久しぶりの冒険へ
前回のあらすじ
レイ、盛大なやらかしをする
貴族のパーティーに呼ばれ、
子爵になったはいいものの、お見合いしませんか祭り
の濁流に呑まれ、咄嗟にアイリスを呼んでしまう。
しかし、子爵が侯爵令嬢を呼び捨てにし、
その上侯爵令嬢であるアイリスが反射的に返事を
してしまい、このままだとレイは侯爵令嬢誘拐犯、
アイリスと駆け落ちしようとしている、と
思われてしまう、さぁ、どうするのでしょうか!
『、、、』
アイリスとレイの間にお通夜の様な空気が流れる、
レイは咄嗟に取ってしまったアイリスの手を、
そっと離し、ゆっくり後ろに下がった。
恐る恐る貴族達の会話に耳を傾ける。
さて、どうしたものか、この場で現実改変を行うか、
目撃者全員記憶を消すか、、
そう思っていた瞬間、
「ワ、ワースゴイデスネ!コンナニ凝ッタ演技ハ
ハジメテミマシタヨ〜イッタイナンノ舞台を
モチーフにシタノデショウカ〜」
第一王女美琴の棒読みの演技が聴こえる、
途端、レイの頭に解決策が浮かぶ
(なる程美琴!その手があったかっ!)
即座にアイリスと目を合わせる、
アイリスは察してくれたのか頷く。
さぁ、渾身の演劇が始まるぞ!
小さく魔法を2つ唱える。
光魔法〘ライト〙でスポットライトを作り、
闇魔法〘ダーク〙で会場の明かりを暗くする。
わざわざ二重詠唱まで使い
レイはあえて大げさな動きを入れながら
アイリスに話しかける
「あぁ、麗しきアスティール家の娘よ、
世界はきっと、この恋を認めてはもらえ無いだろう、
きっと私は罰を受ける、だがっ!それでも!
お前を愛しているのだ!嫌ならこの手を取らなくてもいい、私は、貴女を巻き込んでしまったことを、
申し訳なく思っている、だが、それでも私についてきてはもらえないだろうか、私は、お前がいれば、
この地位、捨ててもいいと、思っているのだ!」
アイリスは少し戸惑い、恥ずかしそうに演技に乗る。
そっと差し出した手を握り、つぶやくように答える。
「私は、貴方と共にいれるなら、
何処までもついて行きます、父上は許してくれないでしょう、ですが、それが何だというのでしょう!」
アイリスは少し照れながら観客もとい貴族に向き直る
「私は、貴方と共にいたい、この想いは!
例え他の貴族に蔑まれようとも!消えることはございません!」
レイは覚悟してアイリスを抱き寄せる
「アスティール家の娘、アイリス嬢、いえ、
アイリス、私と、結婚しては貰えないでしょうか。」
アイリスはえっと小さくこぼすがここまで来たら
ヤケになったのか、演技に熱が入る。
わざとらしく涙すらこぼし、
「もちろんです、とても、とても嬉しいです、、」
そしてレイは小さく闇魔法を唱える
「〘暗転〙」
暗転、一瞬だけ範囲内の光を完全に奪う
その間にダークとライトを解く。
そして光が戻った瞬間こう言う
「本日、サプライズで演技させてもらいました、
子爵のスティアール・レイと申します。
こちらはアスティール侯爵令嬢の、
アイリス侯爵令嬢様です、
本日はありがとうございました。」
アイリスが控えめにお辞儀する。
『、、、』
(、、、やっぱ無理あったか?)
途端、大きな拍手が聴こえる。
「素晴らしい!演技とは思えない素晴らしい演劇
でした!お父上のアスティール侯爵様も
誇り高いことでしょう!」
「子爵も素晴らしい演技でしたが、侯爵令嬢まで、
本当に駆け落ちする貴族の認められないが美しい恋愛を、華やかに表現できてましたぞ!」
「まさかあの子爵が侯爵令嬢に無礼を、と
疑ってしまった自分が恥ずかしい限りです、、」
そこら中から絶賛と拍手の山にレイは
(危ねぇぇぇぇぇぇ!!)
