調律者、貴族の屋敷に行くってよ
前回、勇者の仕事を受けた俺は
どうやったら楽に魔王をシメる事が出来るかを考えていた。
別にシメるだけなら簡単だ、
ここから魔王城へ向かって
攻撃魔法をぶち込めば一発で解決である。
しかしそんな事をした暁には
私が勇者として祭り上げられる未来以外見えないため
・極・力・俺だとバレないようにしたい。
そんな訳で今俺は誰もいない所で魔法を使う。
「おい、筆者、ちょっとこい」
君はもう少し異界干渉をやめてほしいんだけど。
「何、ちょっとオリビアとか言う勇者候補を
うまーく魔王城前に、いや魔王の背後にでも移動させてくれれば、万々歳なんだけどな〜って」
やらないからな。
「ならお前を確保すれば良いだけだ。
調律者を総動員してやろうか?」
、、そんな事をするなら君たちの存在を消すからね。
「冗談だ、筆者はこの世界において
絶対的な現実改変能力者だ。
異界から俺等を殺そうとする勢力が来ようと、
相手が我らより数倍強かろうと、
あんたが居れば存在の抹消から事象書き換えまで、
便利な道具に違いないからな。」
筆者を道具扱いとは、、本当、誰に似たんだか。
「お前が俺を作ってんだ。お前以外に居ないだろう。」
僕は人を道具扱いなんてしないけどね。
と言うか、君にも改変権限は2割あげているでしょ。
いっそ自分で書いてくれよ。
「それはお前の仕事だ。」
俺はそう言い魔法を切った。
「さて、まあ一旦家に帰るか、」
そろそろアイリス達も家に帰っているだろう。
先ほど転移機を向かわせたからな。
本当、便利なヤツ。
〜〜〜
「ただいまぁ、、」
ふむ、居ない、また地下に行ったのか?
「機動兵隊、」
すると、背後に居た機動兵隊が反応した。
〈ハッ〉
「アイリス達は?」
〈【回答】アイリス様御一行は、
現在座標を原点0,0,0としてM5,M-10,M14にて待機中です。レイ様が帰還ししだい、来てほしいと、伝言を預かっています。〉
無機質に返答する機動兵隊、
と言うか、こいつは部隊ではなく単体だから
機動兵でいいのではないか?
そう考えながら行くと
「レイ!」
アイリスが俺をみた途端飛びつく
避けようかと一瞬考えたが、間違いなく怪我するため
受け止めた。
(この間、およそ0.0023秒)
ボスッ
「なんだ急に。」
アイリスは泣きそうになりながら
「お父さんが、、お父さんが、、」
お父さん?誰の?
(アイリスの父親がどうしたんだ。)
「お父さんが?」
アイリスは目に涙を浮かべながら言う
「お父さんが、、倒れたって、、今手紙が、、
お父様、体が弱いから、心配で、、」
倒れた、ふむ、倒れた、、俺も最近倒れたんだよな、
働きすぎか?
(なお、彼にとって倒れるというのは過労以外思考に無い。)
「じゃあそこにいる転移機で行けばいいだろう。」
俺がそう言うと
「、、、ざひょうってやつがわからないの、」
座標、、そうか、普通何処に居る?
