三匹のレストラン
「遠いところに レストランができたんだって」
とキツネが言いました。
「いってみたいねえ」
とウサギが言います。
「きっとおいしいものが 出てくるんだろうね」
とライオンが言います。
三匹は ちいさな森にすんでいる ご近所でも有名な 仲のいいともだちでした。
キツネが提案します。
「じゃあ いってみようか。スズメたちが話してたのをきいてたから ボクどこにあるか知ってる」
「いいねえ ライオンさんはどう思う?」
「ボクもさんせい いこういこう」
こんなふうにして 三匹は森から旅だちました。
ウサギとキツネとライオンの レストランをもとめる 冒険のはじまりです。
ながい道のりは キケンの連続でした。
木の一本橋がかかる深い谷を おたがいにはげましあってわたったり
ながれの急な川を ライオンがじぶんよりもちいさなウサギやキツネを せなかにのせて むこう岸まで泳いだり
嵐のきた日には ウサギがいちばんに洞窟をみつけて みんなで駆けこんで身をよせあい おしゃべりして さむいのも こころぼそいのも 笑いとばしてすごしたり
七日七晩 三匹はなにも食べず 空腹をがまんして レストランをめざしました。
そしてようやく スズメの話にあった場所についたのです。
けれどそこには 黄色い砂があるばかりでした。
砂漠です。
家一軒 たてものひとつ 見あたりません。
「デマだったんだ!」
キツネは怒ってさけびました。
ウサギもライオンも ガッカリしています。
「しょうがない ひきかえすしかないねえ」
ウサギがしょんぼりと言いました。
「ごめんよう。ウサギさん ライオンさん」
キツネもすっかりしょげかえって だいじなともだちにあやまりました。
「気にすることないよ」
ライオンがはげまします。
「ウサギさんとキツネさんがいれば ボクにとっては 立派なレストランだから」
そしてライオンはあんぐりと口をあけ ウサギとキツネを ぺろりと食べてしまいました。
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