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物理特化の回復職  作者: 昼熊
入園編
15/42

ギルドマスター

「ギルドマスター! 大変ですっ! とんでもない値を出した者がっ!」


 能力検査を担当している職員が、ギルドの二階に駆け上がると、通路の一番奥にある部屋の扉を開け放った。


「おいおい、レディーの部屋にノックもしないで入るなんて、失礼だろ」


 窓際の古ぼけた椅子に腰かけ、長い足を机の上に放り出していた女性が、訪問者を睨みつける。


「し、失礼しました! ですが、急用でして!」


「くそ真面目だけが取り柄の、お前さんがそこまで焦るなんてねぇ」


 右手に握りしめていたコルクの抜けたワインを、そのままラッパ飲みすると「ぷはぁー」豪快に酒気を帯びた息を吐く。

 茶褐色の長い髪を細い鎖で束ね、シャツと紺色のズボンという男物の服を着込んだ女性。見たところ二十代後半とも三十代とも取れる容貌は、凄味があった。

 目鼻立ちも整っているので美人であるのは確かなのだが、目つきが鋭く、口元がにやけている様は、美女というよりは男前と表現したくなる。


「まずは、これをご覧ください」


 男が差し出したのは一枚のギルドカードだった。

 それはライトの能力が記載されているカードなのだが、これはライトに手渡したカードではない。あの装置でギルドカードを制作する際には必ず予備として、もう一枚カードを複製することになっている。

 そうしておくことにより、冒険者ギルドの新入りの能力を把握する目的があった。

 危険なスキルやギフト所有者を見つけ出す為でもあるのだが、類い稀なる才能を持った冒険者を国が抱え込む為というのが本当のところである。


「んー、新入りかい。ったく、才能があったとしても、放っておけと言っているだろ。上の連中はやれ英雄候補だの、騎士団に勧誘しろだのうるさいからな。未来ある若者の人生を、大人の都合で決めるんじゃないよっ」


 飲み干したワインを机に置くと、大きくゲップを一つ放つ。

 男性職員が顔をしかめているが、ギルドマスターは大きく欠伸をするだけで相手にしていない。


「ですが、ギルドマスター。これは規格外すぎます! 取り敢えず、見てください!」


 職員が机に身を乗り出し、カードを突きつける。ギルドマスターは口元を嫌そうに歪めながら、渋々カードを受け取る。


「あー、名前はーライトアンロック。15歳か、若いねぇ。職業は助祭で、おー段階も20で年の割には馬鹿みたいに高いじゃないか。んん、この歳ってことは学園の生徒か。学園に来る前にかなり鍛えられていたようだね。でも、そんなに驚くことじゃないだろ。冒険者の両親と共に戦いを経験していて段階が初っ端から高かった事例は今までもあったしな。んー、この出身地は――」


