最弱魔王ちゃん初めての異世界飯!!
温泉を出たあと、童とルーミアはゆっくりと山道を歩いていた。 湯のぬくもりがまだ体に残っていて、空気はひんやりと心地よい。
ルーミアは何度も目を凝らしては、ふわりとまぶたを閉じそうになる。 眠気に抗うように歩いていたけれど、とうとう足取りがふらつきはじめた。
童はそんな彼女を見て、何も言わずに背中に抱き上げた。 ルーミアは驚くこともなく、すっと肩に頭を預ける。
星々は空の端に沈みかけていて、世界にはもうふたりしかいないような気がした。 静寂の中、童はルーミアを背負いながら、ゆっくりと山を下っていく。
洞窟に着く頃には、ルーミアはすっかり眠っていた。
背中からは彼女の寝息と、小さな心臓の鼓動が静かに伝わってくる。
童はそっとルーミアをベッドに寝かせる。 彼女の横顔はとても可愛らしく、まるで天使のようだった。 童はその横顔を、しばらくの間、静かに眺めていた。
私が目覚めたとき、アリスの家にいた…
昨日疲れてしまってそのまま寝てしまったのだろう
台所からはとてもいい匂いがしており
アリスは鼻歌を歌いながら朝食を作っている。私がおきたことに気が付いたのかアリスは
「ふ〜んふふ〜ん♪ おう!おはよう ルーミア! 昨日はちゃんと眠れたか?」
「うん おかげさまで」
「そうか!それはよかった! まっておれ 今から朝食を持っていくから」
そう言ってアリスは私に朝食を持ってきてくれた。骨付き肉と果物であり
骨付き肉はさすが異世界私が想像しているものよりも一回りも二回りも大きい
果物は見たことないものばかりで、どれもカラフルだ。正直言って食欲をそそるものではない
けどわざわざアリスが作ってくれてものだ食べないのも申し訳ない…
「どうしたおなかすいてないのか?」
「いや…いただきます…」
私は恐る恐るお肉をほおばる…うまい!!
なんというか豚と牛の中間みたいな味食べ応えがある
フルーツは…こちらもうまい!!
見た目は正直言って、あまり食欲をそそられないが
味はほっぺがとろけるほどおいしい!!
「ん〜っ!アリス この料理たちすごくおいしい!!」
「そうか!それはよかった!!」
アリスは満面の笑みで答えてくれた。そんなアリスの表情を見れて幸せだなと感じる…
ところでこの肉は何の肉だろう?この大きさの肉は前世で見たことがない…多分異世界固有の生物かな?
「ところでこの肉は何の肉なの? 私、初めて見るからさ」
「あぁ この肉は大蛇の肉じゃ」
…!
「大蛇って…こんな生き物どこにいるんだよ…」
「基本的にダンジョンにおるな 小さいもので1m でかいもので5m~6mほどあるな」
「へ~そんなにでかいんだ~ でもいつも蛇の肉だけじゃ あきちゃいそう」
「蛇だけじゃないぞオークやゾンビはたまたゴブリンも食べるな!!」
どうやらこの世界は弱肉強食らしく例え同じ種族だとしても共食いをするのだとか…
恐ろし…というか正直知的生命体の肉は食べたくないのだが…
そして私は肉とフルーツを食べきり、食器を片付けた
何やら今日は、アリスの特訓があるらしい…
朝食を食べ終えた私は、アリスに連れられて洞窟と反対の草原に向かった。
私に魔法の手ほどきをしてくれるらしい…
「童は手本を見せるぞ!我に従えし精霊よ 童に力を分け与えろ!!」
そうすると草原に大きな亀裂が入って、いたるところが隆起した。
「まぁこんな感じじゃな! ルーミアもやってみろ!」
「私、魔力0だから魔法使えないんだけ…」
「試しにやってみるのじゃ!やりたいことをイメージするのじゃ そうすれば精霊が魔法を手助けしてくれるぞ!」
そうなのか…?と思いながら、私は喉が渇いたから水が出ることを頭でイメージした。
「しっかりと呪文を言うのだぞ!」
アリスは少し、にやつきながらそう答えた。私は精一杯腕を伸ばして魔法を言う…
「わ、われに…し、したがえし…せ、精霊よっ!わ、私に…ち、力を…貸してぇ〜〜っ!!(顔真っ赤)」
・・・・・・・結局何も起こらなかった…
こんなに頑張ったのに!もしかして声が裏返ってしまったのがダメだったのかなど色々考える。
アリスは満足そうな顔をしている
「結局ダメだったじゃないか!」
私がショックそうな顔をしていることに気が付いたのかアリスは
「よし! 童と一緒にやるぞ!!」
「え…魔法って一緒にできるの?」
「もちろんじゃ 本当にルーミアは何も知らないのだ!ルーミアは童とともに復唱すればよい」
アリスはクスっと笑い 私の手を握り天に向かって魔法を叫ぶ…
「我に従えし精霊よ 童に力を分け与えろ!!」
「我に従えし精霊よ 私に力を貸して!!」
たちまち草原が水に満たされる…アリス曰く魔法を共有することで魔法が使えない人も使えるようになるらしい…自分自身の力ではなかったので少し複雑な気持ちだったが、
魔法を使えて正直うれしい!!
私はその場でうれしくてピョンピョン飛び跳ねた。
そんな姿が可愛かったのかアリスは満足そうな表情をしている。
そんな感じで、私の魔法の練習は半日ほど続いた。 けれど、何度やっても一人ではうまくできなくて、私はアリスに申し訳ない気持ちになった。
そんな私に、アリスは突然こう言った。
「よし、ダンジョンへ行くぞ!!」
アリスの話によると、魔法は実践の中で使ったほうが上達するらしい。 でも、本当にそうなのかな……。
私は半信半疑だった。
今日はもう遅いので、ダンジョンに行くのは明日ということになった。