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BADEND集  作者: シソク
1/2

始まらなかった物語

「かぁさま、あれはなに?」


「あれは...

あなたと同じ歳くらいの貴族の男の子のお墓よ。」


「おはか...」


「この村に療養できていて、療養の甲斐なくあの世に旅立ってしまったのよ。

それで、この村でいちばん綺麗なこの丘の、いちばん景色の美しいあそこに、ひっそりと眠っているのよ。」


「ねむってる...」


「そうね、眠っているの。」


「1人でですか?」


「ええ、1人でよ。」


「さみしくないですか?」


「さみしいかしら...

そうね、寂しいかもしれないわね。

ここは、だれもこないから」


「かわいそうです...」


「ええ。可哀想ね。

お母さんがいなくて、お父さんも滅多に会えないまま、1人ローマからこんな離れたところに追いやられて、病気で苦しいまま死んでしまうなんて...うちの子たちは、みんな元気だから、想像も出来ないわ」


「一人ぽっち...」


「もし、生きてたら、プリューラはお友達になれる?」


「おともだち...うん!

プリューラ、

おともだちになりたかったです!」


「そうね。じゃあ、この摘んだお花、あの子にも分けてあげようか。」


「はい!」


「あなたがいきていたら、

プリューラはおともだちに

なりたかったです。

いつかどこかでめぐりあって、

きっとともだちになりましょう。

なむー」


あの丘で。

あなたに初めて出逢えたこの丘に。

私と巡り会う前に旅立ってしまったあなた。


かあさまがいきていたら迎えるこの終わりには私にも続きがない。


文字を読めるようにも、本を読むこともなければ、予言をすることもなく、災害に襲われ家族全員がそちらに行くまであと半年。


5歳の普通の少女として、かあさまに、とうさんに、兄たちに。

せめてめいっぱい甘えよう。










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