「そこじゃありません! 問題はステータスです!」


「急かすなよ。ったく、ギフトとスキルもまだ見てないのによぉ。んじゃ、取り敢えず先にステータスを……」


 昼間っから摂取していたアルコールでほろ酔い気分だったギルドマスターは、鼻歌交じりにカードを操作し、ステータスに目を通した。

 何度か瞼を瞬かせ、ご機嫌だった表情がすっと消える。酔いが一気に覚め、強敵を見据えるような鋭い視線がカードを射抜いている。


「誤作動や間違いじゃないのか」


「はい。ライトアンロックにカードを渡してから、いつものように複製しましたが、記載内容が一致しています」


 ギルドマスターは背もたれに体重を預けると、天井を仰ぎ見る。

 男性職員は思考の邪魔をしないよう、静かに判断を待つ。


「これは異様って言葉がしっくりくるな。今までオールAに近いステータスは見たことがあったが」


「確か、若き英雄との呼び声も高い、剣士エクスでしたか」


「ああ、そうだ。性格はあれだが才能の塊だったアイツですらSが一つもなかった。今までSに達していたのは、ミミカとロジックぐらいだな」


 後に三英雄と呼ばれる三人と初めて会った時の事を、ギルドマスターは今も鮮明に覚えている。


 エクスは自分の才能に自惚れた生意気なガキ。

 ミミカは大人しく穏やかに見えるが、何もかも見透かしたような瞳が印象的だった。

 ロジックは生真面目という言葉が良く似合う、ギルドマスターとは正反対な性格。


 三者三様で個性も特徴も異なるというのに、その三人に秘められた才能の片鱗をギルドマスターは勘づいていた。


「三英雄と呼ばれ始めている三人ですか。私も彼らと接したことがあるのですが、何と言うか独特でしたね」


「揃いも揃ってキャラが濃いからな。だがな、Sを超える力か。それも筋力ときたもんだ。これは、直接試してみるしかねえか」


 ギルドマスターは獲物を前にした肉食系の獣の様に獰猛な笑みを浮かべ、舌なめずりをする。いつもの気だるげな雰囲気とは違う、やる気満々な態度に職員は冷汗を流し、頭を抱えた。





 ライトは検査部屋で暫く待っていると、見たこともない女性職員が入室してきた。

 大袈裟なぐらいに頭を何度も下げて平謝りする女職員が、


「最後の実技試験がありますので、こちらまでお願いします」


 と案内を申し出てきたので、断る理由もなかったライトは後ろに並び、歩調を合わせてついていく。

 一旦ロビーに戻り、検査室とは真逆の位置にある壁際の扉を抜け、中庭を抜けると木造の小部屋があった。

 職員が扉を開け中に入るように促し、ライトは大人しく従う。

 室内の床には青白く光る魔法陣が描かれている。


「これは、転移系の魔法陣ですか?」


「はい、そうです。この先は鍛錬場に繋がっています。そこで戦闘に関する実力を調べますので。それでは起動しますね」


 魔法陣の中心に立つライトの体が、足元から伸びてきた光に呑みこまれ、その場から姿を消した。

 光が消えた視界に広がるのは、赤銅色の地肌がむき出しの荒野だった。

 周りを切り立った崖に囲まれ、足元は凹凸の少ない地表が見える。確かに鍛錬するには向いている場所だとライトは納得している。


「おう、お前さんがライトアンロックか。いい面構えしているじゃねえか」


 ライトは目の前に立つ女性を見つめ、自然に目が細まった。

 さっきまでその場には誰もいなかったにもかかわらず、今、こうして自分に声を掛けてきた。腕を組み男物の衣類を着込んではいるが、顔つき膨らんだ胸元から女性であることがわかる。


