最終戦
先制はケルベロスだった。
前足を掲げ、ライトの頭上から凶悪な爪による振り下ろし。かなりの威力を秘めた一撃なのだろうが、ギルドマスターとの鍛錬で嫌というほど味わってきた攻撃に比べれば、目を閉じても避けられる速度だ。
軽く後方に跳び難なく躱すが、攻撃はそこで終わらなかった。
真ん中を除く左右の頭が大きく息を吸うために仰け反っている。その予備動作を見て、ライトは更に距離を取るが背中が金網に触れてしまう。
リングは結構な広さがあるのだが、ケルベロスの巨体がかなりの面積を占めているので、必然的に逃げる場所も少なくなってしまっている。
「シュウウウゥ!」
左右の口から、沸騰して蒸気が吹き出している音に近い声がしたかと思うと、口から薄い紫色の息が吐き出された。
これを喰らうわけにはいかないと、ライトは口に巻いていたシャツを剥ぎ取り、両手で風を送るようにして毒の息を扇ぎ返す。
「がはっ、ごほっ、ごほごほごほっ!」
それだけで全ての毒の息を防ぐことができる訳もなく、大量に浴びてしまい咳き込んでいる。金網に手を突き倒れないようになんとか耐えているライトを見て、ケルベロスは好機と判断したようだ。
一気に間合いを詰めると、真ん中の顔が大口を開け頭からライトに齧りつこうとした。
「狙い通りですね」
苦痛に歪み咳き込んでいたはずのライトが顔を上げると、平然といつもの薄い笑みを顔に貼り付け拳を握る。
ライトは軽く横にステップすると相手の噛み付きを避け、閉じられた顎へ全力の拳を突き上げた。顎先の骨より内側の柔らかい肉を突き破った感触が拳に伝わる。
その拳は上顎をも貫き、勢いを殺すこともなくケルベロスの鼻の後ろから飛び出した。口内の毒液に直接触れたために拳が焼けただれ煙を上げているが、意にも介さず引き抜こうとした。
しかし、拳を戻す途中で妙案を思いついたとばかりに、ライトは腕を更に奥へめり込ませ、脳をかき混ぜておく。
激痛でリングの上をのたうち回っているケルベロスから距離をとったライトは、腕から煙を立ち上らせたまま、その様子を観察する。
(『状態異常耐性』のおかげで毒の影響はないようですね。苦しがるフリが上手くいってなにより。頭は三つありますが、痛覚は共通ですか。これで真ん中の頭は完全に潰れました。左右の頭は未だに健在ですが、痛みで戦うどころの騒ぎではないようです。畳み込むのは今)
そう判断すると、ライトはケルベロスの臀部付近へ移動し、左後ろ足の付け根付近に全力の一撃を叩き込んだ。
鈍い音と共に拳が肉を抉り埋没し、その先にある股関節を砕く。衝撃でケルベロスの下半身が弾かれ、金網に激突する。
これで機動力も失う羽目になったケルベロスは痛みに耐え三本の足で立ち上がり、血走った目がライトを射抜いていた。
真ん中の頭は力なく垂れ下がり、左後ろ足はその機能を失い引きずられている。
「貴方は操られているだけなのでしょう……ですが、私も食われる訳にはいきません。その枷から解放してあげますよ」
ケルベロスの正面に立ち構えを取る。右拳を右脇腹に添え、上半身を限界近くまで捻り、膝を曲げ下半身を安定させた。
「ゴルグウアアアアアアッ!」
「『上半身強化』『下半身強化』」
ケルベロスの雄叫びに合わせ、強化魔法を発動させる。闘技場では魔法の使用は禁止されているのだが、ライトの壮絶な戦いに見入り、誰も魔法を行使したことに気づいていない。
三本の足で大きく跳び上がったケルベロスの影にライトがすっぽりと入り込む。ライトは膝に溜め込んだ力を解放して、宙にいるケルベロスの胸部へ跳び上がった。
「終わりです!」
