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ループ

僕は魔王だ。

なのに勇者と旅をしている。

どうしてそんなことになっているかだって?

僕が今まで記憶喪失だったからさ。

部下の魔族の反乱にあい、記憶喪失となった僕を優しく看病してくれた。

僕はその恩に報いるために、勇者と、魔王を倒す旅に出た。

色んなことがあった。


初めて戦ったモンスターにビビって二人で泣きながら逃げたり、

薬草と間違えてシビレ草を飲んでしまって二人で朝まで身動きがとれなくなったり、

お城の姫様を二人で物語の英雄みたいに助けたり、

山賊に襲われて、初めて人を殺してしまった君を慰めたり、

一緒に海で泳いだ事もあったな、あの時は海棲生物に襲われて大変だったな。


他にも、沢山あった。

楽しい事も、辛いことも、二人でなら何だって乗り越えて、何だってできる気がした。


でも、僕は思い出してしまった。

僕の最愛の人が、僕の最大の敵だという事を。


そして、僕たち二人は、魔王の玉座に辿り着いた。

僕は彼女の横から離れ、玉座に座る。


どうしてって顔をしているね。

この玉座には魔王しか座れないからね。


彼女は「騙していたのか」と言う。


そんなはずはない、僕は君のことが誰よりも好きだ。

そんな君を騙すことなんてしたくない。

でも、そんなことを言ってしまったら、優しい彼女は僕を斬れなくなってしまう。


だから僕は出来る限り低く、邪悪な声で『魔王』を演じ、

「そんなことにも気づいていなかったのか」と言う。


彼女は、剣を抜き、こちらに向かって走ってくる。

僕はそれに応えるように杖を振りかざし、魔法を発動する。フリをする。

そして弱点を晒す。

彼女の剣が僕の胸を貫く。


……ああ、今回も駄目だった。

何周世界をまわっても、僕は彼女に刺されて終わる。

でも、僕は諦めない。

彼女との、幸せな未来を歩む為に


僕は何度でも繰り返す。

読んでくださってありがとうございます


[夢のテンプレ異世界へ]で書いていると言った

[彼は二度目の死を迎え続ける]は、長編として出そうと思います。

なのでもうひとつ頭の中にあった物語を、短編として出してみました。


感想などありましたら、よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言] 読みました。 自分こういう傾向の作品が凄く好きです。 もし良かったら連載して下さい。 心温まるような作品を拝読できる日を待ってます。
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