言葉の連なる再利用小刀
「あいつって可笑しいよな、友達居ないだろ」
「確かに、いつも一人だな」
「ちょっと話しかけてみろよ」
「あんなのに話すなんてヤダよ、お前が行けよ」
オレが引きこもりトラックに突っ込まれる原因、と言ったら言い訳になりそうだけどな。
窓辺でため息をつく、本当に昔の事だ。もうあいつらに覚えている術はないだろう
「どうせ、あいつ何もしないから。ちょっとからかってやろうぜ」
「あんなボーっとしてる奴が気付く訳無いな」
エスカレートしていく現状。気がつけば手元のカッターナイフは紅く染まっていた
「昔の事だよな」
オレは確かにあのとき悪者とされた。正義と悪意も解らず放られる声だ。そこには無いはずの境界線が存在していた
オレはどんな刃物よりもよく切れる刃物で八つ裂きにされたのに、奴等は無罪放免。オレの自己防衛は罪のようだ
「幼稚だよな、愚直なまでに」
人はその刃物の傷みを知らずに振り回すんだ。最もよく切れる刃物を笑って振り回し、その実態すらも理解していない。理解せずに刃物を振り回す
その残虐さもわかっていない
「人間なんて滅んでしまえ」
その刃物はオレすらも切り裂いたのか、何かの衝撃で窓から落ちた
愚かな人間、最初に滅ぶのはオレだったか
そこには赤色が残るだろう