と聞かれたら座標じゃなくて○○町のどこどこ、とか言うよな。
「場所はどこだ」
「王都の隣町、アスティール侯爵領の侯爵邸、、」
「分かった。」
俺は後ろの転移機に声をかける
「現座標を原点0,0,0とし、K124,M26 K453の街の
中央にある屋敷だ。(多分)」
〈【了解】衛星機と通信、、、〉
しばらくすると、
〈【通信】...,, ,..., ...,, ,..., ..,.. ..,., ,.,.. .,.,, ,,,,.,,
.,,., ,,.,. .,.,, ,,,...,., .,.,.〉
〈,..,. .,,., . ,,.. ..... .,.,, ...., .,.,,〉
〈,..,. ,.,.. ..,., ,,... ,..,, .,.,,〉
〈.,,,, .,.,,〉
(この間5秒)
「ねぇ、ずっとピピピピピピって言ってるだけなんだけど。」
不意にニーナが聞いてくる。
俺は仕組みを知っている。
【二進符号式モールス交信】という、
ローマ字を数字に置き換え、
数字を二進数に変換し、
それをモールス信号と同じ要領で送信しているだけだ。
そんな事言っても何言ってるか分からんだろう、
要約すると、
「機動兵独自の会話方法だ。」
「へぇ〜、、」
すると転移機が転移門を開く。
〈【完了】、転送準備終了、いつでもどうぞ。〉
俺達は門をくぐり、
目を開けると、
それはそれは立派な屋敷で思わず感嘆の声を上げ、、
、、、
普通だな。
侯爵と聞いたのでもう少し立派なものかと、、
「お嬢様!?」
門の前の衛兵が驚愕する。
まぁ、急に目の前に人が出てきたら驚くわな。
「ただいま、お父様は、、」
衛兵が言う、
「ハッ、現在自室にてお休みになっています。」
アイリスは、そう、と言うと
「来てくれる?」
と聞く
「うん。」
俺達は頷いてついていく。
〜〜〜
「ハッハッハッハッハァ!」
先程までの悲しい雰囲気は何処へ消え去ったのだろうか。
「お父様、、」
アイリスはプルプル震えると
「腰をやっただけで早馬を飛ばさないでっていつも言ってるじゃない!!!!」
ご立腹だった。
「すまんすまん、ついつい可愛い娘に会いたくなっただけじゃないか!」
「お父様!」
「お父様じゃなくて【パパ♡】って呼んで♪」
「、、、」
「いや、その、すまん、、いや、ほんと、その顔辞めてくれ、、本当、怒ると母さんそっくりだな、、」
アイリスの背後に一瞬般若が宿った気がするのは俺だけだろうか、
アスティール侯爵、
貴族にしては珍しく、平民を見下さず平等に接し、
平民達の生活に気を配り、公共事業を広め、
アスティール侯爵領は住みやすい場所だと、
アスティール侯爵様は人格者だと
絶大な信用がある侯爵である。
侯爵はこちらを見ると
「そちらはお前の冒険者仲間かい?」
「ハハハはいぃ!
ニーナっていいますです!」
「わ、わわ私は、、りり、リアです!」
「はい、アスティール侯爵様、
私はスティアール子爵領を預かる、
レイ・スティアールと申します。以後お見知りおきを。」
伊達に潜入工作はやっていない。
貴族の挨拶なら何度もやっている。
ポカーンとこちらを見るリアとニーナ。
「そうか、何、公的な場でも無い、そう固くならなくてもいい。」
、、逆に気を使わせたか?
「レイ!?すご!貴族みたい!」
「みたいじゃなくて貴族じゃばーか。」
ハッハッハッハと侯爵が笑う
「そうか、君達がうちの娘が言ってた仲間の人か。
そして君が、スティアール子爵か。
噂は聞いてるよ、大層強いらしいじゃないか。
しかも第1王女の教育係、しかも過去最高点だそうじゃないか。」
あ〜貴族って怖。どこまで調べてるんだか。
「私は反対しないよ、アイリス。」
アイリスがきょとんとする
「反対?何に?」
すると侯爵は俺を見ると
「うちの娘、どう思う?」
、、、これまた簡単には返せないセリフベスト3に
ランクインするセリフを、、
「、、とても麗しく、素晴らしい女性だと思います。」
(こんなんで大丈夫だろうか。)
すると侯爵がとんでもない事を言い出す
「そうか、じゃあ娘を貰ってくれないか?」
「お、お父様!!?」
(な、何を言い出すんだ、冗談か!?本気か!?)
