月光の魔導書〈アルテミストラ〉
天水晴那 AP0 VS 葉鳥朔真 AP450
「明らかに釣りレベルの低いAPで誘ってる気まんまんなのに、罠を仕掛けないなんて。なんのつもりだ?」
元歴戦アイドルの相棒も、流石にこの盤面を不思議がっていた。
【紫智天】の様子を見る限りでは、出方を伺うというよりも、明らかに何かを企んでいるのは事実。
「元々、【紫智天】はアクシデントカードをデッキに入れてないのよ」
「ぶええ! ということはデッキの中はコスチュームとミュージックの二種類のみかよ! そんなバランスでよくランク6までいけたな!」
「わざわざ裏側向けて相手を牽制させるよりも、見えないところから仕掛けるのが本当の罠であり相手へのアクシデント。それが、あいつの持論なのよ」
「つーことは、あのトップスが出した魔導書に何かあるってことだな!」
「その通り。【紫智天】の戦術コンセプトの基本が変わっていないなら、あれが攻防の鍵よ」
「持ち前知識だけを当てにするなよ。基本戦略以前に、奴の着ている衣装はピカピカの新作だ」
「わかってる! 私のターン、ドロー!」
こちらのターン開始の合図としてドローフェイズを迎えて私はデッキからカードを一枚引く。
その手に入れた一枚を確認すると、まさにこの状況にうってつけのカードが来ていた。
「〈RDティアーズ ヴァルナーガワンピ〉をコーデ!」
初っ端から私が出したのは、普段はリンケージ・コーデを経由して出していた天水晴那のエースコスチュームなるカードだ。
「エースを……通常のコーデで出しただと?」
いきなりのエース登場に、こんどは【紫智天】が予想通り驚いたリアクションを見せた。
「普通に出せちゃうんだなぁ、これが!」
ビャコの煽るとおり、〈ヴァルナーガワンピ〉にはリンケージ・コーデでしか出せないという制約もなければ、リンケージ・コーデをしないと効果を発動できないという特別なデメリットもない。
手札にあって必要ならば、こうして手札から普通に出すこともできる。
「〈ヴァルナーガワンピ〉のコスチューム効果! 一ターンに一度、場に出ているコスチューム一着に〈シェルベッコ・チャーム・トークン〉をつける! 私は〈ヴァルナーガワンピ〉にチャームをつける!」
「そのワンピースにトークンをつけるのは勘弁して貰いたいね!」
ワンピが効果を発動しきる寸前に、【紫智天】は手にしていた魔導書を開いた。
「〈アブソーマトップス〉の効果! 一ターンに一度、デッキの上から六枚目以降にあるミュージックカード一枚をランドリーに送り、トップスにそのカードと同じ効果を与え発動させる! フラグメント・プラナ!」
開かれた魔導書のページが輝き、【紫智天】はそのうち一枚を豪快に引きちぎる。
光る一枚の紙となったそれは粒子となって、トップスへと流れていった。
「私がランドリーに送るのは〈アルテミ・ストラ〈ヤラ〉〉! その効果は、相手の着ているコスチューム一着の効果を無効にする!」
魔導書の一ページから新たな力を付与されたトップスが、紫色のオーラにオレンジ色を混ぜて効果を改めて発動させると、その追加されたオーラと同じ色の文字が私の目の前に出現した。
「この文字は……梵字か!」
梵字。
〈ヴァルナーガシューズ〉が展開させる煌方陣を構成するのと同じ種類の字。
ビャコの解析が判明した頃には、虚空に描かれた梵字を中心に鬼火の如く文字が増え始める。
やがて一字の梵字から立派な魔方陣として完成すると、〈ヴァルナーガワンピ〉がその魔法の呪いにかかったかのように色を失った。
「〈ヴァルナーガワンピ〉の効果は自身のAPをあげるのに必要な同じブランドのカードを生成させるだけじゃなく、相手が破壊する効果を発動させた時、同ブランドのコスチュームをコストにして返り討ちにする効果も搭載されている。出鼻をくじくようで申し訳ないけど、君のエースの動きを封じさせてもらったよ」
「それでもワンピ一枚でお前の総合APの三倍はあるんだぜ!」
一手先を見てエースを無効にしたものの、それでも平然と煽るビャコの返しに、【紫智天】が面白くなさそうに笑みを引っ込めた。
「私はカードを二枚準備して、ターンをチェンジする!」
天水晴那 AP1230 VS 葉鳥朔真 AP450
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