元ランク9 VS ランク5
天水晴那 AP300 VS 雨羅刹那 AP2250
ドローフェイズを迎える前に、私はパンとお尻を叩いてズボンを焼く炎をかき消した。
「私のターン!」
焦げ臭い臭いもなければ、痛むようなやけどもなく、ましてや幾千も囲う観客の目すらないのが幸いだった。
痛々しく焼け焦げた場所が見事な穴になって、あの直火に焼かれていた割には不自然にも無事だった素肌が丸見えになっていた。
「相手はフルコーデ揃って合計APは2250! 対してこっちはAP300の穴あきズボン。これじゃあ、いつスタンバイされてもおかしくないぞ」
「わかってる!」
ビャコが指摘する通り、刹那とこちらのAP値はダブルスコア通り越して七倍差。
誰の目から見ても圧倒的に不利な状況。
本来ならいかにして追いつくかを考えなければならないはずだが、相手はあの【黄黙天】雨羅刹那。
安易なポイントレースや妨害の仕込みをしてしまうと、あのコスチュームが出てきてしまう。
本来なら、【黄黙天】のプレイスタイル上、長期戦に持ち込むのは非常にまずい。
でも、こちらを圧倒するほど盤上、ましてや手札が揃っていないのは刹那も同じはず。
「私はカードを一枚準備」
警戒して温存していた四枚の手札のうち、一枚を抜き取って伏せる。
「そして手札から〈RDティアーズ マラカイトブーツ〉をコーデ!」
次に出したのはAP300のシューズのカード。
移動用の地味なスニーカーから、オレンジのラインが入った鈍い銀の光沢をもつ皮のブーツが変化する。
「〈マラカイトブーツ〉を履いた時、手札・デッキからクール属性・レアリティSRのコスチュームを追加でコーデできる! デッキから着るのは〈RDティアーズ ミルタニートップス〉!」
靴に次いで上半身の服装も、青白くフリルが多い衣装へと替わる。
「そして〈ミルタニートップス〉の効果!」
デッキから呼び出されたトップスが、呪文を唱えるように青白いオーラを放つ。
「このカードがコーデ・追加コーデされたとき、ステージ上のコスチュームの下に〈シェルベッコ・チャーム・トークン〉を一つアンダーとして装飾させる!」
本来、コスチュームカードはステージ上に決められたカテゴリーゾーンに置かなければならないが、全てのカードを置ききった後で、相手よりAPが低い場合、二種類のルールによって打開ができる。
一つは「ストア」。
文字通り収納を意味し、こちらは通常のコーデとは逆に一ターンに一度だけ、着ているコスチュームをデッキの下に戻すことができる。
もう一つが「アンダーコーデ」。
既に場に出ている衣装の下に、他の衣装をアンダーとしてコーデや追加コーデによって重ねることでAPを追加させる手段。
これによって重ねられた衣装は、パワーに変換された扱いとなり基本的に効果は発動できない。
むろん、アンダー元であるコスチュームが剥がされると道連れでランドリー行きとなる。
そして、この〈ミルタニートップス〉の効果のように、あるべきカテゴリーがない装飾品であり、本来デッキにはいらないもの――カードの代わりに使うオブジェクトであるトークンを置く場合にもアンダーコーデを使うことがある。
ただし、肝心のAPは0なのだが。
「そして手札からミュージックカード〈シェルコーラNP〉を発動!」
三種類にチャームまでそろえた後で使うのは、ナイトパーティー会場であろう夜のプールサイドを背景に、甲羅にコーラ缶を置かれた亀のイラストが描かれたミュージックカード。
「ステージ上の〈RDティアーズ〉コスチュームを脱衣することで、カードを2枚ドローする!」
トップスについていた鼈甲のチャームが瞬く間に粒子となって消滅したことで、さらに手札の枚数が増えてゆく。
随分と前衛的なジャケットデザインの割に、性能自体は「あってもなくてもよいカードをコストにして手札を増やす」という手札増強という優秀な効果を持っているが、それ相応にデメリットだってある。
「ただし、この効果を使用した場合、こちらは強制的にチェンジを宣言しなければならない」
天水晴那 AP1100 VS 雨羅刹那 AP2250
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