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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王勇者×無気力少年 TAKE1

作者: 龍鳴 竜&時無あかね

 そこは白い部屋、まあ、2階廊下突き当たりの第3多目的室だ。

 ここは暁学園高等部だ。ついでに言うと何県かは知らない。その多目的室の中の備品を全て出して白い壁紙を貼っただけの部屋に1人の女性が居た。彼女の右手には1つの姫様の人形があった。


「ようこそ クレナイ レンさん」


 漫画みたいにわかりやすい服を着た女神のサーリアがそこに立っていた。

 皆さんお馴染みのエクスカリバーは女神の腰にある。


「えっと、ここは何処なんだ」

「?県?市の暁学園高等部2階廊下突き当たりの第3多目的室ですよ」

「ていうことは日本の高校か?」

「そうですね、ただあなたがいた地球とは別の地球ですからね」

「へえー別の地球か」


 黒のズボンに黒のシャツ、そして裾の部分がボロボロになっている赤いマント、それと真っ赤なレザーグローブを付けた黒髪黒目の日本人、レンが周りをキョロキョロと見る。


「ここがレン様の生まれた国ですか」


 そう言いながらレン同様キョロキョロしているのは、赤と黒のチェックのミニスカートに黒のフード付きロングTシャツを着た緑の髪に青い目の女の子だ。


「マインにとっては不思議なところか?」


 マインと呼ばれた彼女はレンの方を向く。


「こんな白い建物あまり見ませんからね」

「確かに異世界にはあまり無いな」


 レンとマインが話していると後ろの壁がベリっと音を立てて開いた。


「誰だお前ら?」


 そう言って入って来たのは青み掛かった黒髪と深海のような黒目の女の子と少し明るい黒髪、黒目を持った男の子だ。


「それじゃ自己紹介を」


 そう言ってレンがマントをバサッと翻してシャツの穴から翼を出して広げる。


「世界最強の魔王、クレナイ レンだ」

「その妻のマインです」


 なんか顔に手を当ててもう片方の手を前に突き出しているレン、レンにがしっと抱きついたマインが自己紹介をした。


「私は水上(みずかみ) 瑞乃(みずの)、よろしくね」

「俺は早見(はやみ) (よみ)だ。よろしく。ここは文芸部の部室だから消えるか消滅するか選んでくれ」


 読がレンたちに言うとサーリアが虚空から数本の剣を出す。そしてそれら全てがまるで人の手に握られているかのように動き出し読に剣先が向けられる。


「あなたを消す。という選択肢はどうですか?」

「──っ」

「話を聞いてくれますね」


 読が軽く手を挙げる。


「わかった、聞くよ」

「それでは今回あなたたちを呼んだ理由を説明しますね」


 はいはーい、今回も説明は飛ばさしてもらうね。

 あと言い忘れていたって言うかもうわかっている人もいるかもしれないけど今回もリーフィン視点でこの話は進んでいくよ。

 リーフィンって言うのは龍鳴が三人称視点を書きやすくするために作ったキャラだからこの話に割り込んできたりはあまりしない。だからナレーターみたいなもんだと思ってくれたらいいよ。

 そしてサーリアの説明によると。


 ・この学校の所々にトラップや仕掛けが作られている。

 ・校長室に女神が待機している。

 ・協力してその女神を倒す。


 すなわちRPGのようなものだ。


「では頑張ってください」


 そう言ってサーリアは消えた。

 