心の底からの安堵を感じていた。
全員パーティーで酒が入っているのが功を奏したか
誰一人疑問に思う人が居らず、
上手く誤魔化す事が出来た。
もし、全員が酔っておらず冷静に考えられていたら
きっと怒られるどころでは無かっただろう。
ふぅ、とアイリスに目をやると、顔を真っ赤に染め、
意気消沈していた。
まぁ、いきなりこんな事をされたら怒るか、、
後でケーキでも買ってこよう、
と決意するレイだったが。
あの顔の赤らみは、怒りではなく
嬉しさや恥ずかしさからくる赤らみだとは、
分かっておらず、レイは、18兆年も生きていながら、
未だ、乙女の恋心を理解するに至ってはいなかった。
〜〜〜〜
家に帰り、さあ寝るか、と部屋に戻ろうとしたら、
ニーナとリアに
「さっきの演技良かったよ〜(ニヤニヤ)」
「まぁ演技じゃないかもしれないけどね(ニヤニヤ)」
とイジられ、
レイは頭に?が浮かんでいたが、
アイリスは何故か撃沈していた。
深夜 1時22分
「、、、はっっっっず」
冷静に考えれば、50人近い人の前で告白した
以外の何でもないことに気づき、
悶々としながら朝を迎えた。
翌日
「久しぶりにダンジョンに行こうか。」
そう切り出したのはリアだった。
「どうした?改まって。」
レイがそう返すと、
「最近冒険者らしい事していなかったからさ、
久しぶりに行かないかな〜って。」
リアの言葉に
アイリスが返す
「いいね、久しぶりに行こっか。」
するとニーナがレイを見て言う
「という訳で、クライスダンジョンまでお願い♪」
「人をタクシー扱いするな、、〘テレポート〙」
〜クライスダンジョン〜
「久しぶりのダンジョンだな、最近忙しくて来れなかったし、最下層まで突っ走ってボスをしばき回しに行こうか。」
レイが気合を入れる。
「楽しみだね、パーティー水入らずで
ダンジョン攻略、やっていこうか!」
弓使いニーナが愛用の弓を構え気合を入れた。
「神聖魔法、まだ使えるよね?大丈夫だよね?」
神官アイリスは自問自答していた。
「宝箱を片っ端から開けてガッポガッポ稼ごうか!」
盗賊リアが盗賊らしい事を言う。
〈【気合】一匹たりとも逃す気はない〉
剣士、突撃機が愛用ブレードを構える。
〈【自信】防御は任せろ、誰一人死なせない〉
戦士、守護機が大盾を構えた。
〈【全力】後方支援は任せてください〉
銃手、狙撃機が装弾数を確認していた。
「それじゃあ」
レイの号令がかかる。
「ダンジョン攻略へ!出発!」
レイ達は、ダンジョンへ突入s
『ちょっと待ったぁぁぁぁ!!!!!』
レイ達が急に叫んだ。
〈【問】何があった〉
突撃機が返答する
〈【警戒】敵の反応無し、哨戒機と連絡を〉
守護機が辺りを警戒する
〈【提案】半径1km範囲の空爆を提案〉
狙撃機が物騒な提案をした
〈【同意】効率的な安全確保可能、
第4指揮機に指示を仰ぐ、
拡散機に連絡を〉
突撃機が何故か同意、連絡しようとする
「お前らだよ!」
レイがいつの間にか居た機動兵隊
3機にツッコミを入れる。
「どうやって来たんだよ、
テレポートは使えないはずだろ?」
レイが問いただすと、機動兵隊達は
不思議そうに、
〈【回答】個体名レイが使っていた転移魔法、
テレポートの術式を、哨戒機が検知、
解析機が術式を分析、
設計機が術式を回路化し、
製造機が新造機、転移機を
作成、長距離転移を可能にし、ここまできました
追記、補助機に短距離転移機能を増設しました、以上です〉
レイは、絶句するしか無かった。
自己的に思考し、自我を持って、人間の予想を超え
改良を行い続ける、
【シンギュラリティ】の、一端を見た気がする。
怖い予想を振り払い、レイは指示を出す。
「命令だ、、屋敷へ帰れ、、頼むから。」
〈【了解】帰還します〉
すると機動兵隊達の背中から
小型ドローン様な物が4つ程飛び出し、
ドローンが正方形の角の様に集合すると、
ドローンの間隔が広がると、
その四角い領域の空間に穴が空き、機動兵隊達が空間の穴に入る。
(あれじゃドローンは置きっぱなのでは?)
そんな心配を杞憂だと言わんばかりに
ドローンがクルンと反転
領域を維持しつつ自分たちも領域に入り込み、
空間が閉じた。
思わず感心していたが、ハッと気づき、
ダンジョンに向き直り、
「ん゙ん゙、、では改めて、ダンジョンに行くぞ!」
「お、お〜!」
気合を入れ直し、突入した。
〜〜〜
10階層
「この感覚久しいな、、」
目の前には銀色のスライムがぎっしりいた。
「メタルスライムの大群、、じゃねぇんだなこれが、、」
鑑定
メタルスライム
アイアンスライム
ブロンズスライム
カッパースライム
ミスリルスライム
アルミスライム
ジンクスライム
プラチナスライム
ティンスライム
ニッケルスライム
クロミウムスライム
ゴールドスライム
タングステンスライム
コバルトスライム
タダノスライム
「はぁ、、やっぱ全部違う、、というか最後に至ってはただのスライムじゃねえか、何か光ってるの食ってるし、、ってアイリス!足元のスライム、
ミスリルスライムだぞ!
捕まえろ!!というか!
ゴールドとプラチナもいるじゃねぇか!
捕まえろ!!!」
「えぇ!?」
「うっしゃあ!ダンジョンはこうでなくちゃ!!」
足元のスライム、、タングステンスライムか、、
、、フン!
ガシッ
レイがボールを掴むように持ち上げる、
「結構硬いし重い、、やっぱタングステンなんだな、」
「レイ、、私の記憶が正しければ、
タングステンスライムってそれだけで500kg近くあるはずなんだけど?」
「、、ふ~ん。」
アイリスの冷静なツッコミを流し、
最下層へ向かう
20階層
「あと10階層か。」
レイがそう言う
「そろそろ中ボスが出る頃合いだけど、どうかな?」
重そうな扉には、こう書いてあった。
【勇敢なる冒険者よ、この扉を開けたくば、
10階層の最も美しい鍵を差し込め。】
「鍵?」
「そんなのあったっけ?」
ニーナとアイリスが相談する
一方、リアは、空を仰いでいた。
「どうした?」
レイが聞くと、リアは絶望しながら、
「タダノスライムが食べてた、、、」
「 」
作・戦・会・議
「どうする?」
「どうするって、戻らなきゃいけないよね、、」
「戻るのか、しんどいな、普通に開けるか」
「だから、開かないから戻ろうって、」
「意外と行けるかも知んないぞ?」
「無理だって、ほら、」
ニーナがぐぐっと押し込むが、開かない
「いやいや、開くだろ、多分」
レイが手を置く
「だから無理だって」
メキッ
「ドアが開かないなら、固定具ごと、、」
ミシ、、ミシミシミシ
メキッメキメキッバキッ
「うっそ、、」
バギャッ
レイは、門の金具ごと門の扉を引き抜いた。
「ほら、開いた。」
「もう、、どうでもいいや、、」




