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ドライブトリップ  作者: 飛鷹
3/9

この世界ってゴーレムいるの?

「…異世界の人間だと? そんな馬鹿な話が…」

「でも車を見たことってないんですよね?」

「…『車』とやらではなくて、…ゴーレムではないのか?」

「は?ゴーレム?」

 異世界から来ました発言を聞いたショックから立ち直った美丈夫さんは、私の愛車をゴーレムじゃないかとのたまった。


 ゴーレムって、あれですよね。土とか金属で作られていて、魔力で動かしたり動いたりする人形の。

私がやってたゲームでは、ゴーレム自体が存在してないというか、魔法使いがゴーレムを使役出来るという設定がなかったので良く判らないんですが、この世界の人にはそう見えているの?


 …あれ?ちょっと待って? ゴーレムって事は、この世界には魔法が存在しているの?


「すみません、この世界って魔法があるんですか?」

「何を突然判りきったことを」

 ほうほう。この世界は魔法ありですか。

魔法使えない世界に住んでた人間でも使えるのかなあ、使えたらいいなあ。

ゲームで培った知識を生かしたいなあ。


 なんだかちょっとわくわくしてきた。

異世界トリップ、小説ではたくさん見てきたけど、まさか私がするなんて。

知ってる人がいないとか、この世界の常識を知らないとか先々の諸々な不安に思う事は置いといて、今は魔法がリアルに使えるかもしれないという期待に胸を膨らませよう。

うん、そうしよう。

使えるか使えないかは、まず魔力があるかどうかだよねえ。

私って魔力あるのかしら。そして、それってどうやったら判るのかしら。

…ま、まず、知る為にも今の状況をどうにかしないとね。

何せ、私は今、不審人物ですから。

車の事とか不審人物(=私)の事とか放り出した状態で騎士団長さんが魔法の事を教えてくれる筈がない。

常識的に考えて、私の世界のおまわりさんも怪しい人をそんなに簡単に開放はしないだろうし…

となると、この騎士団長さんが疑問に思ってる事、私に対する不審をさっさと取っ払って魔法の事を聞ける状態にしなければ。

それをしないと、この部屋からも出してもらえないだろうし。

まあ、この部屋にいる限りは食の心配をしなくても良さそうなんで、ある意味助かるといえば助かるのかもしれないけど。

あ、いかん、先々の不安は置いといてといいながら、また置いとこうとした思考に耽りそうになった。

ごめんなさい、私は明日出来る事は今日しない主義なんです。


 私は、こほんと咳を一つして、姿勢を正した。そして、真面目に話をしようという姿勢を見せる為に、相手の目を見つめた。


「すみません、このままだと話が進まないので、騎士団長さんが疑問に思う事に先にお答えします。」

「最初からそうしろ」

 騎士団長さんはこちらを睨みながら応じた。





「じゃあ、まず車についてですね。先ほども言いましたが、私のいた世界では普通にありふれた乗り物なんです。作り方は、専門の会社が作っているので、申し訳ないですが私には判りません。ちなみに魔法では動きません。石油という地中に埋まっている油を精製したガソリンというものを使用して動いてます。」

 …理系の人間じゃないからこんな説明しか出来ないわ~、あはは。

騎士団長さんは、無言で私の言葉を吟味している。多分、私の車を思い返しているんだろう。

一度乗せてあげればよかったかな。

けど、私の車って、オフロード車じゃないから、舗装してない道を走るのは出来れば遠慮したいのよね。

車ががくがくと跳ねてその振動で頭打ちそうだから。

そんな事を思いながら、私は言葉を足した。


「私の世界でも昔は馬車とか馬とかそのまま乗ってたみたいですけど、今はあの車が主流です。魔法とか存在しない世界なので、物質文明が発達したんですね」

「う~む…」

 騎士団長さんは、黙り込んだ。

顎に手を当てて、首を少し傾げて、何かを考え込んでいる。

さて、何を考え込んでいるのかしら。

騎士団長さんは、暫くの沈黙の後に口を開いた。


「異世界か…。貴様が異世界人だと仮定して、あの車は本当に魔力動いてるわけではないのか? 微弱だが、あの車から魔力を感じたぞ」

「は?」

 今度は、私が目が点になった。

車から魔力を感じたってどういうこと?

あの車は、純正TOY○TAだと思うんだけど…。


 騎士団長さんの言葉に、今度は私が考え込んでしまった。

だって、あの車、普通の車だもん、オンロード仕様のスポーツタイプの普通車。

普通に乗れて、変な事って全くなかった。

けど、魔法世界に住んでる人が、魔力を感じたって事は多分本当なんだろうな。

嘘ついても意味ないだろうし。

微弱って事は、あの車のどこかに弱い魔力を発する物質…もしくは物体が張り付いていたって事かな。

うん、その可能性の方が強いかな。

いや、でもちょっと待って!

物体が張り付いていたと仮定するとしたら、私の車に魔力を持ったもの…つまり魔物が張り付いていたって事!?

え、なにそれ!?

いやああああ、私の車が穢れる!!!

もしくはのっとられる!?

置いてきた…置いてきたわよ、私の車!

やだ!やっと二年ローンが終わったばかりなのよ。どうしてくれるの、私の愛車!

勘弁して!


…車はあくまでも布石でしかないのに、中々話が進まない。

そして、書きたい場面に中々たどりつかない。泣きたい。。。

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