「実技の試験官は貴方なのでしょうか」


「まあ、そんな感じだ。一応、ギルドのトップもやらせてもらっているがな」


 予想外の人物の登場に驚きはあったのだが、ただそこにいるだけで肌のひりつく感覚にライトは得心がいったようだ。


「ギルドマスターが自ら私の様な者の相手を?」


「気になった相手だけだがな。それに、お前さん、色々隠していることがあるだろ」


 やはり、自分の能力は相手に筒抜けなのか。ライトは笑みを絶やさず首を傾げて、一応とぼけてみた。


「はて、何の事でしょうか。私はごく一般的な助祭見習いですが」


「お前さんが一般的な助祭見習いなら、イナドナミカイ教団は世界最強の軍隊を名乗っていいぞ」


「ははは、冗談がお上手で」


「愛想笑いにしても、もう少しうまく笑顔を作るべきだな」


 ライトの笑顔はパッと見た感じでは、如何にも聖職者といった模範的な穏やかに見える笑みなのだが、ギルドマスターには笑顔の仮面を貼りつけている様にしか見えなかった。


「まあ、作り笑い云々うんぬんはどうでもいいんだよ。ちょいと、お前さん――ライトアンロック。実力を見せてもらおうか」


「ギルドカードを頂かないといけませんので……お望みとあらば」


 指を鳴らしながら歩み寄るギルドマスターを観察しながら、ライトは背負い袋から二本のメイスを取り出し、両手に一本ずつ握りしめる。


「その袋、収納袋かい?」


「ええ、そうです。昔冒険者をしていた母が大枚をはたいて購入した物だそうです。母が餞別に持たしてくれまして」


 収納袋とは魔道具の一種で、袋の中身が亜空間へと繋がっている袋を指す。

 袋の内部が魔法で創造された空間へと繋がっており、本来の袋の許容量を遥かに越えたアイテムを収納できるので、冒険者や商人に必須の魔道具である。

 更に、その空間では時が止まっているので物が劣化せず、食品も腐ることが無い。


「へえ、収納袋を購入できるって事は、中々優秀な冒険者だったようだね。お前さんの母親は」


「もう少しでAランクだったと、いつも自慢していましたよ」


「ほうほう。そんな母に育てられたから、この段階か。おまけに、怪力のギフトを所有。んでもって、スキルは八つもあるってか。ライトアンロック、あんた何者だい?」


「ですから、か弱いただの助祭見習いですよ」


「か弱い……ね。ふっ」


 先端に巨大な鉄塊が付いた、両手持ちのメイスを片手に一本ずつ軽々持つライトを眺め、ギルドマスターは鼻で笑う。『怪力』のギフト所持者は何人か見てきた。確かに人を超えた力を発揮できるギフトではあるが、筋力のステータスが飛びぬけているライトに『怪力』が加算されるとなると――口元がにやけてしまう。

 現役の冒険者ではないが、今も鍛錬を欠かしたことは無い。天をも切り裂く剛腕と呼ばれた腕は衰えてはいない。強敵を目にした時の感覚。血が滾り、全身が火照る。


(いいねぇ。この感じ久しぶりだよ)