ライトの放つ手刀がケルベロスの胸を貫き、あばら骨の隙間を突き進み、心臓を串刺しにする。着地をすると、即座にケルベロスの足元に回り込み、ケルベロスの両足首を掴む。
既に命が失われたケルベロスに追い打ちをする必要はないのだが、会場の客や司会者はライトの一撃が心臓を貫いたことを知らない。まだ、息がある状態で止めを刺そうとしているのだろうと勘違いをしていた。
「貴方にも恨みを晴らす権利がある筈ですよ」
既に死んでいることを理解した上で、ライトはその場で回転を始めた。ケルベロスの死体が遠心力に従い、ぐるぐるとリング上を低空で回り続ける。
速度が徐々に上がっていき、ライトを中心として周囲へ風が吹き荒れる。その際に、ケルベロスの口からの唾液や、毒を含んだ血が周辺に飛び散り、客が悲鳴を上げ逃げ惑っているが、ライトは冷めた目で眺めているだけだ。
その速度が限界に達する直前、ライトは二階席を確認する。大司教のいる場所を脳に叩き込むと、タイミングを合わせてケルベロスの足首を離す。
風を切り裂き轟音を上げケルベロスが金網へ激突する。怪力と遠心力、ケルベロスの重量――それは想像以上の力を生み出し、強靭な金網が突き破られる。
「なあにいいいぃ」
高みの見物と洒落込んでいた大司教の元へ、毒液と血を撒き散らかしながらケルベロスの死体が跳び込んできた。
余裕の表情が一気に崩れ、咄嗟の出来事に反応できずに凍り付いている。このままなら直撃コースだったのだが、ケルベロスの死体は青い半透明な壁に阻まれ、急停止する。
「聖域ですか」
大司教の脇に控えていた聖職者の一人が『聖域』を発動させたらしく、ギリギリで間に合ったようだ。
光る壁に激突したケルベロスの死体は、かなりグロテスクな光景を大司教の前に披露していた。それに加え溢れ出る毒素の量が尋常ではない。
大司教とその一団が観客席から慌てて撤退していくのが、ライトの目の隅に映ると興味を無くしたようで、自分が手にかけたケルベロスに対して黙祷をする。
歓声と悲鳴と怒号が飛び交う中、ライトはリングの上で自分自身へ『治癒』を発動させていた。混乱する会場で人々が右往左往している。闘技場の関係者は必死になって事態の収拾に努めていた。
ライトとしてはこのまま混乱に乗じて帰ってもいいのだが、何か考えがあるらしく、リングに寝そべり、会場が落ち着くのを待っていた。
この状況で軽く仮眠を取っていたライトは、周辺の空気が変わったのを察知し、上半身を起こす。二階席のケルベロスの死体は片づけられ、失神していた客も全て会場からいなくなっている。
大司教一団は会場から撤退したようで、何処にもその姿がなかった。
客の数は半分以下になっているが、中止にはならずまだ続ける気のようだ。
「商魂たくましいですね」
呆れ果てた様子のライトが肩を竦めている。
「ちょいとハプニングもあったが、この程度で延期にするほど、やわじゃないぜ! 偉大なる挑戦者ライトアンロックの第四試合が控えているからな!」
「うおおおおおおおおおっ! ライトおおおおっ!」
「最後も勝ってくれえええっ!」
残った客の一部がこめかみに血管が浮き上がるほどに興奮して、ライトの名を叫んでいる。どうやら、大穴のライトに賭けた面々のようだ。
今までライトの勝利に全て賭けていたのであれば、第一試合で3倍。第二試合で更に7倍に連続でかける場合は掛金が更に2倍。そして、三試合目で30倍になり、またも連続で賭けていれば更に二倍。
つまり3×7×2×30×2で現在元金は2520倍に跳ね上がっている。過度な興奮状態に陥るのも無理はない。第四試合のオッズにもよるが、もしその試合も勝てば得られる金額は想像を絶するものとなる。
「第四試合も勝ち抜くことが出来れば、愛しの可愛い子ちゃんの借金は帳消しだぜ! ここが男の見せ所だ! 個人的にも応援しているぜっ!」
