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橘逸佳は6年ぶりにナッシュビルでジョージ・タバニティと再会した。というのもナッシュビルの公園でジョージに声をかけられ、逸佳はすぐに彼だとわかったからだ。
ベンチで少し話をして、ジョージは逸佳に
「出会った時から好きだった」
と言う。逸佳もジョージのことは好きだけれど
「あの時、私、好きな人いるってひどいこと言った。だから私はもう、あなたの隣にいて良い人間じゃない」
と返し、その場から離れようとした。涙が出そうなのを見られたくないから。
それでもジョージは逸佳の手首を掴み、あの時と同じように逸佳を自分の方に引き寄せて包み込む。
「これだけは覚えてて。君がどこにいても誰といても何をしていても、僕はずっと君の味方だから」
ジョージは逸佳の耳元で囁いた。逸佳はジョージの腕の中で静かに涙を流している。