もう!!魔王ちゃんはヨダレでベタベタ!?
あたりは薄暗く不気味だった。
私達はどんどんダンジョンの奥へ進んでいく。
すると広い大広間に一つの宝箱を見つける。
「また宝箱がある!やった〜」
私は純粋に喜んだ. 前回の宝箱はろくなものが入ってなかったし…
しかしアリスは何故か少し警戒している。
宝箱に手を伸ばした瞬間…
…バン!
大きな音とともに宝箱が開いた。
そう、宝箱のモンスターミミックだったのだ!
たちまち上半身を食べられてしまい、私は、お尻をアリスに向けたまま足をばたつかせた。
「いやぁぁぁ 助けて!!」
「まっておれ、今助けるぞ!!」
すかさずアリスが私を引っこ抜こうとするけれど、私はびくともしない。
「〜ん、挟まっており、抜けないぞ!!」
「ちょっと!?待ってってば!痛っ、痛いってば!」
「少しは我慢せい!ほら、引っこ抜くぞ!踏ん張れい!」
「えぇ!?ちょ、待ってってば!心の準備なんて、全然できてないよ〜!」
「ふん!」
アリスの野太い声で引っこ抜いた。
「うぇぇ〜っ、よだれでベッタベタだよぉ…」
髪の毛やワンピースはよだれでベチョベチョになっており見るに耐えない状態になっている。
なぜか、アリスはそれを「かわいい」と言い、私に抱きついてくる。
いや、なんでだよ!!
「コラコラ、動くな!今妾がその汚れを取ってやる!」
私についているよだれを指で拭きながら、私のほっぺをムニムニする。
「えへへ、ありがとう〜。ほっぺ、むにゅむにゅしないで〜」
「怪我はなさそうだな…良かった…」
アリスは妙に真剣な顔で、ぐいっと私に抱きついてきた。
ちょ、待て…柔らかいのが当たってるんですけど!?
しかもけっこう全力で!
私は少し、動揺していたけどアリスは全く気にしていない様子だった。
「あの……ちょ、ちょっと。胸、当たってるんだけど……!」
「そうか。妾の母性を感じ取って甘えたくなったのじゃな?ふふ、遠慮せずこの胸に飛び込むがよい!」
「いや、だから当たってるって言ってるんだってば!あと勝手に母性を発動しないで!?」
「ルーミアは甘えん坊さんなんだから〜」
「もう!子供じゃないんだよ!」
アリスは、私をわしゃわしゃと撫でまくった。
私達は更に進んでいく、すると奥から重低音の魔物の声が響き渡る…
「ねぇ…アリス…なんか声がするんだけど…」
「うむ…妾にも、聞こえる…」
「もしかして!オバケかな!?」
「そ、そ、そんなわけ無いだろう!?」
お互いに顔を見合わせた私達は、何が来てもいいように、息を呑み、身構えた。
その影は、どんどん大きくなっていく
そしてその瞬間!その影の正体が明らかになった!!
・・・小さな子犬だった!!
「かわいい!!!!!」
アリスはその子犬をもふもふし始めた。
「ルーミア!!この子、もふもふでめちゃくちゃかわいいぞ!」
「本当?魔物なんだよ!!」
「それをゆうなら妾たちも魔物じゃないか」
「いや、そうだけど!? ちょっとは気をつけようよ!」
そんな事言われたらぐうの音も出ないのだが…
「まぁ良いではないか!こんなに可愛いのだから!ルーミアも撫で撫でするのだ!」
「え!私も触る!?」
「もちろんじゃ!ほれ!」
私は子犬に恐る恐る手を伸ばす、すると子犬が突然噛みついてくる。
…バウ!
「キャッ!やっぱり魔物だよ!だって私に噛みついてきたんだよ!」
「いや…ルーミアが怖い顔してるから、この子も驚いたんじゃろ」
まったく、気が付かなかったのだが私の顔はとてもこわばっていた。
「ルーミア!リラックスじゃ!リラックス〜」
そう言って私の肩をポンポンと叩いて、リラックスさせる。
「うん…わかった」
アリスは、わたしの手に乗せて、いっしょに子犬を撫で撫でしようとする。
確かに、子犬はもふもふしており、少し生温かい。
「…可愛い」
「だろう!かわいいじゃろう!お持ち帰りしたいな〜」
「この子家で飼うの!? 絶対ムリ!!」
「えぇ〜〜〜」
アリスは少し悲しそうだった。
でも次の瞬間子犬は私を舐めてきたのだ。
「えっ!?ちょっと、なに!?コラ、やめなさいってば〜!あははは~くすぐったい〜」
私はすっかり、この子犬の虜になってしまった。
「わかった…アリスがちゃんと面倒を見るなら家で飼うことを許します。」
「ホントか!やった〜〜〜ルーミアありがとう〜〜〜」
「だから抱きつかないでよ〜」
無邪気な子供のようにアリスは喜んで私に抱きついてくる。
でもわたしたちは知らなかったこれから大変なことが起ころうとしていることを