「いやなに、顔もいいし、肩書もいいからね、
それに誠実そうだし、」
「アハハ、恐縮です。」
(、、なんだ、冗談か)
良かった、こういうのは大抵相手を上げる為の冗談だったりするからな。
焦った。俺は誠実のせの字も無いからな。
(どちらかと言うなら強欲だし。)
「もう、お父さんったら、、」
何故か顔を赤くしモジモジしているアイリス、
髪をクルクルと指先で弄っている。
、、、きっと俺なんかに貰ってくれと言った父親に
怒っているのだろう。
↑これが、黒がモテモテにも関わらず
数兆年もの間女性関係が皆無な理由である。
凄まじい鈍感と、自己評価の低さがこれを招いている。
(今失礼な事を言われた気がする。)
しかし、この父親、何のつもりだ?
こいつ、死にかけじゃないか。
審判眼
罪を見抜くスキルで有名だが、
本質は、隠されている真実を見抜く
というのがこのスキルの本懐、
要するに、審判から診断、判断、審査、捜査、察知
様々な事が出来る。
それによると、侯爵は、、
(結核、、)
中世では不治の病、とされていた病気だ。
リファンピシン
イソニアジド
ストレプトマイシン
エタンブトール
ピラジナミド
等の薬を適切に飲めば、助かるだろう。
後で紫に処方してもらうか。
後に、この判断が大きなミスとなる事を、
この時の俺は、思ってすらなかった。
ーーーーーーーー
「、、、、クソっ、」
私はクダイアス国第2王子、ディゲス、
昔会ったアイリス侯爵令嬢に一目惚れし、
何度もアプローチしてきたが、
光栄だということも分からず拒否し続けるあの女を、
どうやって手籠めにしてやろうか、、
「始めまして、ディゲス第2王子、」
後には、いつの間にか男が立っていた。
「誰だ!」
すると男はニヤリと嗤うと
「商談をしよう、この魔道具と、この薬、
エリクサーを差し上げましょう。」
「エリクサー!?」
この世界では希少すぎて王族でさえ手に入りにくいとされる、あのエリクサー、だと?
男は笑いながら言う
「実は、貴方の想い人、アイリス侯爵令嬢の父親、
アスティール侯爵がですね、結核、不治の病に侵されていてですね、このエリクサー、探しているそうです。」
「、、何故そんな事を知っている、」
男は秘密です、と嗤う
「いくらだ、」
男は左手の指を上げる
「30万円魔道具込みです」
な、
「安すぎる、何を企んでいる?」
男は自分の腕を切り落として、エリクサーをかける
途端生え始める腕
「な、、」
「お分かりですか?本物だと、」
男は続ける
「何を企んでるか、と、言いますとね?
実は、、」
男は耳元で囁く
「アイリス侯爵令嬢を想ってるある男に私達は大変
苦労していましてねぇ、、
そこで、この魔道具をアイリス侯爵令嬢の首に掛けてほしいのです、特別な猛毒が仕込まれてまして、
貴方がこのスイッチをカチッと押すだけで、、
ククッ、、2分足らずで死に至る、
エリクサーでも治りません、、
貴方はこのエリクサーでアイリス侯爵令嬢に近づき、
なにか理由をつけてこの首飾りをアイリス侯爵令嬢の首に掛ければ良いだけ、貴方はその方を好きに出来る、私達はある男を牽制出来る、、
Win-Win、ってやつですよ、、」
アイリス侯爵令嬢を、好きに、、
「分かった、ほら、30万だ。」
男はお金を数えると、
「毎度あり、、さようなら、」
これでアイリス侯爵令嬢は私のモノだ、、!
「待て、お前は何処の誰だ?」
俺は疑問に思っていたことを聞いた
フードの男は嗤うと、
「私に名は無い、、そうですね、名乗るとしたら、、」
男はニタリと緩慢に口を開く
【天界の使徒団・サハクィエル】です、
、、、




