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ツイノベ記録 感情の根元

lad+ マヒ主

昼寝前に降りてくるシリーズ!


 瞼を開けて、まだ夜の中にある薄暗がりにため息を落とす。

『珍しく怪我をした、マヒルのそばにいてあげる』なんてバカな言い訳はあっさり通じてしまい、結局彼の家に泊まるハメになってしまった。


 本当は、私自身が不安で仕方なかっただけなのに

一緒にベッドで眠る彼を見ていると、自分の中にいろんなものが湧き上がってくる。


 世の中の恋人たちはどうやって安穏に暮らしているのだろう。好きな人が目の前にいて、無防備な姿を自分だけに晒されて...一体どうやって?


 私自身は恋心を自覚してからと言うもの、以前のように自然に振る舞えていない。

 マヒルは何も変わらない。それは、ずっと前から私に対してこう言う感情を持っていたからだと言っていた。

それなら……私もいつか慣れることはできるのだろうか。


 心の底からじわじわ染み出す熱と、触れ合う度に勝手に震え出すからだと、ノーコントロール状態に陥る感情と、幸せに溺れてしまうような感覚に。



 

「どうしてこんなにかっこいいの?」


 胸の中に閉じ込めておくはずの言葉が口からこぼれて、慌てて手のひらでおさえた。

 でも、そうだね。カッコ良すぎるのがいけないと思う。

なにこの綺麗な鼻。目は大きいし、目尻が垂れてるのはあざといし、眉毛がシャキッとしてるからすごく強そう。

神様は沢山のものをマヒルに与えていると思う。容姿も、声も、運動神経や勘の良さも。


 その分辛い思いをさせて天秤を平に保っているのだとしたら私はフルスイングでグーパンチをお見舞いしたいけど。



 

 でも、与えられたものを生かしているのは彼自身だ。

頭がいいのも、バスケが上手いのも、人気があるのも、自分で努力してたからじゃない?彼は睡眠時間を削って勉強してたし、バスケだって人より練習してた。自分に与えられた天分の上にあぐらをかいていた人じゃない。


 確かにスタートラインは高い基準だったし、同じ課題を投げられてもあっという間にこなしてしまうのも、1つ学べば10得られるのも事実だけど。どうやっても追いつけない領分があったとして、それは彼が切り拓いた、彼だけが歩む資格のある道だ。


 結果として、今のマヒルは自分自身で得たものだよね?それなら私は正当に神様を殴れるわけだ、よしよし。


 


 1人で納得していると、いつのまにか宵闇に染まる紫が私を見つめている。昼に見えるオレンジはなりを顰めていた。


「......」

「......」


 沈黙のまま見つめあっていると、布団の中から大きな手が姿を現して肩を撫でられる。

彼の体温が与えられて、なぜか切なくなってしまった。


「肩を出すな、冷えるぞ」


 そう言った言葉と共に手のひらが冷えた場所をさすって温めてくれる。

マヒルの手のひらが冷えてしまうのが嫌で、思わず身を引いた。

眉間に皺がよって、今度は体ごと引き寄せられて腕の中に押し込まれる。そうっとかけられた掛布団の中で彼の匂いと、暖かさに包まれてしまった。


 


「まだ寝てなきゃいけない時間だ。いい子にして、言うことを聞いてくれ」

「むぅ」


 いつものセリフを寝ぼけた声で囁き、やがて再び寝息が降ってくる。

平常心のままのマヒルが憎たらしい。私はこんなにドキドキしてしまっているのに。

 身動きが取れなくなった私は何もかもを放り出して、瞼を閉じる。しばらくじっとしていると

「ふっ、」と声が聞こえた。



 

「褒め言葉は起きてる時に言ってくれ。そしたら反撃ができる。

心配されるのがどんなに嬉しいか、怪我をした事を不安に思って『そばに居たい』と言ってくれることがオレにとってどんなに幸せか、お前は分かってない」


「......」


「お前の全てはオレの感情に直結してるって、自覚してくれ。悲しみも、喜びも、痛みでも、快楽でも、お前がくれるものならなんでもいい。オレはそれが欲しいんだ」


 甘い囁きは私の胸の奥の柔らかい場所に雫を落とし、切なくて優しい気持ちでいっぱいにしていった。

 


  

 


  


 

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