塵の本記述式記憶法
延々と本を書き綴る。本質的には意味の無い行動と捉える事も出来るけれど、これは僕にとって必要な事なんだ。
沢山の本、沢山の本棚に囲まれて生きている。好きなように本を取り出せるし、好きなように思い返す事もできるんだ。
一番古い本は生命の進化を書き込んだものだった筈だ、単細胞から魚類、爬虫類、最終的には哺乳類となるんだったか?
古い本を探り出す、気になった事は調べずには居られない、本当なら僕の物なんだから調べる必要は無い筈なんだけどさ、わからないんだよね
比較的簡単に本は見つけられた。一番奥に置いてある本は埃まみれでボロボロだ。嫌な予感がする・・・ページを開くと文字がかすれて読めない。僕の本が・・・!?
いや、これは僕の物だ。直すくらい出来るはずだ!
慌てて本を落としてしまうと、本は塵のように崩れてしまう。
ふと、落ちている紙をみる・・・『あらゆるものは無常だ』
そんなのは認めない!僕は僕なんだ!これら全てで僕なんだから絶対に・・・
何か思い立って、周りを見渡す・・・僕の本が、古い順に塵へと還っていく
嫌だ!僕の物を・・なんかに渡すものか!ただの法則なんかに殺されてたまるものか!
そんな思いをするくらいならば・・・!
図書館に火が灯る、それは一人と多くの記憶が消えていく。元々消えゆくものなのだから大差無いのかも知れない
結局は無常で常なんだ