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ドライブトリップ  作者: 飛鷹
7/9

あなたの名前、聞いていい?

その後は、辺境騎士団の騎士数人の馬に案内され、無言で「ゴーレム」と間違われた愛車の前に連れてこられた。


行くなら行くで、手っ取り早く魔方陣で移動させてくれと思った私は悪くないと思う。

しかし、現実では『出来るか』とアッシュに即答された。

移動用の魔方陣は予め設置している場所か、さっきみたいに魔道具で設置発動させなければ移動など出来ないらしい。

しかも、発動させるには結構な魔力を食うらしく、即答での却下になったらしい。


けど、スマホで魔方陣設置して、アッシュを呼び出しちゃったわよね、私。魔力もないのに。…

それについても解答は後回しといわれ、ここに来たときと同じ馬での移動となった。

来た時は、四巡隊での大移動だったけど、帰りは私を囲む五人とこの砦の一巡隊での送りだった。

ただし、私は騎士団長の馬から五人の男性のうちの一人、紅い髪、蒼氷の瞳の青年が乗せてくれた。

ほかの四人もどこから調達したのか、馬に乗っていた。

本当に無罪放免になった。


行きと比較して帰りの道中は、紅い髪の青年が凄く丁寧に馬を走らせてくれたのでとても助かった。

けど、初心者に長時間の乗馬は凄く高いハードルです。

よそ事考えてる余裕なし!

という事で、行きの時と同じ状況で馬に乗ってしゃべると舌噛むから聞く余裕など皆無だったよ。


で、私を馬に乗せている紅い髪の青年…めっちゃ見覚えがあるんだよねー、2D画面のキャラクターだったけど。

「どうしました、マスター?何か気になることでも?」

お、最初の罵倒以外、初めて喋ったー!

私を馬から下ろそうと、手を差し出しながら、その紅い髪の青年が尋ねてきた。


数年前にサービス終わったゲームだけど、心底ほれ込んで育成にかなり情熱注ぎ込んで作った魔法剣士だったんだよねー。

3Dで動いたらこんな感じかなって、めっちゃどんぴしゃの青年が目の前にいる、しかも声付きで。

うん、自分の中でイメージしてたキャラクターの声と凄く合っていてぞくぞくする。

一見すると冷たい印象を持たせる魔法剣士。

けれどもその心の奥底では熱い何かを抱えていて…とか勝手にイメージを持って動かしていたキャラクター。

名前言ってもいいかな、違ってるかなあ…。


「うん、いろいろと気になってます。…あなたの名前、聞いていい?」

私は馬上から尋ねた。…簡単には馬から下りれません。馬なんて乗ったことないし。

「覚えていませんか、私の名を。マスター?」

見つめてくる蒼氷の瞳。その瞳の輝きはとても冷たく見えるものだけど、でも、今私に向けられているその瞳に浮かんでいるものはとても優しい。

そう、多分彼はあの「彼」で間違いない。

「ううん。この名前かなと思う候補はあるんだけど…。間違っていたらごめんなさい。貴方はひょっとしてリオン?」

紅い髪・蒼氷の瞳の特徴ある青年に思い切って私は尋ねてみた。

そして、返ってきた言葉は…


「そうですよ、マスター。リオンです。覚えていて下さったんですね」

「うわーーー!リオン!リオン!リオン!」

私は、リオンが伸ばした手をがしっと握ると、その胸に飛び込んだ。

アッシュが出てきた時点で、まさかとは思ってたけど、私が愛したリオンがこの世界で、触れる人間として存在するなんて!

めっちゃ嬉しいー!

なんでこうなってることとかまったく理由が判らないけど、リオンに会えた事は本当に嬉しい。


「ゲームがサービス停止になって、貴方に会えなくなってめっちゃ寂しかったのよー!ゲームサービス終了日の魚拓スクリーンショットを今でも大切に持っていて、スマホのフォルダーにも転送して保存してたのよ」