「んじゃ、ライトアンロック。試験を開始するよ! 一応言っておくが、手を抜くんじゃないよ。本気で来なければ、冒険者として認めないから。そのつもりで来な!」


 無手で構えすらとらずに進むギルドマスター。ただ歩いているだけだというのに、ライトは内に秘められた力の存在に体がすくみそうになる。

 強い、なんてレベルじゃない。ブラッドマウスが可愛く思える力の差。スキルの『第六感』がけたたましく警鐘を鳴らし続けている。


「負けて当たり前の戦いですか。ならば、胸を借りて正々堂々と――」


 ライトは万歳をするように両手のメイスを掲げ、そのままの格好でギルドマスターへ駆けていく。


「玉砕覚悟かい」


 構えというにはあまりにも不格好で、お粗末な特攻にライトへの評価が下がる。

 だが、学園の新入生だということを思い出し、15歳の若者に駆け引きを求めるのは高望みしすぎかと、小さく息を吐いた。

 そんなギルドマスターの視線が床に向けられたのを確認したライトは、


「『上半身強化』『下半身強化』」


 強化魔法を発動させ、まだ距離があるというのに両腕を振り下ろし、柄を握りしめていた手を広げる。

 ライトの生まれ持った馬鹿げた力に加え、補助魔法による相乗効果。その腕から放たれた二本のメイスは凶悪すぎる威力を秘めていた。

 轟音を上げ迫りくるメイスをギルドマスターは見据える。


「攻城兵器に匹敵しそうだなっ!」


 投擲されたメイスが両肩を破壊するコースを突き進む。そこで、ギルドマスターはすっと両手を上げる。

 風を巻き込み猛進するメイスの先端に下からそっと手を添えると、メイスの軌道が跳ね上がり、肩をかすめるがそのまま後方へ飛び去っていく。

 ギルドマスターの後方で砂煙と爆音が響く。二本のメイスが岩壁にすり鉢状のクレーターを創造しているが、それを確認する暇はギルドマスターにはなかった。

 即死級の威力を秘めたメイスが次々と投擲されているからだ。


「おいおい、何本、持ってんだっ」


 力ではなく技で力を逸らし、馬鹿げた威力を内包するメイスを受け流していく。

 ギルドマスターの周辺にメイスが激突し、粉塵が舞い上がり、辺りが砂煙に包まれる。

 視界を遮られているが、そんなことは意にもせず、ギルドマスターは全てのメイスを回避し、捌く。

 ライトは失敗作や不良品だという事で安く売りたたかれていたメイスを、予備と投擲用の武器として買い漁っていた。収納袋にそれを放り込んでこうして有効活用しているのだが、そろそろ貯蔵が尽きそうだ。


「やはり、一筋縄ではいきませんよね」


 格闘家として有名なギルドマスターにライトは端から接近戦を挑む気はなかった。

 自分の一撃は格上の相手に通用する自信はある。だが、相手に当てられる気がしない。戦場で磨き上げられた技に、自分のような若造の腕が届くわけがない。

 接近戦を挑めば、全てを躱された挙句に一撃で沈められる。そんな未来が容易に想像できる。


「っと、そろそろ弾が尽きたか。邪魔だなこの砂埃」


 服に纏わりつく砂を鬱陶しそうに手で払うと、何もない空間をギルドマスターは蹴り上げる。その瞬間、天に向かい風が吹き荒れ、砂埃を上空へと吹き飛ばした。


「天を切り裂くというのは、誇大広告ではないようですね」


「お前さんは、ちと力に頼り過ぎのようだな。もう、他に手は無いのかい? ないなら、次はこっちの出番かね」


 ズボンのポケットに片手を突っ込み、もう片方の手で頭を豪快に掻いている。一見、隙だらけに見えるのだが、相手の実力を見せつけられ後で跳び込む程、ライトは無謀ではない。

 次の一手をどうすべきか。考えを巡らそうとした、その時、ギルドマスターの姿が掻き消える。


「なっ」


 一瞬たりとも視線を外さなかった、だというのにギルドマスターの姿は何処にもない。

 全神経を周囲の音と気配を探る為に集中させる。

 左側面から微かに音が聞こえたと脳が判断するよりも前に、ライトは側頭部を守る為に腕を上げた。

 理屈ではなく、ライトの本能が防御する様に命じ、それに従った行動が功を奏す。

 ライトの左腕に伝わる衝撃、何かが粉砕された感覚、そして浮遊感。それが何かを理解した時には既に、ライトの体は地面すれすれを滑空していた。


「一撃で左腕を粉砕ですかっ」


 自分がさっきまでいた場所に右拳を突き出した格好のギルドマスターがいる。

 体の頑丈さには自信があったのですが、骨は粉砕、筋肉は断絶、これは使い物になりませんね。ライトは吹き飛ばされながらも、心には結構余裕があった。

地面に墜落する寸前にどうにか受け身を取り、転がっている最中に状況判断をしていた。


「ほう、痛がっている素振りが全くないね。痛覚麻痺ってのは格闘家としては、ちょいと羨ましいところだ」


 回転の勢いが止まり、膝を突いた状態のライトの耳元で声がする。

 確認するまでもないと、ライトは声の方向へ無事な方の腕を伸ばし突きを放つが、感触が皆無だ。

 一度腕を引き、立ち上がると同時に対象へ体を向ける。気配を近くに感じていたのだが、ギルドマスターは手の届く範囲には居らず、少し離れた場所から腕を組んだ状態で、ライトを観察していた。


(痛覚がないからこそ、あの馬鹿げた力を振るうことに躊躇いが無いのか。如何に体が頑丈とはいえ、あの力に強化魔法を足した状態で全力攻撃を放てば、骨は軋み、筋繊維や血管、神経が千切れ、痛みの余りに気を失ってもおかしくない)


