魔術とかどうでしょう。
書き溜めに追加してたら時間がかかってしまいました。
違う。
いや、良いんだけどなんか少し違くない?
案内された俺の部屋はこの世界に来て目を開けた時にいた部屋、つまり千の部屋と同じ造りになっていて、俺の部屋は千の部屋と隣だった。また、隣り合ってる部屋の中には扉が付いていて中から千と俺はお互いの部屋を行き来できるみたいだ。まあ、なんで付いてるか分からないんだけど。
で、従者なんだけど…
一人目は肩まである長い金髪と豊満なボディラインが魅力的なスレイプという美人な女性。
二人目はスレイプとは対照的な黒いショートカットの似合うボディラインは少々というか随分抑え目のニールという少し年下目の可愛い女の子。
3人目は少し肌が焼けている活発的そうな茶髪ショートカットのフレキという可愛い女性。
………………………………来るか?モテ期。
ハーレムかよ。最高だな、異世界。
彼女達は基本部屋に居ていざとなった時は俺と一緒に戦う事もあるらしい。
つまり実力もあるという事だ。
なんで女性のみなのかと千に聞いたが、
ただ単に実力が高い順に選んでこうなったらしい。
ラック高。おばさんもいないし。
おじさんいないし、おっさんいないし。
でも、なんかハーレム過ぎて駄目な感じがする。
それから俺がこれから住むことになる部屋についての説明を受けた。
3つある部屋のうち、それぞれリビングとキッチンで一部屋、寝室で一部屋、あとのもう一部屋は自由に物を買って好きに置いて良いということだった。
取り敢えず今日は色々と疲れていたので寝る。
うぅ、なんか、くる…し…い…?
目を開けるとあの快楽ベッドの上で何かに覆われていた。というかこのベッドこんなに狭かったか?
電気がつけられなくてもがいていると、覆っていた何か“達”が動き始めた。
「目が覚められましたか?」
うん、薄々予感はしてた。だろうと思ってもいたし軽く望んでいた面は諌めない。
注)彼は非リア歴17年である。
「少し退いてくれるかな?みんな。」
「んん…わかりました。」
乗っていたのはニールで左右にそれぞれスレイプとフレキがいた。
勿論寝る前には居なかった。
全く…従者って…
最高だな。
「灯りを点けてもらえるか?」
「はい。」
そう言ってスレイプが手を叩くと部屋に灯りが点いた。
「みんな、寝るところは無いのか?」
「あるけど、ここで寝たほうがいいかな、と思ったんだよ!」
いや、フレキ、なんでだ。
「そ、そうか、まあ良いんだけどな。」
本心。
ていうか、なんでお前まで居るの?
そしてそいつに問う。
「おい、千、なんでお前まで寝てるんだ。
お前にもこの快楽ベッドが部屋についてるだろ?」
「だってー、前までレイラと一緒にこっちのベッドで寝てて………、あっちのベッドは従者に使わせてて私は使ったことないの。」
ん…つまり………。
「あぁ、レイラって言うのはあなたの前に守護者をやっていて、パチャカマックの魔力継承者だった人のことよ。」
俺の顔から困惑を察知したのか、教えてくれた。が、そこじゃない。俺が困惑してるのは。
「それよりも、千。お前、いまあのベッド使ったことないって言ったな?」
「うん、レイラがあっちのベッドは従者に使わせて、こっちで一緒に寝よう、って言ってくれたから。」
まさか……
「因みに従者って俺と同じく女の子だけか?」
「ええ、偶々ですけど、そうよ。」
良かった。心の底から俺は安堵した。
これで男があのベッドで寝てたとしたら
そのベッドで匂いを堪能してたなんて、悲しくなってたところだ。
そして…
「ちょっとお前の従者見せてもらっていい?」
「いいわよ、でもいまは寝てると思うし、明日の朝なら見れると思うわよ。」
そう言われて時刻を確認すると現在2:00。
そう言えばこの世界と俺のいた世界も時間は二十四時制を採用していて、一年が365日(閏年は無い)らしい。
「そうだな、じゃあ後でベッドを買っとこう。みんなの為に。…(あと自分の為に。)」
「そうね、後で頼んでおくわ。」
「ん?頼んでおく?誰に?」
「バカね、守護者は任務とか以外では城に常駐していないといけないのよ。性質上ね。
だから欲しいものとかは従者か、城で働いてる者に買って貰うの。」
