そろそろ異世界モノが始まります。
本編第2話です。
少し長くなってしまいましたが宜しくお願いします。
暇だ。
入院から3日後。
若しくは彼女と衝撃(?)の出逢いを果たしてから3日後の今日である。
頭痛も治り、足は元々痛みはなかったので本来なら退院しても良いんだけど…
普段よりもゲームをやり過ぎたせいか、段々と疲労と飽きが襲ってきた。
将来は
ゲーマーにはなれないな…
やはり専業主夫か…
いい奥さん居ないかな…
お金持ちで働きたい女の人…
それでいて美人で…
優しくて気が利いて…
ってそんな人と結婚なんて出来ないな。
と自分で勝手に幻想を抱いてイマブレこと由良様自身でその幻想を殺したところで、俺1人だけの哀愁溢れる病室にノックの音が響き渡る。
「はい。」
来たのはあの千とか言う謎女だった。
「こんにちは、この前の件について話に来たわ。」
「あー、はい。」
うん、慣れてきた慣れてきた。
「やはりあなたは継承者で私とパートナーを組む存在で間違いは無いわ。」
いや、全然慣れてなかった。この人、何言ってんの?拗らせちゃってんの?
ここ病院だし、やっぱ病気を拗らせてんじゃないのかな。
ここは無難に乗ってみるか。
「やはりそうですか、想定はしていましたが。バレてしまっては仕方がないですね。
私はゼウスの継承者の由良様だ。」
……………………………………あれ?
間違ったかな?
なんか沈黙が。
え?これってなに?なんの罰ゲーム?
「はぁ、私は別に厨二病じゃないわよ?貴方は北欧最高神オーディンの魔力後継者なのよ。」
そっちか…そこは無難にギリシャ神話でしょ。ギリシャ神話だと思うじゃん。
北欧神話が真っ先に出て来ないじゃん。
「そうですか、でも痣はありませんよ?」
溜息混じりにそう呟く。
「実は貴方は“無印”らしいのよ。
だから痣が無いみたいなの。」
なんか、ダッセー笑笑
心の中で嘲笑し、続きを顎で促す。
「そこでシヴァの魔力後継者である私とパートナーとして任務を遂行することになったの。だから、宜しく。」
いやいやいや、そんな、真顔でそんなこと言われたら困るわ!
「宜しく御願いします。」
うわ、神対応。俺。
そして彼女は再びあの携帯の様なモノで電話を掛けた。
「説得できたわ、ゲートを開いて。迎えに来てくれないかしら。」
え?ちょ、厨二っっ!おい!
「説得って…?」
「貴方を城へ連れて行くわ。」
………………いや、説得してないじゃん。
その厨二に乗っただけじゃん。
というか城に行くとか初耳。
つーか拗らせてるだけだよね?
「へ?まだ退院出来ませんし、それに、学校の友達にも…」
注)彼はぼっちである。
「そんなのはどうにかなるわよ。それよりも早く城へ行くわよ。て事で宜しくね。」
そう言って彼女は誰もいないベッドの方向へ向いてウィンクをした。
すると、誰もいなかったはずのベッド、というより俺と彼女しかいなかったはずのこの部屋にもう1人の存在が瞬時に浮かび上がった。
「ご機嫌如何かな?邪馬素君。千君、早速行こうか?」
「宜しく頼むわ、さあ、由良君。準備は良いかしら?」
何もなかった空間から人が急に出てきて少し信じてきたが、手の込んだ手品の可能性もある。又はドッキリ。
「城って何処にあるんですか?」
「城はこの軸じゃなくてもう少しズレた第3軸よ。」
なに?軸って…分からねーよ。
「軸ってなんですか?」
やはりここは素直に聞いた方が…
「はぁ、そんな事も知らないのね、城に着いたら説明してあげるわ。」
だからなんでそんなところに行かなくちゃ行けないんでしょうか。
「とにかく、ついてきなさい。」
まあ、でも、そんなところがあるなら行っても良いかな。
「は、はい。」
「うん!じゃあ宜しく零。」
「了解、では時空間酔いに御注意。
“並行移行”」
そう言って彼は両手を広げそれらを回転させて円を描き始めた。
と、その描いている円に向かって身体が引き寄せられた。凄まじい力で。
そして重力が働いて無いかの様に身体が宙で何回転もした。
気付くとそこはベッドの上だった。
鼻にフローラルの良い香りが突き抜ける。
甘くそれでいて爽やか。
「ねぇ…」
少し起き上がろうとすると、このベッドのもう1つの優れている点を発見した。
え、なにこれめっちゃふかふか。
「…ちょっと。」
うわー、気持ち良いな。
もう少し力をベッドに加えてみる。
「ねぇ、ちょっと…」
これは凄い。身体にストレスが全くかからない。ずっと下まで沈んでいけそうな感覚だ。
「ねぇ!!!ちょっと!!!」
「ふぇっ!?」
いかん、変な声を出してしまった。
というより、急に叫んだらビックリするだろ、バカヤロー。
「さっきから呼んでるのに返事しないし、
ヒトのベッドの上で遊んでるし、全くなんなの!そのベッド私のなんですけど!」
え?呼んでた?
このベッドの快楽に溺れてしまっていた様だ。にしてもこのベッドで寝られるとかなんか急にムカついてきたわ。
「優しさに溢れる良いベッドですね、こんな良いベッドで寝れたら俺もこのべッドの様に穏やかで優しい性格になれますよ。」
皮肉を込めながらも本心を言った。
「はぁ?なに?バカにしてるの?だ、大体ヒトのベッドでなに匂いとか嗅いでんの!?気持ち悪いのよ!
別に良いんですけどね!」
それは素直に申し訳ない。
確かに自分のベッドを他人がクンクンしてたら引いてしまう。
でも良いのか笑
ていうかこれ、残り香だろ。
「それはごめんなさい、君のベッドだとは知らなかったから。」
「ま、まあとにかく、早速歓迎会が始まるから私についてきて。」
そういえば、ここは何処だ?
確か病室でよく分からない奴に吸い込まれて……って!
「あぁ!!!俺、今どこですか!?」
「そういった説明もさっきの軸の説明もそこで騎士長がするわ。」
「そ、そうですか…」
つーか騎士長って一体どんな人だろ。
気になるけど少し、いや結構怖い。
まだまだ力不足ですね…