私なりのファンサービス
天水晴那 AP0 VS 葉鳥朔真 AP0
「先攻はお前だぞ、晴那」
「わかってる」
小さいモニターに俯瞰で表示している空っぽの盤面に被さるように、先攻を意味する「PlAy First」の英字が表示されているのは私も見ていたが、ビャコが改めてそれを声で伝えてくる。
「私のターン、ドロー!」
ゲーム開始の合図として迎えるドローフェイズ。
私はデッキから一枚をドローして、手札として加わったカードを確認する。
「私は手札の〈RDティアーズ ポリゴンタトルパンツ〉をランドリーに送り、手札の〈RDティアーズ ファンタシーピンクトップス〉を追加コーデ!」
手札の一枚を捨てて最初に着たのは、ピンク色のフリル多めだが少し透けたトップス。
〈ファンタシーピンクトップス〉は、手札のレアリティRコスチュームを捨てることで、追加コーデをすることができる効果がある。
「そしてランドリーに送られた〈ポリゴンタトルパンツ〉の効果! このカードがランドリーに送られた時、自分の着ている衣装に〈シェルベッコ・チャーム〉トークンを一つつけることができる! 私は〈ファンタシーピンクトップス〉に〈シェルベッコ・チャーム〉をつける!」
洗濯籠の中から発動された効果によって、フリルだらけのトップスにアクセントとなるように鼈甲の小さいチャームがつけられた。
「更に〈RDティアーズ ヴァルナーガシューズ〉を通常コーデ!」
トップスに次いで両脚に履かせたのは、このデッキの中核となる〈ヴァルナーガシューズ〉。
「〈RDティアーズ〉が既に二着以上でている上に、シューズまで出たということは……」
「くるぞ! あいつの得意戦術、リンケージコーデが!」
歴戦をくぐり抜けたリユはもとより、流石の美祿もデビューすらしていない素人とはいえ、あれだけ世間を騒がせた天水晴那の活躍をイヤというほど見続けていれば、次に何が起こるのかわかっているようだった。
期待に応えるように、私は〈ヴァルナーガシューズ〉のつま先をあげて、起動スイッチを押すように靴音をならした。
「煌方陣展開!」
方陣を描く光の線がつま先を中心に瞬時に広がり、仄暗いスタジオを明るく照らした。
「〈ファンタシーピンクトップス〉と〈シェルベッコ・チャーム〉を脱ぎ捨てて効果発動!」
薄暗いスタジオの中で発動したことで、目映く輝く方陣の光に照らされたトップスとチャームが、一瞬にして透明な液体へと溶けてゆく。
「コスチューム・ディゾリューション!」
〈ヴァルナーガシューズ〉の効果は、互いの場の〈RDティアーズ〉ブランドのカードを二着ランドリーに送ることで、デッキから別の〈RDティアーズ〉ブランドのコスチュームを追加でコーデさせることができる。
まるで二つの衣装が一つの衣装へと結合してゆくように、私の体に纏わり付く水の塊が、意思を持った粘土の如く徐々に形をなしてゆく。
「リンケージコーデ! 現れろ! レアリティPR〈RDティアーズ ヴァルナーガワンピ〉!」
形を整い終えた水たちが改まって弾け飛ぶと、その下から、白いフリルが鰭のごとくあしらわれたゴシック調の黒いワンピースが姿を表した。
「わあ! 〈ヴァルナーガ〉シリーズだ! 生で見るとやっぱりかっこいい~!」
テレビや動画越しで見てきたのか、天水晴那を象徴とする〈ヴァルナーガ〉シリーズを開幕から揃う様を目の当たりにした美祿が、まるでヒーローショーに来た子供の様に興奮していた。
今までエースコスチュームを出す度に、畏怖や軽蔑の眼差しで見られていたが、こんな好意的な眼差しで歓迎されるのは懐かしい気分だった。
「素人相手にもうエース揃えちゃうのか? ファンサービスなんてお前らしくないな」
「別に。この方が早めに終わらせられるでしょ」
「容赦ねぇな~。だが、実力をはかりたいんだったら、こちらも初っぱなから全力で挑まないと、彼女の為にならないだろうしな」
茶化したビャコをそう納得させるが、こいつのいうとおり美祿へのファンサービスというのはあながち間違っていない。
「〈ヴァルナーガワンピ〉のコスチューム効果! 一ターンに一度、衣装一着に〈シェルベッコ・チャーム〉を一つつける! 私は〈ヴァルナーガワンピ〉を選択してチャームをつける!」
追加コーデしてそうそうに発動させたことで、ワンピに〈RDティアーズ〉製の鼈甲のチャームがぶら下げられる。
「そして〈ヴァルナーガワンピ〉のさらなる効果! 〈ヴァルナーガワンピ〉のAPは、互いのプレイヤーが着ている〈RDティアーズ〉ブランド一着につき100ポイントアップする!」
現状、まだ私しか衣装を着ていない先攻一ターン目だが、効果で出したチャームを含めて既に三着あるため、ワンピのAPは合計300ポイントアップすることになる。
「私はこれでターンをチェンジする!」
天水晴那 AP2280 VS 福山美祿 AP0
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