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笑顔の誓い~愛しきあなたへ~

「相手からプレイヤーのAPを直接下げられる効果が発動したとき、手札の〈艶井鼎特製 スマイルアイシーミサンガ〉を捨てることで、その数値をゼロにし、相手のターンを強制的にチェンジさせる!」



 間一髪のところで発動させたのは、美祿がバーストを防ぐために使用したのとは逆の効果を持つアクセサリーカード。


 着主が万全な体制でない状態で発動させたからなのか、演出自体が間に合わなかったのか。


 同じ様に手札から誘発させた美祿の時みたいに、わざわざ腕に巻かれなかったが、代わりに鼻先まで迫っていたビームを一瞬でかき消してくれた。



「か、鼎ちゃんのアクセサリー?」



 まさか、今目の前にいる話題の神殺しというQ-key.333の天敵である天水晴那が、元ランク9の艶井鼎からもらったカードを持っているとは思わなかっただろう。


 美祿が頭の中に矛盾と疑問が同時にわいてかき混ぜあっているという顔になるが、ターンが強制チェンジさせられたことに気張りが溶けたのか、私と同じように膝を折った。



「お前、いつの間にそんなカードを?」



 あのカードは、美祿と同様に遊生澄香が艶井鼎から受け取ったカード。


 先日、Q-key.333から取り返した私のデッキから抜いて、お守り代わりに忍ばせていた。


 身バレになるから止めろと勇作Pから厳しく言われていたのに、おまけに使ってしまったから、後で勇作Pに怒られるだろう。


 でも、幸いにも、これは身を隠しつつ、自身の命運を賭けた決闘じゃない。


 ゲーム。


 エンプリスというカードを用いたた競技として、私達は真剣に競い合っている。


 仕事の獲得を決めるオーディションでも、手がかりを探すための仇討ちでもなく、勝負の結果がどちらに傾こうとも私達には何の得もない。


 そのはずなのに、私は折角の勝負を負傷によって中止という不完全燃焼のまま終わらせるのだけは勘弁して欲しいと思った。



「私は……私はまだ……戦える!」



 最後まで、そして勝ちにいくまで終わらせる気はない。


 かつて美祿に憧れられたQ-key.333の元ランク9遊生澄香としての意地を見せるために、再びスキャナーを構え直した。



「彼女たちは、まだやる気のようだ」



 草薙さんの心配を余所になおもプレイを続行する美祿どころか、ライバルの担当である私の気持ちまで汲み取っていた幸神Pが、介抱に向かおうとしかけた草薙さんと勇作Pを止める。



「……澄香」



 かつてのライバルに私の意志を優先するよう諭られた勇作Pが、思わず私の本当の名前を口にしかけ、咄嗟に口元に手を添える。



「まったく! お前達はあの子達に何を教えてきたんだ!」



 満身創痍になりながらも中止を拒んだ二人のアイドルの有様から、草薙さんはそんな私達を師事していた元担当アイドル達の教育方針に髪をかきむしるほどあきれていた。



「草薙の言うとおりだぜ。本当なら今の俺達に、新人アイドルの練習試合につきあっている暇なんてないのに。なんで、ここまでしてあげるんだ? まさかお前、楽しんでるのか?」



 本音では私の身を案じているビャコが、草薙さんの忠告を拒否する私達を皮肉混じりに冷やしてくる。



「否定はしない。天水晴那を名乗ってから対決してきた中で物理的にも一番激しい対決だけど、だからこそ燃えてきたわ」


「だったらもうちょっと楽しいって顔しろよ」


「彼女がエンプリスを通して今の私を笑顔にできれば、美祿ちゃんは本物になれるわ」


「ハードルが高すぎるなぁ」



 それは笑わなくなった私の鉄面皮の高度に対してなのか、自身が自慢とするジョークですら笑ってくれない私の笑いの沸点についてなのか、とにかく笑顔になれない私をなじりながら、ビャコは観念して共に勝負に臨んでくれた。



「聞いたか? あの天水晴那が、お前との勝負を楽しんでるってよ!」


「ふえ? 本当? 本当に!」



 リユから聞かされた報告を聞いた途端、今までの負傷が嘘のようになくなったのか、美祿はバネみたいに立ち上がっては、キラキラした目でこちらを見てくる。



「ええ。これから、その暴れ馬をどうやって攻略して勝ちに行こうか。対策を考えるだけでワクワクしてきたわ」



 心では確かに楽しんでいる感情があって、発熱しているかと思うほど興奮までしているのだが、この気持ちを声ですら笑って伝えることができないのが悔やまれる。


 でも、表情にでなくても私がちゃんと楽しんでいることは美祿へ確かに伝わっているようで、自分のプレイが私の期待に応えられていると実感できたことに、羨ましいほど全身で喜びを表していた。



「よーし、決めた! あたし、晴那ちゃんが笑顔になってくれるくらい、強いアイドルになる! 晴那ちゃんが最高におもしろかったって笑顔で言ってくれるくらい、もっと最高の勝負ができるように!」



 新しい目標を見つけられて先輩として嬉しく思う反面、本当は美祿が推していたアイドルだと明かせず、私じゃない私相手に頑張ろうとすることに少し寂しさを覚えた。



 美祿の中に新しい目標が立ったところで、私が割り込んで発動させた〈艶井鼎特製 スマイルアイシーミサンガ〉の効果によって、美祿のターンが強制的にチェンジになる。



 天水晴那 AP750 VS 福山美祿 AP2200

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「いいから早く決闘しろよ」


と思った方は、下にあります☆☆☆☆☆から、作品の応援をよろしくお願いいたします。

また、誤字脱字、設定の矛盾点の報告など何でもかまいませんので、

思ったことがあれば遠慮無く言っていただけると幸いです。


あとブックマークもいただけるとうれしいです。


細々と続きを重ねて行きますので、今後ともよろしくお願いします!

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