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中学3年生の田口鈴は、担任教諭の早坂瞳先生--20代英語教師--のサポートの甲斐あって志望校に合格した。早坂先生に合格したことを報告した際、自分のことのように喜んでくれたのを今でも覚えている。
高校に入学し、鈴は友人の御手洗沙彩と別れてバス停でバスを待つ。鈴は前に並ぶ若い女性に見覚えがあった。というのもその女性は中学時代の担任だった早坂先生で、小さな背中が小刻みに震えていたからだ。
--早坂先生、泣いてる? 何があったのだろう。そう思った鈴は早坂先生の肩を叩き、声をかけた。
「先生大丈夫ですか? もしお時間大丈夫そうなら、ここじゃあれなんで違う場所で話しませんか?」
鈴が言うと早坂先生は、
「りんちゃんありがとう。ごめんね、こんなとこ見せて……」
と言った。そこで2人は公園のベンチに向かい、話をする。早坂先生は鈴たちの卒業後に1年生の担任になったけれど、クラスでいじめが発生していることや若い女性教諭だからと足元を見てくる男子生徒たちのことで悩んでいるようだった。
「少しだけここで待っていてもらえますか? 私、コンビニ行って来ますね」
早坂先生に声をかけ、鈴はコンビニでシュークリームを2つ購入する。自分用と早坂先生用だ。
「先生甘いもの食べられますか? シュークリーム買ってきました」
鈴はそう言って早坂先生にシュークリームを渡す。2人でシュークリームを食べながらいろいろな話をした。暗くなってきたのと早坂先生が落ち着いたのもあり、鈴は早坂先生と別れて帰路に着く。