「えーとまずは校長室の場所を教えてもらわないとな」

「校長室ならあそこだぞ」


 そう言って読が部屋の一角を指さす。


「いや、行き方を教えて欲しいのだが」

「めんどくさい」

「いや、少しは頑張ろうぜ」

「そんなこと言わずに手伝ってあげなよ」


 レンと読が言い合っているが、ヒロイン達は運び出されていた机を持ってきてお茶を飲んでいる。そして瑞乃はレモンティーを飲みながら読に声を投げかける。


「わかった。さっさと終わらして日常を取り戻そう」


 というわけで校長室に向かって進んでいくのだが


「あれ? こんな所に壁なんてあったっけな?」

「知らねーよ。お前が知らないならあいつらが作ったんだろ」


 レンがアカギを抜いて壁を切り裂く。アカギは絶対切断付きの刀で切れないものは何も無い。


「RPGで壁壊すってありなのか?」

「まあ、壊せるんだったらありだろう」


 そして壊した壁の向こうに明らかにやばそうな扉があった。

 見た目は完全にロダンの地獄の門である。


「はあ、明らかに暗号のようなものがあるな」


 読が地獄の門に付いていた数字を合わせるタイプの錠前を手でカチャカチャと動かす。


「壊して入るぞ」


 扉には読がいるので壁の方を切り崩す。

 そこでは1人の女性がソファーの上にいた。その女性は黒髪に紫色の目で角があり、黒いドレスを纏って横たわっていた。というか寝ていた。


「──」


 レンが無言で女性、サリアに近づく。

 そして剣を振り上げてサリアに向かって振り下ろし…


「まだまだ甘いね」

「ちっ、」


 サリアが出した魔法陣に刀が止められる。


「ふぁ、しかし随分と早かったね。知り合いと一緒に相当の時間を掛けて作ったんだけど、やはり力と知恵があれば最強み…た…い…」


 欠伸をしながら起き上がったサリアの目に校長室の穴が飛び込んできた。


「あ…れ…? 破壊不能属性付きの壁に穴が空いているような気がするんだけど」


 その時、穴の隣にあった地獄の門がゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと開いていく。


「あ、扉空いた、周りに掘ってあった数字を手当たり次第に因数分解していって合わせて4桁の数字にしたら開いたぞ」

「え? 式だけでも20個ぐらいあったし解の組み合わせだけでも膨大な数になるはずなんだけど」

「1番効率がいい方法でやったからな。それでもまあまあ時間かかったぞ」

「そ、そんなぁ」


 天才と化け物の2人によって打ちのめされたサリアはソファーに座り込んでしまう。

 その間にも開いていた地獄の門がガコンと開ききった途端、校長が座る机が真ん中で割れ、下の穴から光り輝く柱が吹き出し、光の柱が消えたあとには左右に3本ずつ剣を携え、右手に光り輝くエクスカリバーを握ったサーリアがいた。


「よくぞここまでたどり着きましたね。さあ、最終決戦を始めましょう」


 サーリアがその場の空気を無視してそう宣言する。

 レンとマインが剣を構える前にサーリアが地面に赤い玉を投げ、それが砕けた途端、レンたちがグラウンドにテレポートする。


「さあ、開戦ですよ」


 サーリアが6本の剣を散開させ、エクスカリバーを構えながらレンに向かって走る。

 水上に向かって1つの剣が飛んでいくがそれを読がそこら辺に落ちていた木の枝で弾く。


「って、お前なんで木の枝で弾けるんだ?」

「ベクトルとか動きとかを読めば簡単にできるだろ」

「普通できねぇよ」


 なんか読がわけのわからないことをやっているが、簡単に説明すると、天才の読くんがサーリアの心を読んで剣の次の動きを把握、その状態でどこにどう力を加えればいいのかを計算して木の棒で押しているのである。まあ、戦闘で普通の高校生にこれ以上期待できるはずもないのでこいつは置いといてレン達の方を


