二話 サンドワームと会ってしまった!
「さてこれからどうしようか」
そう思いながら森の中を歩いていると大きく開けたところに出る。
「ん?」
おかしい。なんで森の中なのにこんなにも荒れているのだ?周りを見ても開けているところ以外は森林になっている。まるでここで大きな何かが暴れた跡だ。
もしかして魔物か?!
落ち武者はそんな妄想をしていた。実際になると思っていなかった。
どんどん進んでいくと、地面が凸凹していたり、穴が開いたりしている。
そこで何かが接近してくることに気付いたがどこからか来ているのかわからなかった。
「下か!!」
ギリギリでわかり避けれないことを察する迎え撃つことにした。
武士に転生すれば武器の流派を習得するのが当たり前だった。しかしこの男、あまりにもゲーム脳すぎて人じゃない化物を倒したいと思い、我流になった。そのせいで家から勘当されてしまったが。
「我流、落石!!!」
下から出てくるタイミングで技を放つ。この技を放った跡には小さめのクレーターができることから落石と名付けた。
そして下からでてきたのはサンドワームだった。
「ム」
落石をしてすぐにサンドワームの動きが止まった。
落ち武者はこの間に距離をとった。
「本当に魔物とは、この世界はファンタジーだな。しかし切ったはずなのにどうして生きているのだ?」
落ち武者には切った感覚があるのに対してサンドワームは傷一つ負っていなかった。だから謎だ。
サンドワームから何か透明なかけらがはじけ飛ぶことを確認する。
「もしや...」
落ち武者はすぐに近づき何度も斬りつける。するとまたサンドワームの行動が止まる。
しかしサンドワームがほんの少ししか動いていないため見分けが難しい。
そしてまたサンドワームから透明なかけらがはじけ飛ぶ。
「見たことがあるぞ、ゲームで」
サンドワームが飛ばしている透明のかけらは障壁だ。一定のダメージが蓄積すると障壁を壊し全回する。確かゲームなら初盤は障壁は一回だったから、二回は中盤だ。つまりこのサンドワームは中盤つまりまぁまぁ強い以上であるのか。
もう一回斬り付けてどうなるのか確認する。すると行動して一秒後には行動を止めて障壁を壊した。
「おいおい、これはやばいんじゃないか?」
三回は終盤。その時はだいぶキャラを育成しないと勝てなかった。懐かしいな。しかし実際にこうなってしまっては黒幕のアジトも近いのではないか?...いやよくよく考えてみれば俺が知っているゲームの世界なわけがないからありえないだろ。
そう思いながらもう一度、もう一度と六回目で倒れた。
「おかしい」
俺が知っているゲームなら最高四回だ。多い。あくまでゲームならだ。ここは異世界。ゲームなわけがない。
落ち武者はサンドワームを背もたれにして座りこむ。少し休憩したらサンドワームを解体して食すために。
「あれは狼煙か?」
煙が上がっているのが見えた。
狼煙が上がった場所には知能ある生物がいるはずだ。もしかすると人かもしれないな。よし急いで向かうとするが。
落ち武者は急いで立ち上がり狼煙の方へと走っていった。
倒したサンドワームの死体のことすら忘れて。