第一話 どうやら死んだみたいなので転生します
気づいたらそこは真っ白な世界だった――。
俺は高崎守、16歳の高校一年生。
先ほど青信号を渡っていたら突然車が突っ込んできて跳ねられた…までは覚えている。
しかしそこから先は全く覚えていない。
もしかすると病院の中?と思ったがそうでもなさそうだ。
一人そこに女性が立ってぶつぶつ言ってる以外は周りには何も無い。
「高崎守…16歳…オタク…」
女性はなぜか俺の個人情報をずっと言っていた。
さらっとオタクっていうのもバレている、恥ずかしい。
「えっと…高崎守さん」
「は、はい!」
いきなり話しかけて来たので驚いて声が裏返った。
「自己紹介が遅れました、私は女神エルサミスと申します」
「あ、高崎守です、よろしくお願いします」
「名前は既にこちらで把握しています、それで守さん、話すのが遅れたのですが…」
「えっと…何ですか?、話すのが遅れたって?」
「高崎守さん、あなたは死にました」
「はい?」
唐突すぎて訳が分からなかった、死んだって俺が?
そんなはずはないと思ったが、改めて周りの景色を見渡して死んだことを理解した。
「通りでおかしいと思った…周り全部が白いってありえないもん…」
「守さん、実はまだ生きる…正確には第二の人生を送ることができる選択肢があります」
「それって…転生ってことですか?」
「あなた達が住む世界では…そう言います」
エルサミスの説明はこうだ。
今俺は天国と地獄の中間の空間にいて、ここで生きるかそのまま天国か地獄のどちらかに行くかという選択肢があるらしい。
しかし転生は元の世界にまた生まれるという訳ではなく、平和な世界だったりとんでもない世界に転生することがある。
中にはすぐに転生し1日で死んだという者もいる、さらに転生先の世界で死んだらまた転生はできないそうだ。
そうならないために神の世界(エルサミス達が住む世界)では、10年前に(チートスキル)を導入した。
チートスキルとは「魔法が全て使える」「キックするだけで相手が死ぬ」みたいなとてつもなく強い能力のことである。
転生者には必ず一個チートスキルがつけられるそうだ。
俺はしばらく考えて、答えを出した。
「……転生します」
「そうですか、では今から(チートスキル)を決定しますので少々お待ち下さい」
エルサミスはそう言うと奥の方へ消えた。
数分後、奥の方からエルサミスが戻ってきた。
「守さん、あなたの(チートスキル)が決定しました」
「おお!、じゃあ早速どんなものか教えてください!」
「申し訳ありません、転生先の世界に行くまでは教えられない決まりになっているんです」
なんだその決まりは、と思ったがすぐに分かるんだしいいやと思った。
「それでは守さん、あなたをこれから異世界に転生させます」
俺はドキドキしながら転生を待った。
するとエルサミスが不思議な呪文を唱えると、俺は謎の光に包まれた。