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魔王ちゃんが襲われちゃう!?

あたりもだいぶ暗くなってきており、私は颯爽に暖炉に入れる薪木の準備をしようとしたその時。


遠くから誰かが近づいてくる…


ここはだいぶ山奥でほとんど人は訪れないはずだが…


そんなことを考えながら、どんどん近づいてくる人影はくっきりと見覚えがある人物だった。


…アリスだ。


…チッ 


私は軽く舌打ちをした。


あいつはいつも横柄な態度で先代魔王様の隣を陣取っており、いつも甘やかされていた。いけ好かないやつだった。


本当だったら私がそばにいるはずだったのに…


でもなんでアイツが尋ねれくるのだろう?


アイツだって私のことが嫌いなはずだ。


よく見ると誰か女の子を抱えている...! 


…魔王様!


その手には、ぐったりと倒れ込んだルーミアがいた。


「お願いだ……ルーミアを助けてくれ、ユキ!」


彼女は泣きじゃくりながら、私のスカートにしがみつき、何度も何度もすがりついてきた。


私は驚いた。


だってこんなに必死に懇願する姿を始めてみたからだ。


昔は、自己中心的で、他人には興味がないやつだったから


「とにかく、容態を見るからベッドまで連れてきて」


アリスは、足早にルーミアを連れてベッドに寝かせた。


「なぁ!ルーミアは助かるのか!答えよ!」


「うるさい!なんとかするから。あなたは黙ってなさい!」


目を閉じ、全神経を一点に集中させる。


「精霊よ、私に力を貸したまえセラフィムヒール!」


嘘のようにルーミアの体はどんどん癒えていき、傷が治り始める。


「大丈夫か!?ルーミア!?」


「これで安静にしていたら治るから」


「本当か!ユキ、ありがとう〜〜!」


「あぁもうわかったから!」


私はアリスの手を振りほどき部屋を後にする。


どれくらい経っただろうか私は再びアリスがいる部屋をそっと覗く


彼女はずっと横で魔王様の世話をしていたらしく

手はすっかりかじかんでおり、疲れのせいなのか目は充血している。


「大丈夫か?ルーミア。冷たかったら、すぐに言うんだぞ!」


そんな声をずっとかけ続けている。


私は温かいココアをマグカップに入れ、こっそりと部屋に置いた。


朝になると、そのココアはすっかりなくなっていた。


鳥のさえずりの声で目を覚ます。


多分だいぶ寝てしまったんだろう。


横には、目が腫れているアリスと裸のユキがいる。


…ん?


なんで裸の女の子がいるの!?


「〜ん、あ、おはようございますよく眠れましたか?」


「…え、あ…うん…じゃなくて!!なんで裸なの!?」


私がしどろもどろしていると、ユキは少し考えて一言言う


「そんなことはどうでもいいじゃないですか。」


「いやよくないし!というかもしかして襲ったの!?」


「するわけないじゃないですか、でも魔王様がその気ならいつでも♡」


「ヒェ」


私の鋭い叫び声で、さっきまで寝ていたアリスがムックリ目を覚ます。


「〜フワァ、まったく朝からなんじゃ。騒がしい」


まだ眠いのか、アリスは目をこすりながらこちらを見る


…!


「ユキなんのつもりじゃその格好!?」


「ただ添い寝しているだけですが?」


「たわけ!これだから淫乱なサキュバスは嫌いなんじゃ」


「あらそう。私、横暴なドラゴンは嫌いですからね」


「なんじゃと!?」

「図星だったかしら、先代魔王にも邪険に扱われてましたからね」


「はぁん!それを言うならお主こそ女として見られていなかったんじゃないか。影でなんて呼ばれてるか知ってるかチョロいからチョロバスと言われておったぞ」


「なんですって!?」


口論が落ち着いたのか、お互い目をそらす。


少しの間気まずい空気が流れる。


なんとかこの空気を変えたいその一心で私は一言言う。


「…とりあえず、朝ごはんにしましょ!もうお腹ペコペコだよ〜」


「そうですね」「そうじゃな」


二人は同時にハモった。


「料理は私がやります。魔王様は座っててください」


「…え、でも」


「まだ完全に怪我が完治したわけではないので、安静にしていてくだい」


ユキは微笑み、台所に入り手際よく準備をしていく。


私達は料理ができるまで食卓に座って待つ。


「体調は平気か?」


「おかげさまで!…でもアリスの大事なワンピースが破れちゃった。ごめんなさい」


本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「いいんじゃ! いいんじゃ!妾は、ルーミアが無事なだけでそれで十分じゃ!」


満足気に笑い、ぎゅっと抱きついた。


その時に彼女はコソコソ声で、


「なあルーミア、怪我が治ったんじゃからはやくここからとんずらするのじゃ」


「そんなのダメだよ!ユキにはお世話になったんだしそんな恩を仇で返すことできないよ」


「いいんじゃ、アイツはただ世話好きな、ただの淫乱だから、いつか襲われるぞ」


「全部聞こえてますよ。全く、変なことを吹き込まないでくださいアリス。それに今帰られると困ります。魔王様にはこの国を統治してもらうのですから」


「フン!またふざけたことを言いおる」


アリスの一言に私も重ねて言う。


「そうだよ!それに、魔力0の最弱なんだよ!とても国を統治なんてできないよ…」


「そこは大丈夫です. 私がサポートします。あなたには、人を引き付けるカリスマ性があります。すぐに国ごとき統一できますよ」


すぐさまアリスが

「まぁ確かに、ルーミアは人を引き付けるカリスマ性はあるから国ごときすぐに統一できるな…」


「…え!ちょっと!?」


「ただ、サーポトは、妾だけで良い、ユキ、お前は足手まといじゃ」


「でもあなた、全然守れてないじゃない」


「なにを!?」


「まぁまぁ落ち着いて!」


なんとか場を落ち着かせたころに、ちょうど朝食ができあがったようだ。


メニューは、とろとろに煮えたコーンスープと、焼きたての熱々トースト。


ユキはおもむろにトーストをちぎり、美味しそうにスープへと浸す。


私もそれにならって、同じようにトーストをちぎってみた。


「〜〜〜ん なにこれ!?美味しい〜〜!」


「ふふふっ それは良かったです」


不貞腐れた顔のまま、アリスはそれでも美味しそうにトーストを頬張っていた。


朝食を食べ終わり、ユキは片付けを始めた。


「そういえば、村の人たちは新しい魔王が誕生したって喜んでいましたよ。」


…ん?


朝食の終わりユキの爆弾発言で頭が真っ白になる。もう色々な人に私が魔王だってことを知られているの!?

なんだかどんどん話がややこしい方向になってる気する…


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