司会の言葉は本心のようで、子供のように目を輝かせライトの活躍を称賛している。
本命に賭けていた客もライトの戦いぶりに魅了され、勝ち負けはもうどうでもよくなっていた。ただ、この男の戦いが見たい。その願望と期待が頭を満たしている。
「では、最後の対戦相手はこいつだ! うちの闘技場、最強の男を叩きのめし、数日前にふらっと現れチャンピオンの座を手に入れた、流離の覆面戦士、ワインマスクだ!」
対戦相手入場口から姿を現したのは、ライトと同程度の身長に見える人物だった。
襟付きの白い上着に、地味な色合いのズボン。ライト程筋肉質ではないようだが、鍛えられた肉体が服の上からでも見て取れる。
頭に被られている覆面がその名を示しているのだろう。赤紫色をベースとし、目元と口元を金色で縁取っている。両頬辺りに炎をイメージした金色の模様が描かれている。
「これが都会のセンスなのでしょうか。田舎者の私には難しいですね」
理解のできないデザインとネーミングなので戸惑っていたが、この場にいる殆どの人が、ライトと同じくセンスが無いと思っている。
ワインマスクは入場口から駆け足でリングを目指していたが、道の半ばで突如、その運動神経を見せつけるかのようにバク転で進み始め、金網に近づくとそのまま大きく跳躍した。
金網を軽く飛び越えリングの真ん中に着地すると、客からの歓声が沸き上がる。
ワインマスクは歓声に応え軽く手を振ると、ますます会場が活気を帯び、興奮が最高潮へ達しようとしていた。
「最強のチャンピオンと最強の挑戦者。てめえら、今日この場に居られたことを感謝しな! 俺は柄にもなく神へ祈りを捧げたい気分だぜ! さあ、オッズの発表といこ――ん、なんだ、ライトアンロック?」
盛り上がりに水を差したのはライトだった。その場に屈みこみ司会者を見据えた状態で、くいくいっと手招きをしている。
「私も発言をしたいのですが」
「お、最強の挑戦者ライトアンロックが、何か言いたいことがあるそうだぜ! あんたもノリノリじゃねえか。ここはいっちょ、盛り上がるような発言を頼むぜ!」
司会者が予備の拡声機能付きの魔道具をライトに投げ渡す、それを受け取ったライトは司会者の指示に従い、手元のボタンらしきものを押し込んだ。
「あー、あー、これで大丈夫でしょうか。いけるようですね。皆さん今晩は。今宵、闘技場に招かれたライトアンロックです」
場違いな丁寧過ぎる挨拶なのだが、テンションが上がり過ぎている客は全く気にせず、応援の声を張り上げている。
「どうも、ありがとうございます。事前の説明でご承知だとは思いますが、私は学友を助ける為にこの場に来ました。一試合目を勝ち抜けば、学友の一人を解放。二試合目でもう一人、さっきの三試合目で私を無事ここから帰還させる。更に、次の試合を勝てば学友の借金帳消しという条件で戦っています」
ライトが懇切丁寧に今の状況を客へ説明始めた。司会者とオーナーは一瞬、ここでこの契約の汚さを披露されるのではないかと血の気が引いたのだが、続けられた発言により安堵の息を吐く。
「これは両者承知の上であり、正式に契約を交わした内容なので私も文句はありません」
そこで一旦、言葉を区切って会場を見回す。
そして、大きく息を吸い込むとライトは満面の笑みを浮かべた。
「ということで、試合をここでやめます。第四試合はする気ないので。皆さんお疲れ様でした」
その発言により会場が静まり返る。
誰もが咄嗟に理解できず、硬直していた。
暫くして客の一部が何とか正気を取り戻し、ざわつきだす状況でハッと我を取り戻した司会者が魔道具を掴み、声を張り上げた。
