表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドライブトリップ  作者: 飛鷹
2/9

カーナビもスマホも機能しない

 私の名前はさかき 由宇ゆう。二十代も後半の某企業の庶務課勤務。

その日は休日で海沿いの町を愛車でドライブしていたのだ。


 実は私はネットゲーム好き。

VRとかはまだまだ夢の世界なので、MMORPGやブラウザシミュレーションゲームなど、いろいろやってた。

 一つのゲームに集中する時期もあったけど、1~2年すると他のゲームに興味が移ったりしたものだから、『変態』と呼ばれるほどの頂点にはとてもじゃないけど達してなかった。

 あ、ゲーム世界での『変態』っていうのはどっちかというと褒め言葉ね。

『強い』『そこまでやりこんでいる』とかいう暗黙の意味がある。

決して、リアルの意味での『変態』ではないからね。


 で、私はがんばって、中間よりはまあいい程度のLVだったかな。

一人暮らしの気軽さで、ネットの海に泳ぐ時間はかなり多かったんだけど、『変態』レベルを目指すには、私はそこまでの情熱をかけれなかった。

『変態』レベルを目指すなら、そもそも1~2年で他のゲームに気を移せないしね。

その程度のゲーム好き。世の中の『変態』さんは尊敬するわあ。


 そんな私が、その日はその大好きなゲームから離れて、久しぶりに一人ドライブを楽しんでいたのよね。


 え?助手席? 誰も座るわけないじゃない。

だって、車のハンドルを握ると性格が変わるといわれてる私だもの、誰も隣に座ってくれないのよねー。

ええ、ええ、一人寂しくのドライブですよ。


 でも、一人ドライブは自分の好きな場所でいきなり止めても文句を言われない。

ふと途中で気になった「道の駅」なんかに立ち寄っても、「早く先にいこう」と促す人もいない。

 そんなわけで、その日も私は気楽にいつものようにドライブを楽しんでいた。

…いたのだけども…まさか、直角に近いカーブを曲がったらいきなり景色が変わるとか思ってなかったのよねえ。


 気づいたら目の前に続いていたアスファルトの道は消えうせ…でこぼこの舗装されてない道と田園風景が現れていた。


 「あれ? 私、海を目指して進んでたわよねえ? 何で、海がなくなって、草原が広がってるの?」


 それが、世界を違えた瞬間に発した私の言葉。

気づいてなかったし…


 でこぼこの轍の跡等がしっかり残る舗装されていない田舎道に、それに沿ったように広がる田園風景。ぱっと、いやじっくり見てもそれは日本の田舎というよりも、外国映画の中で見るような田舎の風景にも似てて…。


「う~ん、カーナビは現在地をどこに示してるのかな。…え?こんな時に故障? 画面、真っ暗じゃない!!?」

 参ったなあとスマートフォンの地図を起動させようとすれば、こっちも画面は真っ暗。

「え?電池切れ!?嘘っ!?充電しなきゃ」

 エンジンを掛けたままの車内で、シガーライターから充電させようとバッグの中からスマホの充電コードを引っ張り出そうとしていた私は、車を取り囲むようにした集団が現れたことにまったく気づいていなかった。



◆◇◆


 私の車を取り巻いたのは、アルイザード辺境騎士団の一群。国境警備で4隊が巡回中だったんだそうな。

そこに四角い箱の乗り物が爆音(至って普通仕様なんだけど、この世界では爆音らしいので、念のため)を立てて走ってくるので、四方から驚き追いかけてきたそうだ。

 そして、箱の中にいるのが私一人だというのを確認して、周囲を取り巻き、…新種のモンスターか何かと確認をしていたそうな。

そんな緊張感が漂う中、私は暢気にもウィンドウを開けて「何かのお祭りですかー?」と尋ねた事で、かなり気が抜けそうになったそうだ。

だってそのときの私は、その馬に乗った人たちを、何かのお祭りに参加する人たちか、集団でコスプレをしている人たちかと思い込んでたんだもん。


 で、なんか変な乗り物に乗ってるやつ…不審者だと思いつつも、辺境騎士団の皆々様はそんな表情を見せずに、私に車から出てこれるかと尋ねてきた。

「いいですよ」とあっさり車から降りた私は、何故かそのまま騎士団の団長の馬の上にすぐに乗せられ…車はその場に放置され、騎士団の砦まで連れてこられた。

 慌てて、車のキーはその場で掛けてたけどね、バッグも手に持ってたけど。

まあ、手荒い扱いをされなかっただけまし?

 下手すると、縄かけられて、引きずり回されてという状況もあったと思うので。


 割と丁寧な扱い(?)で、辺境騎士団が駐屯しているという砦まで連れてこられたのだけど、中央から離れた重厚な建物に更に案内され…、まあ、ここで寛いでと扉を開けられて収容(?)されたそこは実は地下牢でした。


 …なんで地下牢?っと思った私は、その時まで自分が不審人物扱いされているとは思っていませんでした。

何度もいうけど、お祭り参加の人たちか、コスプレ集団と思ってたんだもん。

自分の危機なんか微塵も感じてなかったわよ。

まあ、馬に揺られてる最中に「なんか変…」とは思ってたけどね。いろんな意味で。


 馬に乗ってる最中にもっといろいろと気づけよと後で思ったけれども、その時の私は、初めて乗った馬の背が高いとか、跨らされた馬の揺れで股が擦れるとか馬の振動、意外に凄いとか他の事で頭が一杯だった。

もっと冷静に状況を把握できる頭脳が欲しかった。

というか、それ以前に、見知らぬ人についていかれる時点でいろいろアウトだったような気がする。

あほだわ、私。…


 そして、今、地下牢の中の机を前にして、騎士団の団長さんと差し向かいで速攻尋問が開始されていた。



 地下牢は、暗くてジメジメとした不潔な空間では全くなく、貴人を収容したり、ちょっとした懲らしめの為の牢なのか、中は清潔で部屋の広さもあるものだった。

 いきなりの不審者の私を収容する牢としては、どちらかといえば破格な待遇ではないだろうか。

 お茶は出されたし、奥には個室のトイレも簡単なシャワーも設置されているようだった。

簡素だけどもベッドもあった。シーツも清潔そうだったしね。

うん、窓がない以外は割合快適に過ごせそうだけども、何で地下牢なんだと一瞬いらっとした私は悪くないと思う。


 何の説明もなしに、この砦に連れてこられたしね。

愛車もそのまま置きっぱにされたしね。

鍵は持ってきたけど、愛車が盗まれたらどうするんだと私はちょっと怒ってた。


 だから、団長さんが最初は穏やかに「あの四角い箱は何でしょう?」と聞いてきたときに、私は愛想悪く「車ですが」と答えた。

「車?」「車とは何です?」と続けて聞いてきたときには、私は「車が判らないってあほですか?」という心境になり…そのうち冒頭の状態になっていた。





当初の投稿予定より一杯文章が増えたんですが、なんかまだ説明が足りないような気がします。

…余裕でたら、随時書き足していきます。

とりあえず、今は勢いのままに><

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