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フルコーデ効果

 天水晴那 AP0 VS 雨羅刹那 AP0



「先攻はキミに譲るよ~スッポンくん」



 デッキから四枚の手札を掴んだ刹那が放った第一声が、まさかの後攻選択であった。



「太っ腹だな、こっちに先攻をくれるなんて」



 お互いの芸能生命を駆けた試合ではあるが、本質はカードを使ったゲーム。


 故に先攻と後攻によって利点があるかは運の比重が多い故に明確ではない。


 無論、先攻では先にスタンバイの宣言をすることはできないが、ビャコが太っ腹と言うとおり、アクシデントを伏せたり、制圧力のあるコスチュームをあらかじめ置いておくなど、カード次第では相手を速攻で完封もできる状況を作りやすいため、大抵のアイドルは欲しがるが、それは戦術次第。


 ただ、勇作Pの作った〈RDティアーズ〉は受けの姿勢に特化した効果が多い。


 そのため、先攻だと少々動きにくいという欠点がある。


 それを敢えてこちらに譲ったということは、相手も後攻の方が有利に働く戦術であるか、寛容な降りをしてこちらに不利な状況へ持ち込ませたかのどちらかだろう。



「私のターン!」



 こちらもデッキから四枚を手札にし、手番の開始の合図としてもう一枚を加え、それらを改めて見る。


 幸い、この手札だと先攻であっても構えられるカードが揃っていた。



「私は〈RDティアーズ ポリゴンタトルパンツ〉をコーデ!」



 扇状に広げたカードから抜いた一枚をスキャナーに叩き付けると、読み込みプレートに虹色の光を帯びた無数の線が駆け巡り、描かれたイラストと同じパンツを具現化させて着せる。


 紺色を主色に、両側面に三色の濃さが違う青色の六角模様が並んだレギンス。APは600。



「私はこれでターンをチェンジする」



 速やかに全部のカテゴリーを揃えつつ、万全の迎撃準備まで整えきるのがセオリー。


 だが、相手はランク5。


 しかも、過去に何度も戦ってきた越えられない壁であったからこそ、警戒に警戒を重ねなければ。



「よーし、ボクのターンだ」



 番が切り替わり、刹那が開始の合図にデッキから一枚のカードを引く。



「さぁて、キミ達が静かになるまで何ターンかかるかな?」



 教師がよくやる叱り文句を煽り言葉にしながら、刹那が手札から一枚を引き抜いた。



「ボクは手札から〈トニトルス クリムゾンガイキトップス〉をコーデ!」



 カードがプレートに乗せられた途端、私服であろうあまり目立たないパーカーから、名前の通り鮮血を彷彿とさせる真っ赤なトップスへと変化する。


 自身のスタイルを自覚して売りにしているのか、胸元が大きく開かれているほど布地が若干少ない。



「さらに〈トニトルス イムシッドシューズ〉は、自分が〈トニトルス〉ブランドを来ている場合、手札が追加コーデできる!」



 次いで手札にある一枚をこちらにも見せ、宣言通りシューズもカードに記載されたのと履き替える。


 幼稚さが抜けてないパステルのスニーカーから変化したのは、皮製らしい艶のあるふくらはぎの半分までシャフトがあるロングブーツだ。



「AP700と750のコスチュームが一気に二着も。そんで合計APは1450か。あれほどの高APのカードをバシバシだすってことはパワー型か?」


「確かに彼女の持っているコスチュームの平均APは割と高いほう。でも、単純に火力だけにモノを言わせる戦略じゃない」



 何度も昔の記憶だけを頼りに相手の出方を伺っている内に、刹那は予想通りさらに手札にあるカードを使う。



「そしてミュージックカード〈轟雷・GO・轟音〉を発動」



 プレートに乗せて読み込ませたカードが、等身大の立体映像となって、こちらに見せてくる。


 落雷とレタリングされたオノマトペに囲まれながら、ランバダを踊っているというイラストをみるだけでもやかましいカードだ。



「このターン中に、〈トニトルス〉ブランドのカードを二種類以上コーデしているなら、デッキからまだ着ていないコスチュームをデッキから追加でコーデさせる!」


「まだ呼び出すのか!」


「ボクが呼び出すのは当然、〈トニトルス クリムゾンガイキスカート〉!」



 聳え立つミュージックカードが輝いて発動を告げると、刹那のデッキから飛び出した一枚のカードが、プレート上に空いている箇所を埋める。


 トップスと同じ名前を冠するスカートは、主色は同じくまるで元が一着のワンピースかを思わせるような、同じコンセプトのデザイン。


 スカートと名が付いているが、フレアといよりもキュロットに近く、それ故に布地は反対に多くなったが、腰から足首まで伸びている裾はマントにも見える。



「ありゃあ、一足先に全部揃えられちゃったよ」



 スカートまで出されたことで、トップスとボトムスも併せて計APが2250。


 勝負をするにはまだ頼りない数値だが、これを二ターン目で揃えられると流石に追い込みが厳しくなる。



「揃っただけじゃないよ」


「――フルコーデ効果か!」



 コスチュームカードの中には、一枚で効果を発揮できるカードがほとんどだが、その中には同じ名前をもつ衣装か同じブランドで、トップス・ボトムス・シューズの三種類が揃うことで発動する衣装がある。


 それを文字通りフルコーデ効果と呼ぶ。


 一枚だけでは弱いか最悪発動できないカードを、無事に三種類揃えないといけない手間という欠点があるが、一度揃えば一枚分のコスチュームカードを上回る性能を持つ場合もある。



「〈クリムゾンガイキトップス〉は、自分がトニトルスブランドでフルコーデになった時、相手のコスチュームを全て300ポイントダウンさせる!」



 ほくそ笑みながら効果を告げる刹那が、パチンと指を鳴らしたとき、擦れあった指から火の粉まで飛び散った。


 それによってスキャナー――ビャコに表示された私のAP数値が下がる。



「おい、晴那! 尻に火が点いてるぞ!」



 盤上の様子を表示していた画面から、ビャコの慌てる表情に切り替わった。


 まるで焔の魔法を唱えたような素振りを見せて終わったかと思ったら、本当にお尻に火がついていた。


 これもプリズムストリームによる立体映像。


 もちろん別に熱いわけじゃないが、マンガのように黒煙をプスプスと立ち上らせる表現で、衣装のAPが下がった様を演出されるのは、随分と悪趣味に思えた。



「ボクはカードを1枚伏せてチェンジだ!」



 天水晴那 AP300 VS 雨羅刹那 AP2250

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


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細々と続きを重ねて行きますので、今後ともよろしくお願いします!

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[良い点] ブルーアイズコーデドラゴン召喚!、攻撃表示で自動的に敵の衣装を消滅させる!
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