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決着~〈ヴァルナーガ〉VS〈メイガナード〉~

 天水晴那 AP2880 VS 雨羅刹那 AP2400



「今のがキミの本当の切り札だったわけだ……」



 私がスタンバイを宣言したことで、強制的にラストターンになってしまった刹那が、最後のドローフェイズを迎える。


 泣いても笑っても、ここで勝負が決まる。


 状況はこちらが有利。


 一方の自分が劣性のまま最後を押しつけられては、流石に雨羅刹那の顔どころか佇まいに余裕はない。


 むしろ諦念すらなく、ただ自分と同じく、この勝負に絶対負けられない気迫を発して真剣に私と対峙する。



「なるほど。ボク達に戦いを挑むだけはある。強いね、キミって」



 認めている。


 あの【黄黙天】が、スッポンだと侮った上に実は元ランク9の下位アイドルの私相手に、本気を出すに値する敵だと。



「だからこそ、キミを野放しにするわけにはいかない! 【黄黙天】の名にかけて、キミをこの場で黙らせる!」



 決意のドロー。


 そして始まる最後のターン。



「ボクはトップスとボトムスを素材に〈メイガナードワンピ〉を追加コーデ!」



【黄黙天】の象徴である深緑の翼を携える黄色のワンピースが三度現れる。


 その手には、すでに破壊効果を形にした大剣が、紫電を纏わせてその手に握られていた。



「その効果により〈ヴァルナーガワンピ〉を破壊する! ライトニング・ジット!」



 発動宣言と共に刹那が踏み込み、大剣の切っ先をこちらに向けて雷鳴の如く突進する。



「この瞬間! 〈ヴァルナーガワンピ〉の効果! このコスチュームが相手の効果の対象になった時、〈RDティアーズ〉ブランドのコスチュームをランドリーに送ることで、その効果を無効にして破壊する!」



 切っ先がお腹に刺さる寸前に、私はメガホンマイクを構えてそれを受けきる。


 発動の代償として支払うのは、刹那の靴についている最後の〈シェルベッコ・チャーム〉。


 それをコストにすれば刹那の〈メイガナードワンピ〉はランドリー行きとなる。


 ところが、私がチャームをつけているシューズに目を向けたとき、突然目の前にいるはずの刹那が何かを飛び台にして勢いよく飛び上がった。



「アクシデント発生! 〈黙殺〉!」



 叫ぶ刹那を天高く跳ね上げたのは、私の目の前で発動の為に立ち上がった等身大のアクシデントカードだった。



「手札を一枚捨てることで、相手の沈黙レベルを一つあげ、ターンの終わりまで沈黙レベルに応じて発動できるカードの種類が制限される!」


「ここで沈黙レベルアップ!?」


「改めてキミの沈黙レベルは最大の3! これで何も発動はできない!」



 頭上で自身の勝利を確信した【黄黙天】が、改めて両手で剣を握りしめて兜を割らんと大きく振りかぶった。



「――いいや、あんたはもう私を黙らすことはできない」



 剣を振るう刹那に対して、私は握っているメガホンを構えて口元に近づけた。



「〈メリフヴァルナーガホン〉のフルコーデ効果発動! 自分の場にミュージック・アクシデントカードがない場合、相手が発動したコスチューム以外のカード効果を無効にできる!」



 沈黙レベルが上がる完全発動の成功前に割り込めたことで、優先は後出しで発動したこちらの効果が先に適応される。


 銃を構えるように刹那に向かってスピーカーを向け、トリガースイッチに指をかける。


 そして一拍だけ大きく息を吸い込んでから、思いっきり大声を張り上げた。


 今までの鬱憤を腹から出す勢いで、言葉も歌にもなっていないただの叫び声が、マイクロホンを経由し、爆音の衝撃波となってスピーカーから放たれた。


 その目に見えるほどの衝撃波は目の前にたつアクシデントカードを粉砕し、ついでに空中にいる刹那のバランスを崩させる。



「そ、そんなッ!」



 打ち落とされた鳥のように体制を崩された刹那が、おもわず自慢の剣を手放す。


 円を描きながら空を切って落ちてゆくそれを、今度は私が握りしめる。



「これで〈黙殺〉の効果は不発に終わり、こちらの発動できるカードの制限はなくなった!」



 役目を終えたメガホンを投げ捨て、手にした刹那の大剣をぐっと持ち上げる。


 相手の衣装を破壊する。プリズムストリームで出来た大剣にその思いを込めて降った途端、着ている〈ヴァルナーガワンピ〉の色と似た群青色の斬撃が放たれた。



「〈ヴァルナーガワンピ〉の効果! カラミティ・ドレイン!」



 その三日月のような一撃は、ちょうど目線の高さまで落ちてきた無防備な刹那の体を貫いた。


 真っ二つに切り裂かれる【黄黙天】の象徴――〈メイガナードワンピ〉が塵と化す。


 幸い着主まで断裁という残酷な事態には至ってないが、実際に無害な小道具から出た衝撃によって、刹那の小柄な体がさらに放物線を描いてぶっ飛ばされてゆく。


 何もない、質素な床の上に、自慢の服を脱がされた【黄黙天】がついに落ちる。



「あーあー、『黙り続けてたらスタンバイにはならない』ってことにはならないか~」



 真剣勝負の緊張状態から一転して、いつものおどけた調子でそんな事を言った時、【黄黙天】もスタンバイの宣言――もとい敗北を認めた。



 天水晴那 AP2580 VS 雨羅刹那 AP750


ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「いいから早く決闘しろよ」


と思った方は、下にあります☆☆☆☆☆から、作品の応援をよろしくお願いいたします。

また、誤字脱字、設定の矛盾点の報告など何でもかまいませんので、

思ったことがあれば遠慮無く言っていただけると幸いです。


あとブックマークもいただけるとうれしいです。


細々と続きを重ねて行きますので、今後ともよろしくお願いします!

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