「なるほど、確かにそうか。」
と、そんな会話をしていると再び睡魔が襲ってきた。
「眠くなってきたからそろそろ俺は寝る。俺はソファで寝るから、お前らこのベッドで寝ていいぞ。」
「「「分かりました…。」」」少し残念そうに聞こえたのは俺の耳のせいだな。
返事をしなかった千はというと……。
寝ていた。既に。ベッドで。
早いな、笑と苦笑しながら寝室からソファのあるリビングに向かった。
リビングでソファを少し整えて横になるが普通に良い感触だ。
それにしても…
どうしたものか。
守護者、確実に危険で責任のある役割だ。そんな役を俺がやっていいのか…というかできるのか。
でも元の世界に戻るくらいなら……
いずれにしても明日も大変だろうな、そう思ってゆっくりと眠りに落ちていった。
ん?なんだか騒がしいな…
どうやらドアの向こうから伝わる騒がしい気配が俺の崇高なる眠りを覚ました様だ。
なんだ?軽く寝癖を直しながらドアを開けると偶々通りかかったセイヤが状況を説明してくれた。
「あれ?起きるの遅くないか!?まあ、新入りだしな、っつっても早く支度しろ、認定2日目にして防衛戦開始だ!20Km先に敵の軍隊が発生したらしい!従者も起きてないのか、まあいいや!早く来るんだ!場所は三階の迎撃場で、あそこの階段を上って三階に行についたら目の前だよ!じゃ!」
そう言ってセイヤは走って行った。
あの頭って寝癖じゃないのかな?
そんなどうでもいい事を考えていた。
とは言ってももう守護者として働く他無いと覚悟したし…急いで準備せねば。
洗顔と歯磨き、寝癖を直し服を着替えた。
部屋を出る前に寝室を覗くと従者の3人はスヤスヤ眠っていた。千は居なかった。
((起こしてくれても良いのに……))
言われた通りに階段を上って3階まで行くと目の前に俺以外の守護者が居た。
「すすす、すみません、ね、寝坊してしまいました!!」
全力で謝った。
「大丈夫だ、どうやら連絡手段に難があった様だ。こちらこそ気を遣わせる事になってすまんな。」
静さんはそう言った。
俺は頭を下げながら無言で千を睨んで後ろに退いた。
「来ましたね。」
飛華流が言うけど、この人落ち着きすぎじゃね?
「戦闘態勢万端!!かかってこいや!」
飛華流の前に居たセイヤがいつも通り威勢の良い声で叫ぶ。
とその時、急にセイヤがうつ伏せに倒れた。
「なに!?」
飛華流もこういうところあるんだな。
驚きを隠せない様だ。
「私は頂上へ行く。帝姫と千はついてこい。
飛華流と零は右から、雷起とリンドウは左から頼む。」
「あの、俺はどうしたら。」
「まだ新入りだから見学していてくれ、闘い方を見て考えるんだ。ここが見えやすいだろう。」
なるほど…たしかにな。
「分かりました。」
「では、行くぞ!」
……闘い方とか言ってるけど
俺が魔力継承者だろうがなんだろうが、
俺、魔術とか使えねぇ。
そう嘆いていたら、炎が龍の様な形をして、こちらに向かって飛んできている事に気づいた。
「ちょ、え、どーしたら!!」
とりあえず右手をその炎の龍に、向けてみた。
分解しろ!!!
…………はい、出来ませんね。
くそー、どうしたらいいんだ。
このままじゃ、灰になっちまう!!
『慌てるな、目を瞑れ。』
ふと、頭に声が浮かんできた。
でも、目を瞑ったら何時炎の龍が来るか…
『案ずるな、それよりも早く目を瞑るのだ。』
めっちゃ偉そうだなこの声、
仕方ない、こうなったらなんでもやってやる。
『精神を集中させよ、そして、頭の中を空っぽにするのだ。出来たら目を開けよ。』
言われた通りにするしかないな!
先ずは精神を集中か。
そして頭の中を空っぽに…
。
ハッ!
目を開けた途端左眼からの情報が消えた。
そして、頭の中を凄まじい情報量が流れる。
これは、魔術に関するものか!!
なるほど、これで魔術を使える!
消すには…これか。
両手を炎の龍に向ける。
炎の龍はあと数百メートルで俺を呑み込みそうだ。
「炎終抹」
その瞬間炎の龍が跡形もなく空中で消滅した。
「す、凄いわね。」
気付くと周りにセイヤ以外の他の守護者達が集まっていた。
次話がいつになるか分かりませんが、どうぞよろしくお願いします。
作家さんて凄いですね。