「な、何を言っているんだぁ!? お前さん、何を言っているのか理解しているのかっ?」
「ええ、もちろん。三回戦まで勝ち抜けば返してくれる契約ですよね」
「そ、それは確かにそうだが。そんなことをすれば、学友の借金は残ったままだぞ」
「ご心配なく。それも手を打っています。そこの女生徒に魔道具を渡してもらえますか?」
いつの間にか司会者の後ろに歩み寄っていた、ウーワ、リーワが並んで立っている。驚きのあまり状況判断がまともにできていない司会者が、言われるがままに二人へ魔道具を手渡した。
「どれぐらい儲かりましたか?」
「え、ええと……1000万が252億になりました……」
常識を外れた桁違いの金額に、二人は考えることを止めたようだ。目は虚ろで頬は小刻みに痙攣を続けている。
「はあああああああああああああっ!? 252億ぅぅぅぅぅ! ど、どういうことだ!」
司会者の隣にいたオーナーが魔道具を奪い取り、気が狂ったかのように声を荒げている。
「いえ、借金まみれのあの人からお金を貸して欲しいと打診されたので、全財産である1000万お貸ししただけですよ。どうやら、偶然、私の勝利に賭けてくれていたようですね。これで借金も返してもらえるでしょうし、良かった良かった」
わざとらしく喜んで見せているが、もちろん、全てライトの思惑通りである。
この世界で100万あれば独り暮らしの人間なら、一年は楽に過ごせる金額。ライトは母から譲り受けた現金の全てを二人に渡し、自分の勝利に賭けるように指示を出していた。
初めから、ライトはこの闘技場の関係者を許す気はなかった。人の命を賭け事の対象にして嘲笑う人々に。
どちらにしろ、勝ち抜かなければ帰れないことは確定している。ならばと、全財産を自分の勝利に賭けた。それだけの話なのだが、この展開にオーナーは呆然自失で、今にも魔道具を取り落としそうなぐらいだ。
ウーワ、リーワには最低限の護衛しか付けずに好きにさせていたのが、そもそもの間違いだった。それに加え、1000万もの金額を賭けたことを誰も止めなかったのも最大の敗因だった。二階席の富裕層が希に同程度の大金をかける場合もあったので、油断していたのだろう。今となっては全て後の祭りだが。
「こ、こんなことが認められ――」
「おや、正式に契約魔法で成立しているはずですが。貴方が命を賭けてまで否定するのであれば止めませんよ」
正直、ライトとしては黒装束の男がオーナーと名乗っていたことに不信感を抱いていた。だが、実際オーナーではなかったとしても、契約は成立しているので三回戦を終えた時点で帰る権利が発生する。なので、どうでもよかっただけだった。
「そういうことなので、すいませんワインマスクさん」
ワインマスクはこの結果に異論はないようで、軽く手を挙げるだけで了承してくれたようだ。
「くそ……はあああっ、いや、負けだ負けだ! 持っていけ252億! 10年分近くの売り上げが全ておじゃんだが、賭け事を取り仕切る者としてのプライドがある! 後日必ず金は持って行く。証人はここにいる全員だ! お前ら、偉大なる挑戦者様のお帰りだ! 盛大な拍手をもって送り出しやがれ!」
額に手を当て、天を仰いでいたオーナーはやけに清々しい表情を見せると、ライトの勝利を認めた。このままでは終わらないと構えていたライトは拍子抜けするが、そのまま揉め事もなく運ぶのであれば、それに越したことは無い。
リーワとウーワを連れ闘技場をライトが去っていく。
流石に今日はこれ以上興行を続ける気はないようで、客を全員帰らせ、職員は後片付けに追われていた。
掃除も終わり人気がなくなった闘技場で、じっとリングを見据えていたオーナーの背後に格闘場で専属契約を結んでいる男達がずらっと並ぶ。