「…ゲームですか…。なんだか、私も貴方にいろいろと聞きたいことがありますが、今は喜んで戴けてるので由としましょう」

リオンは、ほんの少し苦笑を浮かべながら、私を地面に降ろしてくれた。




さて、ちょっとここで回想。

私がアッシュの名前を喚んだ瞬間の事。

記憶がまだ鮮明なうちに、思い起こしておかねば。



そう、スマホが光を放ち、その部屋の天井に魔方陣というのだろうか、幾何学模様のサークルをいくつも描き始めた。その数は十数個。

魔方陣がぐるぐると文字を吐き出しながら、人を形作っていった。

部屋の中に数人の騎士さん達が雪崩れ込んできたけれども、発動した魔方陣に成す術もなくあっけにとられて眺めていた。

無論、騎士団長さんも同じだ。

発動抑制の魔法陣がなぜ破られているという呆然とした表情だった。


そして、魔法陣が消える頃には…そこにはゆったりとした長い青い長衣を纏った背もすらりと高い黒髪の青年が立っていた。

それがアッシュだった。

アッシュは私を視認して、…なんというか安堵と嬉々の混じった表情を浮かべた。

言葉にするなら、『ああ、やはり貴方だ…間違いなく…』といった感情を思わせる笑みだった。

そんな感情を私に抱かれる理由が判らず、私はきょとんとしていた。

プレイしていたゲームキャラクターに似ていて、名前も一緒だとしても、こうして生きて動く異世界の人間に知り合いはいない。

だから、なぜ、そのような笑みを浮かべさせてしまうのだろうかと不思議だった。


そして、アッシュは一瞬の後にその表情を消して、周囲の状況を一瞥すると懐から何かを取り出し、それを床に放り投げた。

それを見て、騎士団長さんが「待て!」と叫んでいた。

騎士団長さんはそれが何か判っているようだった。

阻止しようと動いたけれども、その何かは既に床に転がり、そこからも大きな魔法陣が浮かび上がらせた。


騎士団長さんは信じられないと驚愕していた。

魔法発動しないって言ってたけど、がんがん発動してたしね。


…そういえばアッシュのいたカードゲームの世界では魔法って存在してなかったような。

スキルなら存在してたけど。

対するリオンが私のプレイしていたリオンでよいなら、リオンは確かにがんがん魔法使える存在だったけどなあ。

となると、微妙に私のプレイしていたゲームキャラクター達とは違うのかな。

あとで、質問する項目に追加しておこう。



さて、そんなアッシュが、床に何かを放り投げて魔法を発動させた。

めっちゃ驚いたわよ。

それに二番目の魔法陣はアッシュが現れた魔方陣よりも巨大だった。

魔法陣が四つに分散して、そして四つの固体を形作ろうとしてた。

何が起こるんだろうって感じで、全く予測がつかなかった。

四つって事は、ひょっとして後四人が現れるって事と思いながら、私はわくわくどきどきしてた。

そして、少し離れた所にいる騎士様達は、もう言葉を発することも出来ずに呆然と眺めているだけだった。

それでいいのか騎士と思ったわよー。

騎士っていうのは、もう少し沈着冷静で、臨機応変に動かなくちゃいけないもんじゃないかなと思ってたから。

まあ、想定外のことが起こった際には、頭の中が真っ白になって動けなくなるといういい見本なのかもしれないと、私は騎士様たちを眺めた。


そして、四つの魔法陣が静かに消えると、そこには確かに四人の男性達が立っていた。


うん、アッシュを見た瞬間にまさかと思ってたけどね。まさか、本当になるとは…

アッシュを始めとして、全員がここ数年私がプレイしてきたゲームのキャラクターにめっちゃ似てると内心で焦っていたのは内緒。



ま、まず一人目。

黒い髪、紫の瞳、アッシュよりも頭半分背が高い、ガタイもいい武の人。

アッシュと同じカードゲームにいた傭兵将軍。

剣技、部隊統率力、指揮能力の高さなどを見込んで、流れの傭兵だったところをスカウトして、自分の領地の将軍として軍の頂点として働かせた。

うん、個で戦っても集団で戦っても強くて「ケイン将軍」と心の中で読んでいた。

「まったく世話が焼ける。」「お前の勝手な常識が、世間一般…いやこの世界の常識だと思うな」といったのは、この人ね。

カードゲームの世界でも、なんと言うか…呆れてため息ついてるような人だったような…

いいけどね。


二人目

紅い髪、蒼氷色の瞳、ケインと同じぐらい背高い。

ただし、均整の取れた細身。

火術を操る魔法剣士…リオン。

その火の魔法に関しては最高レベルで扱う事が出来、愛用の剣には炎を纏わせて戦う事が出来る。

アッシュやケインのいたカードゲームとは違うMMORPGのキャラクター。

私の中では、一番心血注いで作り上げたキャラクター。

廃課金が出来ない結構珍しいゲームだったので、ゆるりと楽しめた。

ゲーム中でいろんなプレイヤーを交えたイベントでは、リオンを動かして何度か優勝した事があり、運営会社からレアアイテムを頂戴したこともある。

でも、運営会社が止めちゃったので、最後の魚拓を取って別れを惜しんでた。

「マスター、これからいろいろとこの世界について学んでください。いい年過ぎているので、覚えるのはなかなか大変でしょうけど、きっちり学んで頂きますからね」

といったのが、リオン。結構言う事きつい。。。


三番目、現れたのは。

銀色のくりくりの髪、蒼い瞳の線の細い男性。職業は回復系のプリースト。

名前はロイター。

防御・治癒魔法は最高LVに達したけれど…その某ゲームの中では失敗して極・回復特化型だった。

途中で運営がプリーストも魔法攻撃できるハイブリッド型とかいうのも作り出してくれて、完全に極振りにしてた私のそのプリは…変更できなくて、お情けのように唯一もらえた光最高魔法でLVをあげるしかなかったという状況だった。

そのゲームの中では、多種の中威力攻撃魔法を駆使して戦うプリーストじゃないとあんまり役に立てなかったのよね。

おかげでもっぱらソロだったわよ、泣きたい黒歴史のひとつよ。

そして、今では、その運営会社もそのゲームを辞めてしまいサービス終了になっていた。

「こういう不測の事態には、まず相手から情報をもらうのがセオリーというものです。無論、こちらも情報提供は必要ですが。情けない…」

と断じてくれたのがこのロイターだった。

そうだよね、情報を集めなかったから、君は極・回復特化型になったんだもんね。…

申し訳ない…


ちょっと長くなったので、アッシュを含め、残り一人の紹介はまた次のファイルで。

そして、夜投稿して、朝起きて読み返したら文章ひどかった。。。

一部修正かけてますorz

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