の友達は多い方だとおもう。みんな仲良しで、いい子ばかりなんだ。】


次の授業までの10分間休憩に、後ろの席に座っている、あのヒロシが花に声をかけてきた。


「おい!花子。」


「・・・。」


「おい!花子って言ってるだろ?!」


花は、無視を続け心の中で思った。


≪こいつ・・・ウザい・・。何が花子よ。わたしは、花よ!毎日こいつは、わたしにちょっかいを出してくる。ほんとマジうざい。≫


ヒロシは、自分の顔の鼻をつまみながら話してきた。


「おい。おまえの名前をこの鼻にしてやろうか?」


≪・・・。柔道部のハゲ頭のクセに、ほんとバカすぎる。絶対仕返ししてやる!≫


花は、ヒロシを無視して、何かを考えた後、前の席の友達のふうりに声をかけた。


「ねー。ふうりちゃん。ちょっと向こう行かない?」


ふうりは、少し不思議そうな顔をしたが、ともだちの花のためか、すぐに返事をした。


「いいよー。」


ヒロシは、花がいなくなると、ちょっかいを出す相手がいなくなって寂しいのか小さくつぶやいた。


「いっちゃうのかよ・・・。」


花は、数人の女の子を集めて、休憩時間の10分間のうちにヒロシのうざさを話した。





4時限目の終了チャイムが鳴ると、数人の女の子がヒロシの机に笑顔で集まって来た。花・ふうり・加奈枝(かなえ)美嘉(みか)の4人だ。ヒロシは、少し驚いた顔になった。でも、その中に花もいたし、モテ期が来たのかと錯覚したのか、どことなく嬉しそうな顔をしながら言った。


「な・・・。なんだよ。おまえら。」


友達の加奈枝(かなえ)ちゃんが、最初にヒロシに笑顔で話しかけた。他の女の子も終始、笑顔だ。


「ヒロシ。柔道頑張ってる?」


「お…。おー。頑張ってるぞー。」


加奈枝(かなえ)は、さらに笑顔で可愛い声で言った。


「お前って、頭の髪の毛もないけど、頭の中身もないから。ドジばかりしてるだろ。」


ヒロシは、少し驚いて、ギョっとした。言ってる内容と笑顔が一致しない…。だから、何か聞き間違いをしていたのだろうと思った。モテ期が来たのではと、少し期待していたヒロシは思いもよらないギャップのある言葉で、脳が混乱して、現実と空想が一致しなかった。それに、みんな笑顔だから冗談だと思い笑いながら言いかえした。


「う…うるせーなw」


その言葉を聞いて、美嘉(みか)ちゃんも反撃にでた。


「うるさいのは、お前だよ!お前ってアホだろ?」


「そうだ。そうだ。」


ヒロシの顔はひきつりはじめた。やっとモテ期ではなかったと認識しはじめた。大きな声で罵声(ばせい)を言われてるヒロシの席のあたりをクラスのみんなの視線が集まりはじめる。ヒロシは、たすけてほしいと思い花に、話しかけた。


「おい・・・。花子たすけてくれよ。」


≪こいつ・・・。まだ、言ってる。マジ、うざすぎ!≫


「花子じゃねーよ。花だよ。お前、日本語も読めねーのか。」


連続で女の子たちに暴言をいわれて、ヒロシは少し泣きそうになって謝った。


「ご・・・ごめん。わるかったよ…。」


「悪かったじゃねーよ!」


急に男の子の声が割り込んできた。


「おい。もうそれぐらいにしておけよ。ヒロシだってちゃんと謝ってるじゃないか。」


それは、二ノ宮麗(にのみやれい)だった。


【二ノ宮麗(にのみやれい)彼は、成績優秀・運動神経抜群の秀才と言われている子だ。それだけじゃなくて、見た目もかっこよくて、1年生の女の子たちのファンクラブがあるぐらいだ。だから、女の子たちも麗は、影響力がある。そんな彼は、歴史や物理、そして、どうしてか不思議な事が好きで、それらのことをよく勉強をしているらしい。そして、不思議サークルっていうのを自分で作ったら、男の子だけじゃなくて、女の子まで何人かが、入って来た。】


そんな(れい)に嫌われたくなくて、女の子はみんなヒロシの机から次々と離れて行った。


花は思った。


≪ヒロシは、嫌いだけど、わたしも(れい)くんに嫌われたくないし、もういいかな。≫


すると―――


≪かわいそうに≫


花は後ろ振り返った。後ろから声が聞こえたように思えたけど、近くには誰もいなかった。


≪気のせいか…。≫


【これがわたし、井田中花という人間だった。アニメやラノベに出てくるような可愛い女の子じゃない。嫌なものは嫌だっていうし、やさしくもない。ひとりでは、ヒロシにも文句を言えないけど、心の中では、文句を言ってる。それにドジだし、勉強だって出来ない…。頭の良さは普通だっていう雰囲気だけは、かもし出してるけどね…。だから、決してヒロインだって呼ばれる人たちとは、程遠い存在が、このわたしだ。人は変われるものなんだって、そのときのわたしは、知らなかったし、変わろうとも思ってなかった。】


 部活も終わり、下校している時だった。普通の中学生なら学校がおわれば、一日の出来事は、ほとんど終わりなんだけど、今日という日は、違っていた。

 海岸線沿(かいがいせんぞ)いの道は、平坦(へいたん)で自転車で走るのはとても楽なんだけど、海沿(うみぞ)いから、花の家までの坂道は長くて、自転車で登って行くのは体力が持たないから、自転車をひいて歩く。そんな坂道の途中に、変な人が立っていた・・・。


小学校3年生ぐらいの男の子で、ほとんど上半身は(はだか)…。しかも、背中に羽のコスプレをしてる。


≪絶対、あの子…危ない子だ。気にしてない感じで通り過ぎよ…。≫


と、思ったあと、その男の子のうしろの道をサーカスの宣伝カーが横切った。


≪あぁー…。なーんだ。あの子、サーカスの子か。…ほんと知らないと怖いって…≫


道路の(すみ)を自転車をひきながら、花はその子を通り過ぎようとした時、小さい声のようなものが聞こえた。


≪ぼくは、サーカス団員じゃないよ≫


≪え…!?なに…?何か聴こえたような…。うーん。気のせい。気のせい^^;≫



【もう少し、歩いて行った先にあるわたしの家は、昔から代々神社を守る家系なのです。今はもう神社をしていないんですが、昔は井田中神社(いだなかじんじゃ)があって、今もある井戸を守っているんだと、お父さんから小さい頃に教えてもらったことがあります。その井戸は12個の石で造られていて、それにも意味があるんだと聞きました。わたしは産まれた時から、この家に住んでるから分からないんだけど、ともだちが家に遊びにくると「花ちゃんの家って不思議なもの多いね」ってよく言われたりします。】


そんな家の門をくぐると、花はものすごく驚いた!!


【2話】完


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