健康診断
「暇だな〜」
「暇だね〜」
「な~んもないな〜」
「あいつらいつ帰ってくんだよ、、」
「暇。」
白と黒以外の調律者達は、
緊急時に備え待機していた
「一瞬白の水晶が反応したから慌てて準備したのに、
結局なんもないしな。」
水晶、調律者達同士で連絡を取るツール、
通信が入ると薄く光って僅かに振動する。
所有者の精神が危うくなると点滅し、
命に危険があればヒビが入り、
持ち主が死ぬと割れて魔力に還元されるものだ。
「白は異常無いし、大丈夫だと思うがなぁ。」
「そういえば黒は大丈夫なのか?」
「あいつがやばくなるなんてそうそうないと思うけど、、、ん?」
「おい、その水晶、」
「亀裂が、、」
カッ!
いきなり帰還魔法陣が起動する、
そこから白が現れる。
「すまない、緊急だ、今すぐ全員治療魔法を用意、
ベットまで連れて行く!黒が数千年振りにやばい、」
見ると黒は血を吐いており、体の末端が変色していた
「おいおい、いったい何があった?」
「黒がこんな重傷負うの、見たことない、」
「今回のターゲットを撃破した後いきなり吐血した
原因は不明だ。」
「呪術の(たぐい)か何かか?」
と青がこぼした。
「いや、それは無い、」
それに答えたのは緑だった。
「黒は呪術や毒の完全無効化を持っている、
それこそほとんどの魔法にも耐性がある。」
「うん、間違いない。」
「そんな事聞いたこと無いが?」
「当たり前だ、
黒が寝てる間に最悪の禁呪の練習台にしたりしたけど次の日元気そうだったし、」
「黒に最強の複合毒を盛る実験したりしたけど
ピンピンしてた。」
「なるほど、とりあえず緑と紫は後で説教するとして、毒や呪いでは無いのか。」
しれっと黒に無断で実験した事がバレた2人は後で
白にこってり絞られるだろう。
「それより黒がこうなった原因を探る、」
白が魔法で黒の体内を検査している
「大丈夫かね~」赤が言う
「大丈夫だと思うけどな~」黄が答える
「あ〜、あぁ〜!分かった。」
「どうなんだ?」
「黒、大丈夫なのか?」
「心配。」
「原因は、、」
『原因は?』
空気が張り詰める。
「心核に亀裂が入っているのを確認した。
これは心核の酷使による、重度心核損傷だ。」
『、、、』
「それって、凄い大規模魔法を連続行使による
心核 摩耗が重なって、更にその状況で全く休息を取らなかった場合になる心核損傷の重度症状だよな。
軽度なら1日休むだけで割とすぐ治るやつだから、
休んでいたらなるわけ無いんだが、、、」
『、、、』
「、、なあ、最後に黒が休んだのって、いつだ?」
「さぁ、いっつも帰ってきてはすぐ使命依頼が来たりしてたし、少なくとも10年は休んでないと思う、」
「だよな~あいつあんまり見かけないもんな、、」
「少し記録を洗ってみる、休暇を取ったりしたら記録に残るはずだ。」
〜数十分後〜
「ただいま、」
白の顔は絶望に染まっていた。
「どうだった?」
「、、、」
「、、、おーい、白?」
「、、日前」
「今なんて?」
「374年と267日前、どうしても欲しい資格を取るために
半日休暇を取ったのが最後だ。」
「ちなみに、1日休暇を取ったのは何時だ?」
「、、593年と83日前だ。」
『、、、』
最強の調律者、黒に致命傷を与えたのは、
長年にわたり尋常では無いほどに蓄積された、
過労だった。