十人十色!
こんにちわ、ゆでたまごです。
第2話目です。
ゆるゆるとご堪能あれ!
『・・・・・・。』
・・・今この美術部では沈黙が保たれている。
いや保とうとしてるわけではないのだ。沈黙せざるを得ない。
なぜかって・・・
「だー!!もうヒマぁ!岩崎ぃ!なんか面白いことしてっ!」
「なんで俺なんだよ!お前が部長なんだし、今日の活動はお前が決めろ!一応美術部なんだし・・・。」
「美術部だってことを考えて活動なんか決めらんないわよ!絵かいてるだけなんてつまんなーい!」
「「「「(じゃあなんで美術部に入ったんだよ!!)」」」」
あれ?なんだこれ。みんなから無言の視線が痛い!心が!痛い!話をそらさないと!
「じゃぁ今日はお話してっよかぁ。テーマは【自分の好きなこと】でー。」
「手抜きだ!」
「いいじゃんまだ2話目なんだからぁー。お互いのことを知るのは大切だよぅ?」
「うっ・・・。妙に筋が通ってるな・・・。」
「私もそれでいいと思います・・・。」
おずおずと手を挙げる実秋ちゃん。
「「小春(冬奈)達も、それが良いー!」」
「じゃあそうしよう!」
「ちょいまて。なんでそんないきなり簡単に賛成してんのよ!」
「善人の言うことはきく主義だから。」
「私だって良い人だもんー!!」
まさかのひどい裏切り!前回、好きとか言ってたくせにぃ!
「まぁいいわ。じゃあ、まず実秋ちゃんからっ!」
「ふえ?」
一瞬、ハッとする実秋ちゃん。でもすぐに彼女は話し始めた。
「す・・・好きなことですか・・・。私は、よく家でピアノとか弾いてますよ。」
「へぇ。自分で練習とかしてんの?」
「いえ。家に先生が来てくれて練習してます。」
「あら!すごいじゃない!賞とかもらったことあるんじゃない?」
「ドイツで開かれた、コンクールで賞もらったことありますー。」
「「「「「え!?」」」」
「ほにゃ?」
なにそれ!?ドイツ?ドイツだよ!?私行ったこともない!
「そ・・・それって結構すごくない?」
「そうですかぁ?」
「実秋ちゃんってさ・・・もしかして・・・」
岩崎が言いかけたけど私たちにはもう分かっていた。今なら実秋ちゃん以外の全員が考えてること、分かる。
・・・雛野実秋はお嬢様・・・だと(思われる)いうことだ。
「まぁ結構、実秋ちゃんのイメージがだいぶ変わった所で次行こう!」
「?」
実秋ちゃんはぽかんとしてたけど、他の皆も分かってるみたいだし。それでいいか!
「んじゃ、次は双子!」
「小春はみあちゃんみたいな驚愕のプロフィールは無いよ!」
「冬奈も無いですよ?驚かれるようなこと!」
二人とも自信満々だけど部室の角に置いてある、ロープやらおもちゃのナイフや蛙やら・・・を見ると、二人ともとっても個性的な趣味の薫りがプンプンなのだけど・・・。
「じゃあ聞こうか!双子は休日何してるの?」
「「嫌がらせ&いたずら。」」
ど・・・どうしよう!すっごい笑顔で返された!つっこみづらいよぅ!
「そ・・・それはまた・・・。それって楽しいの?」
岩崎が話しかける。
「うん!おろおろとする顔とか、どんな人でも一瞬見せるびっくりした顔とか、」
「どきどき・・・。いいえ、ぞくぞくするんですよ?」
「それは楽しそうだネー。」
いっ岩崎が諦めた!でも正直私もどうすればいいかわかんない!こんなピュアなドS、見たことないよぅ!
「私的にみあちゃんはとってもいい娘だよねっ。」
「ど・・・どういう意味でですかっ!?」
若干、涙目になってる実秋ちゃん。た・・・たしかにこの娘はいじり甲斐がありそうね・・・。
「ふわぁ!もう敵だらけです!」
・・・かわいい。
「笑い(にやけ)が隠しきれてないぞ。瑠夏。」
まぁ、この双子の趣味は分かるねっ。納得、納得。
「というわけで次、岩崎いってみよー。」
「あぁ、もうこれお前の中では決着ついたんだな!」
「ほら!さっさとする!どうせ皆、あんたのことなんか興味ないんだから!」
「ひでぇ!」
まぁ、そんなこんなでも岩崎はきちんと話しだした。
「うーん・・・。俺はごろごろしてる。特に趣味はないっ!」
「何よ!つまんないわね!」
「興味ないっつったのはどこのどいつだーい!」
「え?何?キモイよ。死んで。」
「うわ。妙に傷つくって!それ!!しかもなに死んでって!」
「というわけで岩崎のターンは終了。はい、皆あとはフリートークでもしよっか。」
「ちょっとまて!まぁ俺のことは良いとして、お前はどうなんだよ!」
「は?わたし?そんなん、読書とネットに忙しい毎日よ!」
「まぁわかってたけど・・・。」
「ネットって何してるんですか?私パソコンとか良く、分からないんですけど・・・。」
「あら!そんなの決まってるじゃない!」
私は無駄に間を空けてみる。
「美少女のエロ画像とかを―――。」
「ちょっと待て。言わんで良い。実秋ちゃんに変なこと教えるな!」
「それをみれば大人にまた一歩近づけるのよ!」
「はぁ。大人ですかぁ。それは良いことですねぇ。実秋もネット、挑戦してみようかな・・・。」
「うん。エとロを隣りどおしに入力して検索はしないようにしようね!」
「あ。そうだ岩崎。」
私はふとそのことを思い出した。
「なんだよ・・・。」
「わたしのしおり知らない?美少女イラスト付の。」
「なんで俺が知ってんだよ。」
「昨日ここの机に置いておいたからさ。岩崎あたりが盗んじゃいないかと。」
「俺はそんなの盗まん!」
ありゃ。以外とそういう一面があったら面白かったのに。それはそうと、あれが無くちゃ困る。なんたって美少女イラスト付だものね!
「えー。どうしよ!だれか知らない?」
「るぅちゃん。ポケットに何か入ってるけどそれなぁに?」
「え?」
わたしのポケットから少し顔を出している長方形の紙。
「ああぁ!!あったぁ!!!」
「(・・・瑠夏って実は天然だったりするんじゃねぇの?)」
「(それ私も思いました。瑠夏さん、そういうとこ結構ありますよね・・・。)」
「(つり目で元気な天然って珍しいよねっ!)」
「(部長さんって意外とだれよりもかわいいと思います。)」
「?」
なんかみんなにやけ顔でこっちを見てくる。え?なに?皆の中でなんか進展があったみたいだけど・・・。
「というわけでもう時間だし、帰るかぁ!」
「どういうわけ!?私にも教えてよぉ!」
「「ばいばーい!」」
「さよならー。」
「じゃあな!瑠夏!」
「ま、待って!私も行くから!!」
こんな面子で構成されている、どうしようもない美術部です。