最弱だから、俺は寝て過ごしたかった
最弱、という最悪な称号を持ってドラゴンに転生してしまった俺。
最弱なだけならまだ良かった。自分は次に気になったドラゴン、について詳しく鑑定してみた。
【ドラゴン:Sクラスの危険生物 数こそ少ないが、ドラゴンの力は凄まじく、小さな街なら単体で滅ぼせるほどの力を持つ。たまに群れを形成する種族もあり、最大規模の群れは城塞都市1つを滅ぼしたことがある。
ただ、ドラゴンを狩るということは世界最高の名誉を得ることであり、A級危険地帯未満の場所で単体で発見された場合、リスクを冒してでも、国を挙げて狩りに挑む事例が多い】
はい、狙われます。しかも国に、圧倒的戦力で。
A級危険地帯?毒ガスが蔓延しているとか常に火山が噴火しているところとかそういうところらしいよ。自分が住めるわけないって。群れ? 他のドラゴンにやられる未来が見えるよ。
ちなみにここはA級危険地帯【魔境の森】
B級以上の魔物がわんさかいる森だ。但し、ドラゴン、つまり俺の親の住居に近寄る魔物はいない。それだけドラゴンの力が圧倒的なのだろう。
もう俺はずっとここにいるぞ、最弱なのだから仕方ない。
これからは【最弱のドラゴンは今日も寝る】お楽しみに!
そう言い訳し続けて、1週間が経過した。親はいつものように狩りに出かけると思ったが、俺を連れていく。狩りの仕方を俺に仕込むようだ。
親は、イノシシを見つけると軽く瀕死まで痛めつけると、俺の方を向いた。トドメを刺せ、ということなのか。
俺はイノシシまで全力で走って、右手のかぎ爪を振りおろす。対するイノシシは瀕死の頼りない体でヨロヨロの突進を仕掛けてきた。
2つの攻撃が交差する。そして次の瞬間…
俺はぶっ飛んでいた。イノシシは止まらず、更に俺に追撃の突進を加えてき、俺は意識が暗転した。
そして意識が覚めると、体中に傷みが奔る。少し悶えた後、周りの状況を確認する。
今俺は薄暗い暗い空間にいた。いわゆる洞穴なのだろうか。
取りあえず、出口は…あっちか。俺は出口に向かって歩いていった。
そして外に出て見えたのは、のどかな平原、そして遠くでは馬車が走っていた。魔境の森では絶対に見ない光景だろう。当然親の住処等ではない。
俺は瀕死のイノシシに負けるほど弱くて、そして絶賛大怪我中なのだ。こんな自分が1人で外にいて万が一敵に見つかったら、死ぬことは必至だろう。
俺は「ピィィィィ」と鳴いた。これをするとどこにいても親が帰ってくるのだ。しかしいつまで経っても親は来ない。何度鳴いても親は来ない。
代わりに二人組の人間は来た。俺は慌てて先程の洞穴に逃げ込む。
「あれ、こっちでなんか高い鳴き声したよな」
「あぁ、俺も聞こえたぞ」
「おかしいなぁ…モンスターだと思ったのに」
冒険者Aは辺りを見回す。そして見つけたのは洞穴と…鳥だった。
「なんだ、小鳥の求愛行動かなんかか」
「まあ小鳥も頑張ってんだ、ほっといて帰ろうぜ」
「そうだな」
…あっぶねぇぇぇ! 冒険者らしきもん引き寄せちゃったよ、鳴くのは危険だな。
今まで起こったことを1つずつ整理しよう。
まず、俺は最弱のドラゴン。本来ドラゴンは産まれてからして最強の種族と言われているがが、俺は最弱の称号持ちだ。
次に瀕死のイノシシに負けた。瀕死なのに、逆にこっちが気絶まで追い込まれた。弱いにも程がある。
そして、今来ない親。見知らぬ場所。
主に起こったことはこんなものだろう。そして、それから推測できる今の状況。
……もしかして俺、捨てられた?