「ん? なんだこれ、宝箱か?」


 あ、読がわっかりやすい箱を見つけた。直方体にかまぼこを乗っけたような箱で、全く意味が無い錠前がついている。つまり宝箱だ。


「お、やったね。身体能力強化、魔力増加、再生能力強化のポーション、それに剣まで入ってるじゃん」


 ああ、なんと読君まで戦闘参加ー。

 水上は端で縮こまってるサリアを木の棒でつんつんしてる。


「大丈夫?」

「ぐす、全然大丈夫じゃない、友達と一緒に1ヶ月間楽しくワイワイやりながら作ったのに」


 ああ、なるほど、文化祭みたいなテンションで作ったんだ。

 それは悲しかったろうな。しかしサリアが泣くほどってすごいな。


「また作ってよ、そしたら今度こそ読くんと攻略してあげるからさ」

「うん、」


 がしっと水上とサリアが抱き合い、友情が芽ばえる。

 いやぁいい話だなあ、ボクも思わずほろっと来ちゃったよ。

 目と鼻の先で殺し合いがあることを抜けばだけどね。


「読! とりあえずお前にその2本は任せるぞ」

「ああ、任してくれ」


 読が宝箱の中に入っていた黒い剣を振り、浮いている2本の剣を弾き続ける。

 そして残りの4本はマインに任せてレンがサーリアに向かって跳躍する。


「さあ、持ち手のいない剣ども、あなた達の相手は私ですよ。レン様の戦いの邪魔はしないでください」


 マインが剣に向かって滑るように動く。

 剣がマインに向かって刃を振るが4枚の刃の隙間を潜り抜ける。

 剣が縦横無尽に走り回るがその全てをマインは避ける。

 その華麗な避けざまはまさに蝶のようだ。

 マインは魔王魔法というスキルを使い、足の裏から魔力を噴射し、まるでホバークラフトのように移動しているのだ。

 そして滑るように移動しながら剣を弾いていく。この剣1本1本がサーリアと同じだけの技術を持っている。それどころか弱点となる体がない事でもっと強いかもしれない。だが体かないということは軽いということでもある。先程からマインは4本の内3本、または2本を弾き、必ず1対1、少なくとも2対1の戦闘を維持している。


「はい、これで1本目ですね」


 そう言ったマインの手にはさっきまで元気にマインを殺しに来ていた剣の内の1本が握られていた。

 サーリアが操っている剣はサーリアから伸びる魔力の糸が剣に結びついて初めて動くようになる。レンやマインの剣が操られていないのはそのためである。そしてその魔力の糸、まるで髪の毛のような細さのその糸を切ることが出来れば剣の動きを止めることが出来る。

 ただ不可視の糸をそう簡単に切れるわけがない。マインは噴出した自分の魔力、その淀みを見つけて切ったのだ。


 それだけのことをしてもまだ1本、それが神と人との格の違いである。


 そしてそんな技術の塊のようなマインに対してレンの戦い方は雑だ。

 剣を大きくよけ、時々手首などを切られる。だが再生能力が高いレンはそれでも戦えている。


 そしてアカギを持ったレンの手首が切り落とされる。


「今度は蹴り上げたりなどはしませんよ」


 切り落とした手首には目にもくれずレンの本体に近づき蹴り飛ばす。

 レンの体が糸の切れたマリオネットのように飛んでいく。


「あれ?」


 後ろに飛ばされたレンの手首から体が再生し、剣を振り下ろそうとする。

 だがなんの抵抗もなく蹴り飛ばされたことに疑問を持ったサーリアが後ろに剣をまわす。


 グチュ

「っ、さすがですね」


 後ろにまわされた剣の先に自分の左腕を突き出し、筋肉に力を入れて止める。

 そしてレンも剣を突き出すが同じくサーリアの右手に剣先を握られて動かなくなる。

 膠着状態になるのを恐れたレンがサーリアを蹴ろうとする。


「ふん、」


 だがレンが蹴る前に読がサーリアの首を落とす。


「んぐぁ」


 サーリアの首がレンの顔に当たる。

 読が担当していた2本の分もマインが戦い、読がサーリアを殺すだけの時間を稼いだのだ。


「いやぁさすがにあなたたち相手に7本では舐めすぎでしたね」


 地面に転がっている首がそう言った。

 既に土に還り始めている。


「姉様ー、この高校は元に戻しておいたよ」


 高校にあったトラップその他(未使用)を片付けたサリアがそう言った。


「さて、どうやら今回も楽しめました。やはり無双するより、少し不利辺りがとても楽しいですね。また殺し合いができることを楽しみしてますね」

「とか言ってるくせに待たずに来るんだろ?」


 これまでもそうだった経験があるレンがサーリアを睨みつけながら言った。


「くすくす、そうですね」


 そう言いながらサーリアは土に還った。

 レンたちが後ろを振り返った時には既にサリアは消えていた。


 別に1つの戦いが終わったからと言って何かが変わる訳でもない。新たな日常が始まる訳でもなく。ただ元の何事もない日常が続いていく



 はずだった。



後書きです!

今まで完結した作品を書いたことが全くなかったので(魔王勇者×日本戦闘の前にこれ書いた)完結させるのは初めてでした。

思っている以上に話が長くなり、無気力少年のキャラを戦闘に参加させるのは無理だと思ったので色々でブーストしました。

しかし、楽しかったですね。いつものキャラとは違って元々あるセリフにできるだけ似せて書くのは少し難しかったです。

さて、この作品に出てくる、サーリア、サリア、レン、マイン、リーフィン、達が楽しく殺しあっている魔王勇者の無双の旅と、読、水上、その他の仲間達が楽しくイチャイチャしてる無気力少年のラブコメ的な日常もよろしくお願いします。

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