「ようやく来たか」
「オーナーお呼びでしょうか。ご命令通り全員集めましたが」
一際図体の大きい岩のような肌質の男が、一歩前に進み出た。
「ああ。さっきここを出たライトアンロックを殺せ。女の方は生かした状態で連れてこい。散々いたぶった後に娼婦にでも落としてやれ」
「契約の方は大丈夫なのでしょうか」
「心配いらん。闘技場から無事に返すというのが条件だったからな。会場はもう出ただろう?」
そう言い放つオーナーの顔は醜く歪んでいた。
初めからライトを返す気も、金を払う気もなかったのだ。
契約魔法の盲点を突くこと等、彼にとっては当たり前の行為であり、負けることも初めから考慮していた。
「やっぱ、そういうことかい」
「誰だっ!?」
不意に聞こえてきた声にオーナーが反応して、周囲を見回す。
彼ら以外居ない筈の空間に響いてきた声は、力強さを感じさせる女性の声だった。
「ここだよ」
声と同時にリングが光で照らし出される。光の中に浮かび上がったのは、紫色の覆面を被った――ワインマスクその人。
「おお、脅かすんじゃねえよ。あんたも襲撃に参加してくれるのか? 金は弾むぜ?」
「そんなものはいらないね。ところであんた、あのライトアンロックが最近弟子入りをしたのを知っているかい?」
「弟子入り? そういや、そんな情報を何処かで……確か……」
思い出そうと頭を捻っているオーナーに一人の男が歩みより耳打ちをしている。
「んー……はああっ!? あの、狂犬猛女、ギルドマスターの弟子だと! てめえ、何でそれを先に言わなかった! 厄介だな。あの女が絡んでくるとなると、迂闊に手を出すわけにもいかんが、かといって245億もの金を差し出すわけにも」
オーナーの隠し財産も含めば252億用意することは不可能ではない。だが、それは闘技場も手放した場合の話だ。実行すれば闘技場の運営どころか破産が待っているだけだ。
「そんな心配は無用だよ。なんせ、あんたらはここで壊滅するのだからね」
ワインマスクの一言に全員の視線が集中する――が、リング上にその姿は無かった。
「何処に行った!」
オーナーの問いに答える代りに流れてきたのは、
「ぎゃああっ!」
「ぐはっ!」
「くそ、何処だっ、ぐああああっ!」
鈍い打撃音と悲鳴だった。
30近くいた格闘家が次々と地面に倒れ伏し、あっという間にオーナーの周りには誰もいなくなる。
「ど、どういうことだ! ワインマスク何を考えてやがる! 金か、金が目当てなら幾らでもくれてやる!」
「やれやれ、察しの悪い男だね。これを見ても、同じセリフが吐けるかい?」
覆面を取り払ったワインマスクの素顔を見て硬直するオーナーの腹に、拳をめり込ます。その一撃で気絶したオーナーを肩に担ぎ、元ワインマスクは闘技場を後にした。
数日後、墓場内にあるライトの家の前に巨大な袋が幾つも置かれていて、その中には色とりどりの宝石や、金貨が詰め込まれていた。村では自給自足が当たり前の生活だったので、金の価値が今一つ理解できないライトだったが、これだけの大金を家に置くのは危険なことぐらいはわかったようだ。
金額を確かめることなく、母から譲り受けた収納袋に全て放り込むと、考えることを放棄した。
更に数日が過ぎると、闘技場が取り潰されたという噂を耳にしたライトだったが、過ぎたことだと特に気にすることもなかった。
元々違法な行為を繰り返していた闘技場だったので、冒険者ギルドの視察が入りオーナー共々粛清されたのだろうと、まことしやかに囁かれるようになる。
噂が真であるか、それとも虚言なのか……その真相を知るのはワインマスクのみであった。




