深淵の裁判人の登場!?
ここは、オーク王国の宮殿
その玉座には、一人の少女がふてぶてしく座っている。
茶色のくるくるツインテールに、肩にかけた大きすぎるマント、その下に身に着けているのは、ぴちぴちの競泳、スクール水着みたいな、衣服を着ている。
「…つまらん」
少女は、つぶやく
「おい!そこのお前!面白いことをしろ!」
「え? 面白いこと、とは……いったい何をすれば?」
「もういい!断罪!」
少女が指を鳴らすと、天井から眩い光とともに、その魔物を貫かれ、消し飛んだ。
「本当に、つまらん、そこのお前、こいつと決闘をしろ!」
「お言葉ですが、仲間同士の決闘は禁止されておりますが?」
「なに? あたいの言うことが聞けないっての?」
「い、いえ!?めっそうもございません!」
少女は、興味なさげにその決闘をぼんやりと見つめる。まるで、心ここに在らずといった様子で。
「は〜実につまらんお前らもういいぞ、二人とも断罪!」
そう、このわがまま娘こそが、かつて魔王軍四天王の一角、深淵の裁判人のリコ・ブラウンである。
「リコ様!申し上げます!先ほど送った。オークキングたちが全滅しました。」
「なんだと!?オークキングは、並大抵じゃやられるはずがないのだが…」
彼女は、頭を抱える。
あの地帯には、小さな村が点在するだけで、特に強いやつなどは、いるはずがない
「その情報は、どこから得た?」
「はい!オークキングに同行していた低級オークたちが、命からがら生き延びましてー」
「今すぐそいつらを連れて来い!!」
「はっ!」
「いったい、何が……」
ぽつりとつぶやき、大きなため息をつく。
その時──
「連れて参りました!」
勢いよく、宮殿の扉が開く
「お日柄もよく、オラは、オークの、、、」
「お前の自己紹介はどうでもいい、誰がオークキングを倒したのか?」
「あ、はい!魔王ルーミアという奴が、オークキング様を倒しました」
「魔王ルーミア?誰だそいつは?」
「確か…魔王族の血を引く、新しい魔王だと名乗っておりました!」
「バカを言え。魔王族はとっくに絶滅した」
「オラも最初は、そう思いました。でも見たんですよ!ルーミアって奴の、お腹に魔王族特有の紋章を」
「そんなわけないだろう!あたいは、この目で先代魔王様が死んだところ見たんだから」
「本当ですって!あと、アリス様とユキ様がいらっしゃいましたよ」
「それは本当なのか!?」
「え?…はい!」
(アリスとユキが、動いたのか…これが、本当ならルーミアという奴は、本当に魔王族なのかもしれない)
「…面白い」
「?リコ様なんか言いましたか?」
「実に、面白い!!よくやった、褒めて使わすぞ!」
「え、はい!ありがとうございます!!」
「おい!オークナイト!出て来い!」
手を何度か叩くと、突然、鎧をまとったオークが陰から現れた。
「お呼びでしょうか、リコ様?」
「あぁ、例の終末兵器を出せ」
「終末兵器ですか!?あれは、まだ試作段階で、実用できません!?」
「なに?あたいに歯向かうの?」
「いえ、そのようなつもりは…!」
「もういい!あたいが実際に見て確認する」
彼女が、彼女はそう言って、宮殿を後にし、地下の武器保管庫へ向かった。
あたりは薄暗く、冷気が肌に刺さる。階段を下り、声をかける。
「おーい!誰かいるかー?」
「これは、これは、リコ様、こんな地下までどうかなされましたか?」
「例の終末兵器を見せて欲しい」
「わかりました!こちらです」
そこには、多くの最兵器が、ずらりと並んでおり、特に目立つ場所に最終兵器がずらりと並んでいた。
「こちらが最終兵器です」
「うむ、これらを使いたい」
「わかりました、何台導入しますか?」
「使えるもの全部だ」
「全部ですか!?ゴブリンどもと戦争を起こすのですか!?」
「いや、緩衝地帯の村を攻撃するのだ」
「お言葉ですが、あそこには、低級の魔物しかおりません、そこまでする必要ないと思うのですが…」
「アリスとユキがそこにいるのだ」
「アリス様とユキ様が……!? 了解しました。全兵器、準備いたします」
「よろしく頼む」
(待っておくのだ魔王ルーミア、お前はこの、あたいが、直々に、審判を下してやる)