 今の突きも、空振りした余波で自分の腕が引き裂かれるような激痛が走る筈だ……痛覚があるならば。そう、結論を出し、ライトの規格外さに内心舌を巻く。


「お前さんは自分の力を制御できていないね。折角の力を生かしきれていない。そんなことじゃ、いつか大切なモノを失うことになるよ」


 ギルドマスターはいつものように、自分の実力を慢心している若者を諭すようにライトへ語り掛けた。出過ぎた杭を打ち、正しい道へと誘導するのは強者として、先輩としての務めだと考えていた。

 故にその言葉がライトにとってどういう意味を成すのか、考えが及ばなかった。

 ライトの素性を詳しく知らないギルドマスターにとっては、いつもの説教だったのだが。


「大切な……ものを失うですか……」


「ああそうだ。強すぎる力というのは薬にも毒にもなる。それを使いこなす力が無ければ、それはただの暴力だ」


「暴力……そうですね、確かに……」


 淡々と感情を込めずに呟くライト。視線は地面を捉え、俯いた状態のライトの目は前髪に隠れ、ギルドマスターから窺うことができない。

 満身創痍であるはずのライトから漂う気に、全身が総毛立つ。

 何だ……雰囲気ががらっと変わったぞ。


「ライト、お前さんまだ何か隠していないかい? ステータスやスキル、ギフト、それは理解できたが、それ以上の何か――」


「あったとして、どうなのですか?」


 ライトの冷たく放つ言葉にギルドマスターの背筋に冷たいモノが走った。

 幾つもの戦場を渡り歩き、凶悪な魔物とも戦ってきた。命の危機など何度経験したか覚えてもいない。そんな自分が、ただの言葉に恐怖を覚える。その事に衝撃を受けていた。

 これ以上は踏み込むべきじゃないと本能が叫んでいるのだが、それをギルドマスターは押し殺し、更に一歩前に出る。


「ライト、あんたの出身地。北部のルイクアマから更に北へ進んだ、霊峰レジスの麓にある村で間違いないかい?」


「ええ、そうですが、何か」


 相変わらず声が冷たい。話し方は丁寧なままだが、声に起伏が無い。


「最近、北方の村が一つ壊滅したという話を小耳に挟んでね。それって……お前さんの故郷じゃないのかい」


「…………」


「その沈黙が答えかい。酷い惨状だったらしいじゃないか。民家は破壊され、村人は体の一部が破損していたり、原形を留めていない無残な死体も多かったらしいね。巨大な魔物が暴れたという説もあるが……」


「それが何なのです」


 おいおい、これがマジで15歳のガキが放つ殺気か……。ちょいと煽り過ぎたかね。背中が冷汗で濡れているのにギルドマスターは気づく。だが、だからこそ引けない。自分を怯えさせる殺気と凄味を兼ね備えた存在を野放しにはできない。

 もし、ライトがあの村の惨劇に関わっているのであれば、放っておくわけにはいかない。冒険者ギルドは国中の住民からの依頼で成り立つ組織だ。人々の安寧を守り、脅威を除く。その為にはライトがどのような能力を有しているか調べ、村での惨劇の主犯である可能性が1%でもあるのなら、とことんまで追求しなければならない。

 そして、危険人物と判断した場合、始末をする。それに最も適した人物がギルドマスターである自分だ。


「ライト……村人を殺害したのはあんたじゃないのかい?」


 その言葉に反応して、ライトの肩が縦に揺れたのをギルドマスターは見逃さなかった。

 更に追求するのではなく、ギルドマスターはライトの言葉を待っている。

 沈黙がこの場を支配し、聞こえるのは風の吹き抜ける音のみ。

 どれだけの時間そうしていただろうか。辛抱強く待ち続けていたギルドマスターの耳に、ライトの小さく呟く声が届いた。


「ええ、そうです。村人を殺したのは……私です」


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